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【ネタバレ注意】週刊少年サンデー 2022年44号 名探偵コナン FILE1100「煙滅」【本誌感想】

―怪盗、今宵は梓に!―

サンデー本誌感想、2回目。
(厄介なことに)本誌のことを「聖典」だと思っているコナクラなので、今回熱くなっちゃうかもしれないです。
相変わらず推理パートに関してはヘッポコ探偵なので、事件の推理は他人にお任せ!(笑) 個人的に激アツだと思ったポイントを書いていきます!

登場キャラはコナン、蘭、園子、キッド、中森、梓、次郎吉、安室、脇田。



▼表紙と犯沢さんとスペシャル対談と

本編に入る前に、今回はこれから触らなければならないだろう!
『犯人の犯沢さん』のアニメ化を記念して、『~犯沢さん』の出張掲載と、その作者・かんばまゆこ先生が青山剛昌先生と対談を果たした記事が載っているのだ!
そのため今号の表紙は、本来は表紙を飾るはずのない犯沢さんに対して、コナンくんが指で突いて「…どういうことだよ!」とツッコミを入れているイラスト。ジト目コナンくんからしか摂取できない栄養があるんだ。

そして青山剛昌先生とかんばまゆこ先生のスペシャル対談、実は結構スゴいことが書いてあってワクワクしちゃってます。
まず、青山先生が『~犯沢さん』に白馬探が頻繁に登場することを指摘。そして一言、「オレも出そうかな(笑)」と!!!
みなさん!!!!! もしかしたら近いうち、白馬再登場するかもですよ!!!!!(ないやろ)
そしてもう一つ。どうやら青山先生、萩原千速が相当お気に入りのようで「ぜひ千速を出して欲しい!」と言ってます。かんば先生が千速のイメージについて聞くと、「女海賊だと思えばいいです」と回答。萩原千速は女海賊!!!!! ……だそうです。

それから、今号では本編コナンの次のページに『~犯沢さん』が出張掲載しているのですが、これを読んだ後に本編を見返すと、やっぱり青山先生のコナンくんの安心感がエグい! もちろん『~犯沢さん』も大好きなのですが、本家本元という意味で。改めて、本家コナンのカッコ良さ&愛くるしさの調和が「黄金比」であることに気づかされる。


▼ゲストキャラクターについて

今回の名ありゲストキャラは以下の通り。

■安堂芹亜(あんどう せりあ)……36歳。展示場主任
■中條近与(ちゅうじょう ちかよ)……71歳。宝石鑑定士
■狩野文嗣(かりの ぶんじ)……43歳。古美術(アンティーク)鑑定士

名前の由来は、恐らく「アドリア海」「地中海」「カリブ海」。海の名前が由来っぽいです。
事件パートについてはまだ全然分からないけど、恐らくキッドの変装候補としての容疑者なんだろうな。

そして、冒頭で中継をする日売TVのアナウンサーは見たことない女子アナ。というのも、キッドでアナウンサーといえば麦倉直道アナの熱い実況が印象的だからだ! 24巻でピスコ候補の容疑者として登場したキャラだが、実はしれ~っと何回か登場しているのにお気づきだろうか。コナン界の福澤朗とでもいうべき名リポーター・麦倉アナ、キッド回の担当キャラとして定着してくれないかな~。

『名探偵コナン』44巻・FILE.9「戦慄」より
『名探偵コナン』90巻・FILE.3「突破」より


あと、次郎吉おじ様が出るたんびに、3代目声優がどなたになるのかと考えてしまう。 永井一郎さんも富田耕生さんも、存在感のあるお声の大御所声優さんだっただけに気になるところだが……。
個人的には秋元羊介さん・宝亀克寿さん・麦人さん あたりが似合うと思うのだけれど、やっぱり未だに初代・永井さんのイメージが強いな~。


▼海の魔女(セイレーン)と「警報」

今回キッドが狙うお宝は、「海難を防ぐ御守りとしてかつて海賊達が7つの海を探し回ったと伝わる」王冠である「海の魔女の水飛沫(セイレーン・スプラッシュ)」なんですが……。
えっ、海難事故の御守りとして大丈夫か!?!?!??? むしろ事故に遭うんじゃないか!!!
……って思ったけど、なにか童話的な、ロマンティックな逸話が残るお宝なのかも。

セイレーンとは、元はギリシア神話に登場する怪物。

下半身は鳥、腰から上の胴と頭と腕は人間の女の姿で現われ、シチリアの岩の上で、通りかかった船乗りに向けて歌いかけ、騙して誘惑してむさぼり食うとされた。

キャロル・ローズ『世界の怪物・神獣事典』(原書房)より引用

同書によると、半人半鳥の怪物だったセイレーンは、キリスト教の影響や博物誌の描写により、いわゆる「人魚」と似た姿とされるようにもなったという。海賊が御守りに使っていたということは、原義のセイレーンというより、人魚と混同された後のセイレーンに因むお宝なのかもしれない。

ちなみにセイレーンは、「警報」の英訳であるサイレン(Siren)の語源になっているとか。
王冠を展示ケースから1ミリでも動かすと、「警報」が鳴ると安堂主任は説明している。
キッドは予告状で「海の魔女の呪いを解き」と書いているので、呪い=セイレーンの歌声だとしたら、「警報」を鳴らさずに王冠を消したのは非常にシャレが効いている。というより、キッド様ならこれぐらいのシャレは思いつきそうなので意図的なモノなんだろう。(これについて次号以降で言及がありそうな感じする)

……本当に関係ないのだが、お宝が「7つの海を渡った海賊の宝」で、それを守るのが「風神の路」なので、『紺碧の棺』の主題歌「七つの海を渡る風のように」を連想してしまった。あれ名曲だよなぁ。


▼脇田・若狭・コナン、展開される「三すくみ」

今回、脇田が登場したのにはビックリした。曰く、次郎吉がキッド確保の前祝いで寿司を注文したためらしい。(毛利探偵事務所、錦座から注文を受けるほどの名店ポアロ・いろは寿司に隣接してるの最強すぎる)

コナンくんって「脇田のおじさん」って呼んでたんだっけ。全然覚えてないや。逆もしかりで、脇田→コナンの呼称も「コナン君」だったのか。
なんか可愛いな!
……コナン界の呼称については、語りだすと "沼" なのでいずれ別の機会を設けて言及できたらと思います……。(服部→蘭、灰原→服部、目暮→蘭とか)

ネットのどこかで、(SNSだったかな?)「脇田=RUMはミスリード」説を見たことがあるけど、今回で「脇田=RUM」はほぼ確定したと言っていいのかな? そしてついにRUMの義眼がお披露目!(組織のNo.2が「2時間めぇ」って悟空みたいな言葉使ってると思うと笑えてくるな!)

ところで、園子がポアロのサンドイッチを勧めたところ、脇田は「昼飯食べ過ぎちまったんで…」と断る。このシーン、かなり重要だと思っている。

『純黒の悪夢』ではRUMの腹心の部下であるキュラソーが、組織に潜伏するネズミを突き止める役目を担っていた。97巻・FILE.2~6「36マスの完全犯罪(パーフェクトゲーム)」シリーズではそれを踏まえてか、脇田が裏切り者に過敏に反応し、安室=公安からのスパイだということに薄々気づいているような匂わせがされている。(『純黒』でバレかかってたし)

『名探偵コナン』97巻・FILE.2「探偵の目」より

とすると、組織の裏切者が作ったサンドイッチは食べられないということだろうか。
そう考えると、コナンが頬を染め、美味しそうにポアロのサンドイッチを頬張っているのが象徴的にすら感じる。コナンにとって安室は、既に信頼できる「味方」であるから、脇田と違ってサンドイッチを食べることが出来るのだ。

脇田=RUMは工藤新一の情報を追う一方、若狭に目を付けられているようだ。コナンはといえば、前回の導入まで若狭のことを警戒していたものの、事件解決の際に「その警戒を解いた」らしい。
脇田に、若狭の印象を聞かれたコナンは屈託のない笑顔で「普通の先生だよ?」と答える。守りたい、この笑顔。 この笑顔、どこかで見覚えがあるなと思っていたら……。

『名探偵コナン』60巻・FILE.5「新たな隣人」より

沖矢昴を怪しむ灰原に対して、「ホームズファンに悪い人はいないから!」と答えるシーンと似ている。コナンは「沖矢=赤井=味方」だということを知っているから頬染め笑顔で答えられる。この時と同じ心境だとしたら、前回の「海の家事件」を通して、コナンの中で若狭が「味方」になったということだろうか?
そんな味方である若狭に対し、探りを入れるような質問をしてきた脇田には、コナンの中で「敵」になった可能性すらある。(それとも、とっくに脇田は敵認識されているのだろうか)
だとしたら、脇田・若狭・コナンの関係性は、三すくみのような様相を呈してくる。


▼キッドを引き立てる「コマ割り」と「コナン」の演出

ようやく、今回の主役・キッドについて語っていきます!

いやさぁ~、王冠を消すときのキッド様、カッコ良すぎだろ!!!!!
予告時間ピッタリに現れ、スポットライトに照らされるキッド。その満を持した登場シーンは、1ページの半分を〆て描かれている。

そして、「Three…」「Two…」「One!」の合図で王冠を消すのだが(僕の脳内の山口勝平さんは、「Two…」だけ「Tho~?↑」と尻上がりだ)、このコマ割りが最高すぎませんかね!?!?
キッドは指を「3」にして腕を上げたところから、指と声でカウントしながらその腕を下ろしていく。その腕の動きとリンクするように、コマの形も斜め下に向かって展開していく。漫画の構成に関してド素人ですが、このコマ割りがマぁジで素晴らしい。
キッド様のエンターテイメント性を演出しているし、何よりも生中継でキッド様の動向を見ている観衆と、読者の目線がまったく同じ動きに誘導されるため、読んでいる自分が実際にキッド様を見ているかのような臨場感が味わえるのだ。漫画なのにVRキッド様、贅沢すぎる。

さて話は変わって、キッドとコナンの関係性を見ていく。
キッド回におけるコナンの役割とは何だろう? それは「露骨な引き立て役」を担っていることだと思う。
キッド回では、シリーズ1話のラストで、キッドが披露する超常現象的な奇術に対し、コナンが驚愕するシーンで締めくくられるパターンが多い。今回でいえば、キッドが王冠を消したことに対して「本当にこの世から…消滅させたっていうのかよ!?」と露骨にビックリし、普段のコナンくんならなかなか言わないであろう非科学的なセリフを口にする。

主人公であり、その全能性を発揮するべきコナンくんが何故「露骨な引き立て役」を担うのか? それは、コナンとキッドの関係性が「宿敵(ライバル)」であるからだと思う。
通常回の犯人は、コナンが推理によって打ち負かす。それは正義であるコナンに対して、犯人が単なる「敵」に過ぎないからだ。軍配はいつもコナンに上がらなければならない。
しかしキッドはどうか。キッドは人の物を盗む犯罪者ではあるが、コナンは彼の義賊としての側面を認めていたり、時には協力し合ったりすることもある(「ミステリートレイン」、『紺青の拳』など)。つまり、単なる「敵」ではなく、「宿敵」といえる存在なのだ。ちなみに、キッドはコナンのことを「もっとも出会いたくない恋人(こいびと)」と表現した。後に赤井秀一はジンのことを「宿敵(こいびと)」と表現している。

『名探偵コナン』30巻・FILE.7「誑欺」より
『名探偵コナン』49巻・FILE.4「黒の組織VS.FBI②」より

「宿敵」の関係性においては、コナンが常に一方的に勝利しなければならない理由はない。サトシはシゲルに負けたりもする。

ただし、推理漫画という特性上、キッドが提示した謎は解決しなければならない。だからこそ、1話のラストでコナンは「キッドにしてやられた!」というリアクションを取って「引き立て役」を演じるのだ。



▼まとめ

……推理パートについてはからっきしだけど、トルマリンが帯電する性質を利用したトリックなんだろうな~。キッドは消えた「ように見せただけ」。でもそこからどうやって回収するつもりなんだろ? 「風神の路」の高さがキモなのかな?

あと、SNSで物議をかもしていた安室と梓のエピソードはどう展開していくのか……? 次回が気になる!


♪ 平沢進 / 「SIREN」
https://open.spotify.com/album/32NYvrETcA5iKorC3Sk1z9?si=BUD05HD5Rbaey4dUmq4s1w

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