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男子新体操の曲の選び方

こんにちは!
僕最近、仕事の関係でチアリーディングの大会に出場するための楽曲を作成しました。
チアの曲って、いわゆる「リミックス」と呼ばれるような形になっていて、有名なノリノリな洋楽をbpm(テンポ)を調整して短いフレーズで何個も繋いでいくみたいな形になっているのですが、その作業がなかなか面白いものでした。

とはいえど、チアリーディングの楽曲なんて作ったことがなかったので、いろいろと調べたんです。

「チアリーディング 曲 作り方」
「チアリーディング 曲 おすすめ」
「How can i make a cheer leading song」
「Cheer leading song recommend」
などなど。
思いつく検索ワードを入れて、どうにか情報を手に入れようと調べまくってたのですが…

いろいろと有益な情報が山ほど転がっていたんですよ。
この編集ソフトを使うといいよ〜とか、こうやって簡単に作れるサイトがあるよ〜とか、作成するときに気をつけることはこれだよ〜みたいな情報をいっぱい手に入れることができたのです。

その時に僕はふと思いました。
「男子新体操だったら絶対こんなに情報手に入らないよな」って。

僕たちみたいにその競技の素人が参入しようとした時に、ネットで調べて出てくる情報が絶対的に不足しているのです。
きっと、ルールを調べても出てこないし、タンブリングの練習の仕方とか、組の練習の仕方とか、手具操作の練習の仕方とか、曲の作り方・依頼の仕方とか、そんなものはネットを調べても出てこないので、誰か人脈を作って教えてもらうしかないわけです。

これも競技が普及しない理由だな〜と思いまして。

もちろん、今回の僕たちみたいな例はすんごく稀だと思います。
この歳になって未経験の競技に参入してくる集団なんてそうそうないでしょうから。

ただ、例えばですけど、テレビで見て憧れたから始めたいと思ったけど地元に新体操チームがないとか、教えてくれる先生がいないとか、そういう人たちはきっといっぱいいると思うんです。

「やりたいけどやれない」「やる気はあるけどやり方がわからない」という人のために情報をネットに落としておくのはすごく大事なことだなと今回の件を通して思ったことがきっかけとなり、今日は「男子新体操の曲の選び方」なんていう記事を書いていこうと思います。

曲の作り方

男子新体操の大会に出場するために必要な曲の作り方は2通りあります。

1、プロに依頼する
2、自分で編集する

1の場合、自分の演技を動画に収め、使いたい楽曲と共にプロ(作曲家)に依頼します。
楽曲を提出せずに完全オリジナルで作ってもらうという手もありますが、費用がかさんでしまうので、とりあえず試合に出てみたい時にはこれはお勧めできないです。

ちなみに…
(1)完全オリジナル楽曲

(2)テーマをもとに作った楽曲

また、男子新体操の楽曲編集はわりと特別な技術を要するので、編集の経験がある人に依頼するのが無難かと思います。
プロに依頼したいけど誰に依頼したらいいかわからないという方がもしいたら、僕までDMください。

2の自分で編集するの場合、お金をかけなくても自分の労力だけで楽曲が作れます。
男子新体操は近年のルール改正により楽曲の中での言語の使用が認められました。
それまでは言語と認識できる声は使用できなかったので、プロに依頼してメロディーを言語ではない形で歌い直してもらう必要がありました。
これにはすごくお金がかかるのですが、今はそんなことがありません。
購入した楽曲を自分の演技に合わせてカットするだけで大会出場の要件を満たせるので、無料で作れてしまうのです。(もちろん、高いレベルで戦うとなるとそうはいきませんが。)
なので、パソコンがあればフリーソフトを使って作れてしまいますし、最悪、スマホの動画編集ソフトでも楽曲の作成はできます。

例えばですが…
僕がよく使うのは「GarageBand」というフリーソフトです。
自分でドラムを打ち込めたり、ピアノ伴奏を入れたりすることも可能です。
時間はかかりますが、大体のことはこのソフトの中で無料でできます。

スマホであれば、適当に動画編集ソフトをダウンロードし、真っ黒な背景に自分のスマホに入っている楽曲をくっつけてカットして書き出して、動画から音声データのみを取り出せるアプリを使って音声データとしてスマホに保存すれば完成です。

避けるべきジャンル

ここが重要。
編集技術なんてものはやっているうちについてきますが、楽曲の選び方が悪ければどれだけ編集がうまくてもダメです。

まずは「これは避けよう」というものを紹介します。
※あくまで僕個人の意見です。

1、Jポップ

Jポップは避けましょう。
使いたくなる気持ちはすごくわかりますが、よほどセンスのいい人でない限りは使いこなせないので避けるのが利口です。

結構前にこの曲を使って演技をしている選手を見たことがあるのですが、その時に「やはりJポップはダメだ」と確信しました。
どう編曲しても新体操に合わないんです、なぜか。

2、ロック、パンク、ヒップホップ

じゃあ洋楽ならなんでもいいのかと言われるとそんなこともありません。
選ぶジャンルを間違えると大変なことになります。
ロックやパンクなどの激しい曲、ヒップホップなどのメロディーの動きが少ない曲は新体操には不向きです。
曲が演技を消してしまったり、演技の緩急がなくなってしまったりするのでこちらも避けるのが利口だと思います。

3、流行りの曲

これは賛否両論あるかもしれませんが、僕は流行りの曲を使うのも避けた方がいいと思います。
なぜかというと、曲と歌手がセットになってイメージとして残ってしまっているからです。
その曲を聞いた時に歌手の顔が浮かんでしまったり、PVの光景が浮かんでしまったりすると、見ている方は集中して見たいのに余計なことを考えてしまって演技に入り込めないという状態に陥ります。

使いやすい曲

では、どんな楽曲が新体操に向いているのか。

いくつかあげます。

1、クラシック

これは不動です。
みんな新しいもの使いたさにいろいろと冒険してしまいますが、結局ここには勝てません。
滑らかなメロディ、豊かな表現力、すっと心に入り込む雰囲気。
どれをとっても新体操にぴったりです。

2、プロの演奏家の楽曲

歌声が入っていない曲もオススメです。
言葉が頭に入ってこないので集中して演技を見れますし、楽器の音がメインなので印象的なフレーズが多く作られていることが多く、演技もしやすいです。

例えば…

Lindseyの楽曲は新体操ではよく使われています。
バイオリンってだけでハズレがないですし、彼女自身が踊れる人なので曲も新体操をするイメージにはまりやすいです。

2CELLOSも一時期新体操界ですごく流行りましたね。
迫力や勢いがすごくあるのに、メロディが綺麗で心にすぅーっと入ってくる。
大好きでしたが流行りすぎて使う機会はありませんでした。
最近だったらだいぶ落ち着いているので使ってみるのはありかもしれませんね。

3、サントラ

僕、いつも曲探しはサントラから始めます。
「映画のサントラ=特定の場面の表現を助けるためのパーツ」
つまり、映画のシーンの雰囲気(感情)に合わせて作られた楽曲なので、自分が表現したい演技の雰囲気にハマるものが見つけやすいのです。

青大といえばユニコーン。ユニコーンといえば青大。
こちら、テレビ番組でもよく使われる有名なサントラです。
この曲を作曲した澤野さんという方は非常に有名で、皆さんの知っている曲をたくさん作曲されている方です。
例えば、医龍とか進撃の巨人とか…
この人の曲を使っておけば間違い無いです。

曲を選ぶ時に気をつけること

さてさて、最後に選曲時に気をつけることを挙げて終わりにしたいと思います。

1、メロディーの有無

メロディーってかなり大事です。
あえてメロディーがない曲を使う時もありますが、かなり上級者向けなので最初は無難にしっかりとメロディーがある曲を選びましょう。
僕の中の基準は、「それをバイオリンで弾いたら美しいかどうか」ということです。
頭の中でバイオリンに置き換えて見た時に、よく聞こえない曲は使わない方がいいです。

以前Twitterでおすすめしたことがありましたが、Adeleの楽曲はかなり使いやすいと思います。
どの曲を聞いても美しい。
個人選手が演技をしている情景が頭に浮かびます。

2:35~リングの演技。
メロディーのない曲でここまで見せられるのはこのお方くらいでしょう。

2、音の細かさ

メロディーだけにとらわれずに、曲を支える土台の部分にも注目して聞いてみてください。
打楽器の音のことです。
この音が細かければ細かいほど勢いを感じやすいし、細かくなければないほどゆっくりに感じます。
あなたの演技のイメージと音の細かさがあっているかを気にしながら選んでみましょう。

例えばこれ。
メロディーはすごく綺麗で使いやすそうなのですが、なんとなーくスピードを感じさせずらそうですよね。
僕だったらこれを聴きながら走りたくないです。

同じ3人ですが、これはいい例です。
1:36~聞いてもらえるとわかると思いますが、バイオリンの美しいメロディーとは一転して裏の音はかなり細かくてスピード感があるんですよね。
こういう曲だと走りたくなります。

3、ストーリーがあるかどうか

1曲の中にストーリーがあるかということもかなり大事です。
ずーっと同じ雰囲気の曲を使っていると演技のメリハリを感じずらくなるからです。
速いところを速く、ゆっくりなところをゆっくりと見せたいのであれば、曲の中のストーリーは欠かせません。
起承転結みたいなものですね。

例えばこのサントラ。
一見、雰囲気の切り替えもありそうだし、スピードの緩急もしっかりしていそう。
悪くないんですよ。
悪くないから僕のメモに残ってたんだと思いますが…
うーん、使わないですね。
なんとなくですけど使わないです。
使えないから残ってたんだと思います笑

うーん、これも悪くないんですけどね…
使わないです。
僕のメモにはこういう惜しい曲がたくさんありますが、それらが使われずに残っているのはストーリーが弱いからなんだと思います。
この曲で演技をする想像をした時に、いまいちハマってこないっていう自分だけの感覚の話です。

まとめ

はい、ついつい新体操のことだと書きすぎてしまいます。
けど、僕にとってはすごく大事なことを書いたつもりです。

こんな感じでいろんな条件を気にしながら曲を探すので、「これだ!」とピンとくる曲に出会うまでにはとてつもなく長い時間がかかります。
1週間、2週間、1ヶ月…
毎日YouTubeと睨めっこしても見つからない時もあります。
でも、僕はそのくらいこだわって曲を探します。
本能的に自分の心が踊るかどうかが演技の出来を左右するからです。
点数には直接響かなくても、心が体の動きに影響を及ぼし間接にてきに響くからです。

本当に大変な曲探しですが、どうか甘んじることなく納得するまで徹底的に探してくださいね。
この記事が少しでも皆さんのお役に立てば幸いです👍

ではまた次回


井藤 亘(いとう わたる)
名古屋アクロバットスクール

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名古屋市立原中学校ー埼玉栄高校ー青森大学ーシルクドソレイユー株式会社bakuten

3歳から男子新体操を始め、中学校3年生時の全日本ジュニア出場をきっかけに、埼玉栄高校へ進学する。
骨折などの大きな怪我を克服しながら3年時にインターハイで団体優勝し、名門・青森大学へ進学。
大学では、全日本選手権・全日本学生選手権ともに4連覇を果たし、4年時には主将も務めた。
卒業後は、幼児・小学生を対象にスポーツ指導をしていたが、パフォーマーとしてイベント出演したことをきっかけにシルクドソレイユのオーディションを受け合格し、渡米。
在米3年半、計650回以上のパフォーマンスをした後、帰国。
現在は自身のアクロバット教室を運営している。

【実績】
・インターハイ団体優勝
・全日本学生新体操選手権大会団体4連覇
・全日本新体操選手権大会団体4連覇
【出演】
・Cirque du Soleil「Drawn to Life」
・Avex主催「STAR ISLAND」サウジアラビア公演
・大阪ガス主催「10歳若がえりセミナー」講師
・Athlete Business United 「人に伝わる文章術講座」講師
・東京テレビ「年忘れにっぽんの歌」鳥羽一郎コラボ
・TBS「音楽の日」三浦大知コラボ
・BS11 ドキュメンタリー「ザ・チーム 勝利への方程式」
【資格】
・中学、高等学校第一種教員免許状
・ビジネスアスリート2級
・日本スポーツ協会公認スポーツリーダー


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