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【団員が解説】シルクドソレイユ「MJ ONE」の魅力

こんにちは!
シルクドソレイユアーティストの井藤 亘です!
僕の詳しいプロフィールはこちら↓

さて、シルクドソレイユのショー解説第3弾となる今日は、「Michael Jackson ONE」です!

第1弾「"O"」

第2弾「Ka」

亡くなってもなお世界に多くのファンがいるマイケルジャクソンの楽曲とシルクドソレイユのアクロバットがコラボしたショーなのですが、このショーはいい意味で他のショーとは全くの別物でした。

ではでは、早速解説を始めていきましょう!

概要

「Michael Jackson ONE by Cirque du Soleil(マイケルジャクソン・ワン)」
2013年にオープンしたマイケルジャクソンをテーマにしたショーで、シルクドソレイユとしては、マイケルをテーマにした2つ目のショーとなります。

※1つ目は「The Immortal World Tour」という2011年にオープンしたツアーショーで、男子新体操が演目として初めて採用された記念すべきショーです。約2年間世界を回ったのち(日本5都市を含む)、幕を閉じました。

マイケルジャクソンの人気曲をこれでもかというくらい詰め込んだショーで、ライブを見ているような感覚で楽しむことができました。
「サーカス」というよりは「エンターテイメント」という感覚で見た方が楽しめるショーだと思いますので、シルクドソレイユのショーの概念を取っ払って、全く新しい感覚で見てみるといいのかと思います。

公演時間:90分
開演時間:19:00〜、21:30〜
定休日:火、水
場所:マンダレイベイホテル
年齢制限:5歳以上
チケット予約:https://www.cirquedusoleil.com/michael-jackson-one

シアターは、「マンダレイベイホテル」という金ピカに輝くホテルの1階にあります。
ホテルに入って天井にぶら下がっている看板に従って歩いていけばシアターにたどり着くことができるのですが、シアターにたどり着くと、そこにはマイケルの写真やらグッズやらが沢山!
これを見るだけでも気持ちが上がってきます。

前回のKaの時も言いましたが、KaとMJ ONEは割と近い距離にあるので(といっても徒歩20分弱ですが)同日中に鑑賞することが可能です!
僕も実際に19:00からのショーでKaを見て、ちょい早歩きで移動して21:30からのMJ ONEを見ました。
Kaの会場であるMGMグランドからは、大きな交差点の歩道橋を渡って、対角にある「エクスカリバー」から「ルクソー」→「マンダレイベイ」と3つのホテルの中を通り抜けして劇場にたどり着くことができます。
MGMグランドの馬鹿でかいライオンからスタートして、「お城ホテル」→「ピラミッドホテル」→「金ピカホテル」と覚えておくといいと思います笑
※聞いただけでは意味がわからないと思いますが、現地に行けば必ず理解できます笑

ショーの魅力

魅力その① サーカスではなくエンタメである

改めてになりますが、このショーは「サーカスではない」と断言してしまってもいいのかと思います。
スリル満点のアクロバットがたくさんあって、面白いクラウンがいて…というようなものではないので、そこを期待するか期待しないかで評価が大きく異なると思います。
有名アーティストのライブを見にきているかのような感覚で歌って踊って楽しんでいるお客さんが多く見られたのも印象的でした。

アーティストの総数に対してダンサーが占める割合が非常に高く、いたるところでダンスシーンが出てきます。
当たり前ですよね、マイケルのショーですもの。
誰もが知っている曲と誰もが知っている振り付けで誰もが盛り上がれる。
そしてそこにレベルの高いアクロバットがうまく混ぜ込まれている。
簡単に表すなら、そんなショーだと思います。

とはいえど、ストーリーもちゃんとあります。
マイケルの象徴的な4つの道具「ハット」「サングラス」「グローブ」「シューズ」と一緒に若者4人がいろんな体験をし、自信や勇気、友情など、いろんなものを得ていく…
といったストーリーになっています。(という風に僕は感じました。)

開演前の舞台には、4つの道具がゆらゆらと浮かんでいます。

ただ、そのストーリーが濃いわけではないのです。
僕が受けた印象としては、このショーにとってのストーリーはなんとなく90分の流れを作るためにあるものでしかなくて、あくまでマイケルの曲、マイケルのダンスが主体なんだな、といった感じでした。

また、このショーは、今回見たラスベガスの4本のショーの中では最も音量が大きいショーでした。
あくまで僕個人の受け取り方ですが、やはりこのショーの真ん中にはマイケルの曲があって、それを中心にいろんな要素が乗っかるようになっているのだなと感じました。

アクロバットがたくさんあるわけでもないし、ストーリーでがっちり固められているわけでもない。
だからこそこのショーは良くて、「サーカス」ではなく「エンタメ」として楽しめる、全く別ジャンルのものなんだと思います。

その証拠に、舞台の写真を見てもらいたいのですが…

いってしまえば、「フツーの舞台」なんです。
Oのように何百リットルの水があるわけでもなく、Kaのように360°回転する舞台があるわけでもない。
もちろん、プロジェクションマッピングや大きなアクトの装置など、シルクドソレイユらしい舞台装置もあるのですが、それを除けば日本にもあるようなスタイルの普通の劇場なんです。
他のショーとは違う、こういう舞台"だからこそ"魅せられる「マイケルにしかないもの」というのがこのショーにはあるので、それを楽しみに鑑賞していただけるといいのかなと思います。

※コロナによるパンデミック以降なくなっていたのですが、今回、いいタイミングでバックステージツアー(舞台裏見学)が解禁されたので裏側も見ることができました。(侑大ありがとう🙏✨)

魅力その② 男子新体操の活躍

男子新体操アーティストとしてここに触れないわけにはいきません。

現在、シルクドソレイユでは2つのショーで男子新体操が演目として使われています。
僕が参加しているショー「Drawn to Life」と、この「Michael Jackson ONE」です。
僕は、MJ ONEで男子新体操がどんな風に使われているのかがどうしても見たかった。
何ならそれを一番楽しみにしてラスベガスにきました。

正直に言います。
とってもとってもとってもよかったです。
最高でした。

僕たちのショーとは全く異なる男子新体操の魅力が詰まっていて、僕の中にはなかった男子新体操の可能性を教えてもらった感じがしました。

男子新体操アクトはスムースクリミナルの場面に登場するのですが、思わず「いいなぁ〜」と思ってしまうほど衣装もカッコいいし、曲もかっこいいし…。
暗めの舞台照明、音、衣装、周りのたくさんのダンサー…いろんな要素が合わさってとってもカッコいいアクトでした。

そして、僕たちのショーと大きく異なる点は「手具が使われている」ことです。※男子新体操競技で使われる道具のこと
メインのアクトではもちろんのこと、ショーのフィナーレでは、アーティスト勢ぞろいのお祭り騒ぎのようなシーンのど真ん中で手具を使ったソロ演技の時間が結構長く取られていたり…。
たっくさんのダンサーさんが囲ってる真ん中でリングを使って演技をしてたんですよ。
そのシーンを見たとき、何だか世界に男子新体操が評価されているような気がして鳥肌が立ってしまって。(いま思い出してもあのシーンは最高でした。)
「おー!!そんなに”モロ男子新体操”をやらせてくれるんだ!!」
と、流石に大興奮でした。

そして、それ以外にも違うキャラクターとしてダンスに参加する場面も多々あり、「アクロバットだけじゃなくて踊ることもできる男子新体操選手はやっぱり便利だな」と、改めて男子新体操が持つ可能性を強く感じました。

男子新体操のパフォーマンスとしてはこれ以上ないと言えるくらい、とにかく最高のアクトでした。

自分で言うのもなんですが、僕たちのショーにおいて男子新体操のアクトはかなり高い評価をいただいていまして、それはもちろんMJ ONEでも同じだと思います。
踊れて回れて道具も扱えて、協力的で柔軟な対応も可能な性格を持ち合わせた日本人の男子新体操アーティスト。
現役男子新体操選手の皆さんには、「自分たちが持つ能力の幅の広さ」というのをもっともっと知って誇りに思っていただきたいですし、それを生かしてどうやって男子新体操を広めることができるかなということも考えてもらえたらな、なんて思います。
別にシルクドソレイユじゃなくたっていいのです。
評価してくれるところは世界中にたっくさんあると思います。

まとめ

今日の解説、いかがでしたでしょうか…?
男子新体操が入っているショーなので、ややそっちに偏ってしまいましたが、それ以外のアクトもマイケルの曲とうまく合わさっていてすごくよかったので、皆さんにもぜひ見ていただきたいなと思います!

来週はついに最後!
ミュージックエンターテインメントでありながらコメディ要素もたっぷりの素晴らしいショー、「Blue Man Group」の解説をお届けいたします!

今日も最後まで読んでくださいありがとうございました!
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ではまた来週!


井藤 亘(いとう わたる)
Cirque du Soleil 「Drawn to Life」
男子新体操アーティスト🤸‍♀️

個人HPリンク
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KYOMEIプロジェクト

名古屋市立原中学校ー埼玉栄高校ー青森大学ーシルクドゥソレイユ

3歳から男子新体操を始め、中学校3年生時の全日本ジュニア出場をきっかけに、埼玉栄高校へ進学する。
骨折などの大きな怪我を克服しながら3年時にインターハイで団体優勝し、名門・青森大学へ進学。
大学では、全日本選手権・全日本学生選手権ともに4連覇を果たし、4年時には主将も務めた。
卒業後は、幼児・小学生を対象にスポーツ指導をしていたが、パフォーマーとしてイベント出演したことをきっかけにシルクドゥソレイユのオーディションを受け合格し、渡米。
現在はパフォーマー業を行いつつ、男子新体操の普及を目標に様々な活動に取り組んでいる。

【実績】
・インターハイ団体優勝 
・全日本学生新体操選手権大会団体4連覇 
・全日本新体操選手権大会団体4連覇
【出演】
・東京テレビ「年忘れにっぽんの歌」鳥羽一郎コラボ 
・TBS「音楽の日」三浦大知コラボ 
・BS11 ドキュメンタリー「ザ・チーム 勝利への方程式」
・Avex主催「STAR ISLAND」サウジアラビア公演 
・大阪ガス主催「10歳若がえりセミナー」講師
【資格】 
・中学、高等学校第一種教員免許状 
・ビジネスアスリート2級
・日本スポーツ協会公認スポーツリーダー

20年以上続けてきた「男子新体操」というスポーツをより多くの人に知ってもらうため、日々活動をしています!! 頂いたサポートは、今後の活動費、またはその勉強のために使わせていただきます!🙇‍♂️✨ また、サポートとともに記事のリクエストも募集しております。