勝つことは削ること。
新体操界であれば知らない人はいないであろう、青森大学。
先日、僕は約3年ぶりに母校を訪問した。
感想を端的に述べよう。
学生の練習は非常に物足りなかった。
言葉を選ばずに言ってしまったが、今回は僕が行ったタイミングが悪かった。
東日本インカレ直後である上に、チームの主軸である4年生が教育実習のために地元に帰ってしまっていたのだ。
見る側からすると大会直後の練習はとっても退屈だ。
次の大会に向けて演技を作り直す作業に取り組んでいるからだ。
演技の練習をしているのではなく、演技を作っているからだ。
アイデアが出なくて立ち尽くしている時もあれば、作りたいものをうまく表現できず頭を悩ませていることもある。
選手たちは皆必死なのだが、見る側はなんとも退屈。
それが構成作りというものなのである。
だから学生の練習が非常に物足りなく感じた。
でも、それだけではなかった。
それを考慮して見ていたとしても、何かが物足りなかった。
なんでだろう。
僕は練習を見ながら考えた。
答えは単純だった。
時間の無駄が多かったからだ。
練習の時間になっても一向にエンジンがかからないチーム。
誰かは必死に動いているが、誰かはぼーっと立っている。
誰かは必死に考えているが、誰かは考えていない。
僕は頭の中で必死に自分を納得させようとしていた。
「大会が終わったばかりだ。」
「4年生がいないから統率が取れていないんだ。」
今感じていることは正しいのか、間違いなのか。
伝えるべきなのか、伝えなくてもいいのか。
僕はすごく迷った。
そして、時間が来てしまったのでその場を立ち去った。
ただ、どうしてもそのモヤモヤが晴れなかったので、後ほど彼らにしっかりと伝えた。
「時間は有限だ。」
「一瞬足りとも無駄にしてはならない。」
例えOBの鬱陶しい説教だと思われても構わない。
過去の栄光を振りかざして偉そうにしていると思われても構わない。
とにかく伝えたかった。
僕自身がそうであったように、勝ちを本気で目指すことから学べるものを青大の4年間で得て欲しいからだ。
勝つとは削ること。
勝つとは考えること。
勝つとは本気になること。
本気の先に本物の本気があること。
それを常に追い求めること。
大会直後だろうが、4年生がいなかろうが関係ない。
明日の自分ができる最大限のことを考え、それを120%実行し、また考え、また実行し…
この繰り返しが本物の本気を作る。
この繰り返しが一生ものの経験を作る。
新体操を本気でして後悔することなんてない。
そんな世界は僕たちOBが今ぶっ壊し始めている。
だからどうか…
どうか本物の本気で新体操に取り組んでほしい。
今、君たちが本気なのはもちろんわかっている。
ふざけている人などどこにもいない。
手を抜いている人などどこにもいない。
もちろんわかっている。
でも、もっと本気になれるはずだ。
もっともっと本気になった君たちを見てみたい。
本気になった先で輝く誇らしげな表情を僕は見てみたい。
お節介なOBなのはわかっている。
でも僕はいつだってどこからだって応援している。
頑張れ、頑張れ、頑張れ。
井藤 亘(いとう わたる)
名古屋アクロバットスクール
20年以上続けてきた「男子新体操」というスポーツをより多くの人に知ってもらうため、日々活動をしています!! 頂いたサポートは、今後の活動費、またはその勉強のために使わせていただきます!🙇♂️✨ また、サポートとともに記事のリクエストも募集しております。