【β版】千葉篤胤の転生記_12
篤胤はいま胤頼(タネヨリ)意識内にいる。
「簡単に言うと、荒れるね」
平清盛が兵を率いて上京してきた結果、太政大臣など主だった役職が解官され、全国で66国あるうちの30程を平氏一門が治めることになったそうだ。後白河法皇も政治に関わることを止められ、近臣・皇族の所領も一部没収となった。まさに平家の世が謳歌される時代となり替わる。
「以仁王も所領が削られるし、上総も平家一門が治める事になったから、広常様も怒り心頭だよ。きっと」
下総は特に今回の事で特に変わることはなかったようだ。とはいえこれだけ様々変わると影響は色々あるらしい。先日、日胤(ニチイン)が訪ねにいった八条院のところには全国各地から様々な不平不満の声が届いているそうだ。胤頼は篤胤に語り掛けた。
「篤胤、でもこれは始まりなんだろ?君が僕らに伝えてくれた頼朝様の挙兵が実現する可能性が訪れたわけだ。僕が考えるにこの西国平氏の世に頼朝様が勝つには頼朝様の唯一の武器である源氏の血統を軸に源氏が集結するしかないよ。でもなぜ集結できる?頼朝様は源氏の棟梁だった義朝様の嫡男。それ自体はカギになるけどもう20年も前の事。いまやなんの力も持ってない。あくまでも皇族からの宣旨や綸旨とかないと皆動かないよ。君はなにか大事な事を省いて僕らに伝えてないか。ひっそりと後白河法皇が宣旨をこれから反平氏へ宣旨を出すとか」
篤胤もなにか引っかかっている。たしか歴史で学んだはず。でも覚えていることは「千葉はツネシゲ・ツネタネ親子がいまの千葉に移り住み、ツネタネと息子6人は源頼朝と共に挙兵して鎌倉の世を創り~」と我が家の家訓みたいな話は覚えているが篤胤自身もいまこの世に来て「なぜ頼朝は挙兵できたの?」と不思議でならない。挙兵するにも頼朝としての大義名分があるはずというのは薄々感じていて、それはたしか授業でやったようななかったような霞かかっている。胤頼はまあいいやといいつつ語り続けた。
「僕らはこれから各地で源氏の鍵となる方々へ会いに行って来る準備をしたよ。八条院様の使者としてね。あくまでもこの度の急変に関しての報告という挨拶程度としてだけどね。まあそこは建前という事ではあるけど。甲斐にいる源信義様には胤通(タネミチ)が、木曽にいる源義仲様には師常(モロツネ)が向かったよ。あと少し気になる事を調べに奥州へ胤盛(タネモリ)が出向いている。僕はこれから父上と今後の相談をしに下総へ戻るよ」
一挙にたくさんの事が動き始めたと篤胤は思った。胤頼はそこでだと前置きをつけて語り続ける。
「篤胤にも活躍してもらうよ。得意の取り憑きでみんなのところを回って来てほしいんだ。後で順番は伝えるよ。最後に僕に戻って、そこで父上を交えて話そうよ」
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