【β版】千葉篤胤の転生記_14

「そうか。信義様は源氏がひとつになる意思があるのか」

師常(モロツネ)は篤胤に意識内で語る。今は木曽。これから源義仲に会いに行く途中だ。師常が教えてくれたが、源義仲と源頼朝は従妹らしい。先日会った源信義と違い色々と頼朝と因縁があるとの事。また義仲自身が武芸に優れ、少々豪気で癖のある人のようだ。道中、騎馬に乗った3名が見えてきて、こちらに声をかける。

「八条院様の使者の方ですか。今井兼平と申す。義仲のもとへお連れしましょう」

篤胤はここには源義仲はいないのねと理解した。お連れの方はここでお待ちをとの事なので、同伴していた者はここで待機となった。少し今井兼平と師常の2騎で進んだ中、川が見えてきた。広々とした河川敷に一人の男が座っていた。今井兼平はあそこにいるのが義仲ですといった。

「使者の方、源義仲だ。使者の方には失礼かもしれないが、今は今井家に世話になっている身。館で聞くのもあれなのでここで承る事をご理解いただきたい」

師常は構いませぬと返事をし、直接源義仲に手紙を渡した。源義仲はさっと読むと早々に用件はなんだと師常に問い、師常は源氏の結集に関しての腹づもりを知りたいと訪ねた。源義仲は答えた。

「甲斐源氏とは手を組める。甲斐だけじゃなく他の源氏ともだ。ただ頼朝はない。あいつの兄貴が俺の親父を殺した。源氏が集うとしても誰が仕切るんだ。まさか前の源氏の棟梁の子だからって頼朝じゃないだろうな。一兵もいなく伊豆に囚われている奴に誰が従うんだ」

師常としてはあくまでも使者として来てるので反論云々はなく受けたまわりましたと返事した。特にあとは少し会話を交わしただけで話は終えた。戻りの道中、そろそろ篤胤は次の取り憑き先である胤盛(タネモリ)の元へ行ってくるねと師常に伝えた。師常は寝なくても遷移できるようになったことに驚いていた。これも訓練の賜物だよと篤胤は答えた。師常は胤盛と篤胤に伝え、そこで意識が途切れた。

次なる取り憑き先である胤盛の意識下に篤胤はたどり着いた。胤盛は歩いていた。篤胤は胤頼(タネヨリ)からは胤盛がなにをしているのかほぼ知らされなかった。聞いていることは「奥州にいること」「気になる事を調べにいっていること」しかない。篤胤は胤盛がなにをしているか聞いた。どうも欧州で源氏の血縁者を探しているらしい。平泉に1人匿われていると一部の山伏の間であった噂を元に探しているものの、それらしき人物は見当たらないようだ。今日にも切り上げるところだったようで、胤盛は篤胤に胤頼にはそう伝えほしいといった。

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