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【四季大賞】受賞作品『岸辺の夢』を(軽く)考察!

今回は月刊アフタヌーン主催の「四季賞2020冬」で見事「四季大賞」を受賞された、山嵜大輝さんの『岸辺の夢』について(軽く!)考察してみたいと思います!

以下『岸辺の夢』のネタバレを含むので未読の方は閲覧注意です。
※なお本作は講談社公式サイトで無料で読むことができます(傑作なので必見‼︎)。ココから←




では早速、始めていきます!

まず初めに“本作を象徴する一コマ”が終盤に登場するので、そちらの方から紹介します!それがこちら!

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[出典:講談社『岸辺の夢』]

主人公であるニノミヤが、裏切ったアクサワの後を追い、洞窟の奥へ進むシーンですね!
このコマでニノミヤは『壁に彩られた動物たちが、まるで物語のように連なっている』と語っていますが…。
しかし…どうでしょう…彼自身も“動物の一人”になっちゃってません?この描写。

つまり何が言いたいのかというと…「彼もまた、彼女の長い歴史の1ページでしかないよ」ってことです。
なのでニノミヤを主人公としたこの読み切りだけで“彼女の正体&目的”を突き止めるのは極めて難しいわけですね(あくまで僕個人の感想ですよ)。

ですが!ニノミヤ君が頑張ってくれたおかげで、ほんの少しだけ分析の余地が生まれました!作中のセリフを深掘りして考えていきます!



・一つ目はアクサワのセリフ!
【彼女に選ばれた者は皆、優れた芸術家ばかりだ。先生を始めとしてね】

初見で読んだ時は「へ~そうなんだ」くらいにしか思いませんでしたが、よくよく考えてみると「あれ?でもニノミヤ君は10歳の頃から夢見てるよ?」ってなりました。
いくら才能がっても10歳で“優れた芸術家”とは呼べないような…。
それで僕が出した答えが…『優れた芸術家を選んでいるのではなく、選ばれた人が優れた芸術家になるのでは?』です。
…しかしそうなってくると今度は「なぜ芸術家を量産するの?」という疑問が湧き上がってきますね…。


・二つ目はニノミヤのセリフ!
【神か、もしくはそれに準ずる何か……】

これはニノミヤの考える“彼女の正体”ですね(あくまでニノミヤの持論)。
これはほぼ確定じゃないかな~と思います。
彼女のいる「アルジェリアのタッシリナジェール(砂漠)」について少し調べて見たところ、どうやら昔は緑に恵まれたサバンナだったそうです。
牛やワニなどの大型生物が生息していたから、当時の人類は壁画にそれを記してたんですよね。
…しかし現代では砂漠に様変わりしてしまっています…そんな中、彼女は“湖”にいるわけです。
それはおそらく“生命の源”の象徴として描かれてるってことだと思います。
そうすることで超越した存在だということを、より印象付けてるのかもしれませんね。


・三つ目はニノミヤのセリフ!
【神の再現。それを成せる人間を探しているのかもしれない】


これはニノミヤの考える“彼女の目的”です(あくまでニノミヤの持論)。
初めてこのセリフを見た時は「偶像崇拝的なお話と繋がりがあるのな…?」と思いましたが、いかんせん宗教については知識不足なもので、その角度からの考察は諦めました(すみません)。
しかし宗教的観点から見なくても、物語終盤でこのセリフのアンサーともとれる展開が待ち受けています。
それがこちら…。

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[出典:講談社『岸辺の夢』]

あれ?再現できてない?これ?(“再現”の定義が分かんないけど)。
アクサワの背中には祖父が彫った刺青があります。
つまり彼は人間であると同時に“祖父の作品”でもあったわけですね。
ニノミヤ君の推測が正しければこれでミッションコンプリートです。
しかし彼女は最後に言います「お前は、違う」。
これは…どう捉えればいいんでしょう。
「やった!神の再現に成功した!…けどニノミヤ、お前は関係ないやろ」ってことなんでしょうか。
はたまた“彼女しか知り得ない本当の選別”が他にあるんでしょうか(冒頭で言ったように、彼女の真意はこの作品で語られない)。
前者の場合だと一応ニノミヤの推理は成立しますし、物語としてもまとまってますよね(多分)。
『神の再現をさせるために芸術家量産→アクサワの祖父が成功→結果ニノミヤはただの傍観者だったので落選→完』。
ただこれだとイマイチパッとしない…
それに、この夢の場所(洞窟の中の湖)に一作品(刺青)しか持っていかなかったってのがなんとも言えないですよね。
比較対象がないので。
例えば「刺青+ニノミヤの絵画」の二作品を持っていってれば、ニノミヤの絵画はどういう反応を示したのでしょう。
気になるところです…。


…ってな感じで、以上の三点が本作から読み取れた彼女の情報です…。
……。
…。

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[出典:講談社『進撃の巨人』]

大した前身はありませんでしたが、今回は(軽い!)考察なのでこのくらいでご勘弁を…。
またなにか気づき次第、考察の続きを書くかもしれません!ではまた!

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