腰痛を防ぐための腰の使い方
先日の記事で腰痛についての概要をお伝えしましたが、その中でメカニカルストレスを防ぐことが重要とお話ししました。
今回はそのために知って欲しい腰(腰椎)の特徴とその使い方をお伝えします。
腰部の構造
腰部は脊柱(背骨)の一部である腰椎という5つの骨からなります。
背骨はこのようにS字の弯曲を作っており、腰部は前に向かって凸(前弯)の形をしています。
腰部の運動の考え方
腰部の構造を踏まえて、腰椎を動かす上での重要な考え方として次の3点が挙げられます。
1. 腰椎は安定させて胸椎の可動性を出す
2. 腰椎はねじらないように使う
3. 腰椎の前弯をキープする
腰椎は安定させて胸椎の可動性を出す
脊柱全体を見ると、胸椎(胸郭)の部分は肋骨で囲まれているので安定していますが、腰椎は周りに支持するものがなく、基本的には筋肉でコントロールしなければならないため不安定となっております。
胸椎を動かすことで、自然と腹部の安定性も高まり、結果として腰部の安定性向上につながります。
そのために重要なポイントの1つとして、脊柱のニュートラルポジション(中間位)の保持が挙げられます。
私たちの身体の各関節はニュートラルポジションにいるときが最も広く可動できるようになっています。
そのため、脊柱についてもいかにニュートラルポジション、つまり生理的な弯曲が保てるかどうかが重要な鍵となります。
腹部や腰部を安定させるために、体幹のエクササイズやコアトレーニングもありますが、最も基本的な考え方はこのニュートラルポジションをどうやって作るかと考えます。ニュートラルポジションが作れているときは自然にいわゆる体幹のインナーマッスル(コア)は使えている状態ということです。
このニュートラルポジションを作るための最重要な筋肉が後ほどお伝えする腸腰筋と多裂筋になります。
腰椎はねじらないように使う
背骨の運動を行っている関節は椎間関節といって、脊柱の背中側に左右一対になっている関節です。
この形が各椎骨によって違いがあり、それによって脊柱の運動の行われやすさが変わってきます。
頸椎(C1~7):主に屈伸と側屈に有利(回旋はC1-C2)
胸椎(Th1~12):主に回旋と側屈に有利
腰椎(L1~5):主に屈伸に有利
今回は主に腰の話ですが、腰椎の椎間関節は矢状面(身体を左右に分ける面)と一致しているため、腰椎を回旋させると基本的にはぶつかり合ってストレスがかかります。
本来、回旋運動は胸椎がメインで行われるべきですが、前述したように胸椎は構造的に動きにくい部分になってくるため、代わりに腰椎が動いてしまう現象が起きやすいです。
腰椎の前弯をキープする
腰椎の前弯は二足直立歩行を選択したヒトの大きな特徴です。
他の類人猿には基本的に腰椎の前弯は認められません。
一方、訓練されて二足直立歩行ができるようになったサルのレントゲンで腰椎の前弯を認めたとの報告もあるため、二足直立で立つことがこの腰椎の前弯を作る条件であることが分かります。
この腰椎の前弯ですが、例えば足を動かす(股関節を曲げる)ときに腰椎の前弯が失われ、腰椎と股関節が同時に動くケースが特に腰痛の方に非常に多いです。
そのため、腰は動かさずに股関節のみを動かせるようになることが腰部の安定性を高める上でもとても大切になります。
そのために重要な筋肉が腸腰筋と多裂筋になります(黄色で囲った箇所)。
これらの筋肉を上手く使うことで腰椎の安定性も高まり、腰椎の前弯の伴った脊柱の生理的弯曲が保てるようになります。
そのためのお勧めのエクササイズがピラティスで行われる内容になります。
その方法はまた改めてお伝えします!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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