身体は柔らかければ柔らかいほど良いのか?
開脚をしてベターッと体が床につけるようになる、前屈でお腹と足がぴったりとくっつくように、身体が柔らかいとすごいといったような話はよく聞くのではないかと思います。
身体が硬いと身体に悪い、身体が柔らかいほど良いと無意識に考えている方も多いのではと思いますが、その点について今回は考えてみようと思います。
【身体の柔らかさを決めるもの】
そもそも、身体が柔らかい=関節可動域が広いということができます。
ではこの関節可動域は何によって決められているのでしょうか?
一般的に関節可動域を規定するものは以下になります。
・骨や関節そのものの形状
・靭帯
・軟部組織(皮膚、筋肉、関節包など)
ここで挙げた中で、軟部組織の硬さが原因で生じている関節可動域の制限としては解決していく方向でアプローチをした方が、結果として身体の動きの改善やパフォーマンスに繋がることを多く経験しています。
ただ、軟部組織も無理に伸ばしすぎるとオーバーストレッチという状態になり、逆に組織を痛めてしまうこともありますので、痛みは出ない範囲でアプローチをすることが重要です!
一方で骨や関節の形状、靭帯の硬さに由来する部分についてはどう解釈すべきでしょうか。
【骨関節の形状による影響】
私たちの骨格は皆共通して同じ形であると思いがちですが、実際は一人一人その形には個性があります。
例えば、股関節を構成している大腿骨ですが、そのてっぺんの部分(大腿骨頭)はねじれており、このねじれの程度は人によって様々です。
人によっては、このねじれが強く、大腿骨が内股方向に入りやすい場合があります。
その際には開脚するように足を外回ししたり、あぐらで座るような姿勢が苦手になります。
このような可動域の制限は骨の形状によるものなので、自身の個性として受け入れるしかないのですが、そのことを知らずに無理に動かそうとした結果、他の部位に代償させて痛めてしまうといったことも多くあります。
私たちの顔が一人一人違うように、骨格にも個性があるということはあまり知られていませんが、自分の身体について知ることで防ぐことができる障害なども多くあるので、またの機会に少しずつ紹介していきたいと思います。
【靭帯の硬さによる影響】
次に、靭帯について考えていきます。
そもそも私たちの関節に付着している靭帯は関節にとってはストッパーです。
靭帯が緩んでしまうと関節が不安定になり、しまいには関節が脱臼してしまったり、変形してしまうなどといったことが生じてしまうことになります。
つまり、靭帯はある程度の硬さが必要ということになります。
ところが、この靭帯の硬さも遺伝的な影響を受けており、生まれつき靭帯が柔らかい方もいらっしゃいます。
そういった靭帯が緩いタイプのことをLaxity(ラキシティ)と呼びます。
ストレッチなどをしなくても開脚でベターッといけるなどという方はこのタイプかもしれません。
Laxityのチェック方法はいくつかあります。
・Carter法
・Beighton法
・東大式法
もし靭帯が緩い方は、関節を安定させるためにしっかりと筋肉でコントロールできるようになる必要があります。
また、靭帯が緩い状態で関節に寄りかかるような姿勢で過ごす生活習慣を繰り返すことで、関節の変形などが生じやすくなってしまうので、注意が必要です!
参考)全身関節弛緩性の評価法の検討
【まとめ】
身体が硬い、柔らかいといったことも一概にどちらが良いとか悪いとかいうことではなく、その人それぞれの個性による影響が大きいです。
しっかりと身体の状態を評価して把握した上で、柔軟性を高める方が良いのか、もしくは筋肉でコントロールできるように安定性を高めた方が良いのかを判断することが重要ですね!
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