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千葉篤胤の転生記_23~治承・寿永の乱

「義仲様は大変だよね」

ここは下総。千葉一族の館。胤頼が胤通の中にいる篤胤に語り掛けた。館は昨夜から騒々しい。胤頼は続ける。

「義仲様は20年ぶりに源氏の白旗を京へなびかせた。しかも以仁王の遺児である北陸宮を奉じての上洛だよ。一挙に時の人さ。頼朝様なんて世間では霞むくらいだ」

「ところがだよ、公卿議定において平家を追いやった勲功の第一が頼朝様で第二が義仲様という仰天決議さ。頼朝様はどう朝廷に働きかけたんだろうね」

「義仲様は平家と共に西へ連れてかれた安徳天皇の代わりに北陸宮へ次の天皇へと後白河法皇へ申し出するも、これも却下さ」

「あげくの果てには後白河法皇からは義仲様へ平氏追討の命が下り、義仲様は京を出て平家との戦いへと向かうことになったよ。義仲様は何度か平家と戦をするもどれも旗色悪く負けが続いているね」

「さて、ここからが今にぎやかなになっている話になるんだけど」

「あざとい後白河法皇が頼朝様に上洛を促しているのさ。これ、頼朝様と義仲様で戦しろって言ってるのと同じだよね。結局、頼朝様は行かないけど弟の義経様と範頼様が軍を率いて上洛することになったよ」

「という訳で僕ら千葉一族は範頼様と共に京へ向かうことになったのさ」

篤胤は胤頼の話を聞いて最近の下総の騒がしいのを理解した。

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