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[11]F1チームが選考で見ることと、一般的な選考ステップの紹介

F1エンジニアに憧れる人へ。実際に目指してきた経験を元に、F1に憧れる人へ連載を始めました。筆者は日本の高校→イギリスの大学→英F1チームインターン(2017-18)等経験。
・前回記事「[10]F1で働きたいなら、日本のチームを目指すべきではない4つの理由

F1チームの一般的な選考方法は、意外と普通です。

普通というのは、他業界と特段変わった部分があるというわけではないということ。ただし、日本語ではどの様な選考ステップになっているのか、あまり表立って話されません。

今回はそんなF1チームの選考方法・ステップについて紹介します。


選考方法はチームやポジションによって違う

まず当たり前ですが、チームやポジションによって選考方法は違います。チームによって性格も違えば、選考されるポジション(役職)によっても違います。

例えば僕が受けた面接と、友達が別チームで受けてきた面接は、数も内容も違うものだったりします。あるいは同じチーム内でも、例えば空力部門の選考と車体制御部門の選考ではやり方が少し異なったりします。

年によっても違いますし、絶対的な選考ステップはありません。

ただし、傾向や共通点はあります。

F1チームが欲しい人材というのはどのチームでも大きな違いはありません。何が見られるのか?


見られること:

・専門の理解力、応用力、経験

絶対的に必要な能力として、職種と関連した専門項目に関する理解力や応用力が測られます。大学院まで関連科目でしっかりと学問を積んできた人であれば、大きな問題はありません。

レース現場に適した能力を有しているかも見られるでしょう。


・ポテンシャル

同時に、これからのポテンシャルについても見られます。F1では、停滞は即ち後退を意味します。常に成長し続けられないと、すぐにおいてかれてしまう。

これまでどの様なアプローチで研鑽を積んできたか。学び続けられるか。


・ロジカルなコミュニケーション

F1ではロジカルな思考能力やコミュニケーションが求められます。他のエンジニアと話していても、みんなロジカルでハキハキ話して、頭の中が高速でクルクル周ってる感覚になります。


・チームでうまくやっていけるか

ただ学問的に優秀なだけではいけません。

一緒に働きたいと思ってもらえるか? 一緒にいて嫌なやつだと思われないか? そんな点も、実は大事だったりします。例えば明るい人は、やっぱり好まれる。


・熱意

僕の友達に、「熱意を感じられなかった」という理由で選考を落とされた人がいました。彼がF1に対して熱意を持っていることはよく知っていたのに、チーム側は面接を通してそう感じなかったらしい。

イギリスでは謙遜というか、自分のことを少し控えめに伝えがち。ですが、例え謙遜を入れても、最後は「自分にはできる」「やらせてくれ」と言えなければ、熱意がないと捉えられても仕方がない。



選考ステップ

以上の要素を見るために、F1チームは各々の選考ステップを用意しています。基本的には書類審査と面接(1回~複数回)。

・書類:
書類審査は基本、CVとCover Letterからなります。
CVとは、Carriculum Vitaeの略。日本で言えば、履歴書・経歴書に近いものです。

Cover Letterは、会社に対して送る、手紙形式のエッセイのようなものです。自分がどの様な人間なのか、CVでは表現しきれない部分についてもアピールできます。


・面接:

書類審査に通ると、面接に進みます。面接はF1チームのオフィス、あるいはアセスメントセンターで行われる対面面接が通常のようですが、電話面接もありえます。
面接の前に、試験を受ける場合もあります。

面接回数はチームによってまちまちで、1回で終わるところもあれば、聞いた中では最大5回面接を行ったチームもありました。ひえー。

内容は職種に関連する専門項目についてや、頭の柔らかさを試されるような内容が中心です。もちろん、カジュアルな話もします。「なんでF1で働きたいと思ったの?」とか。

チームによっては、ランチを一緒にすることもあるようです。僕は行ったことないけど、行った友達は緊張して食べれなかったとか言ってた。そりゃそうか。笑


・内定:

結果発表について、よく言われることがあります。それが、

「合格なら電話で、不合格ならメールで連絡が来る」

ただし、絶対的にそうであるわけではありません。僕はインターン面接に合格した時、メールで連絡をいただきました。(ビザの問題がややこしかったから解説が必要だったというのもあったみたいですが。)


・Referenceについて

あまり言われないことですが、Reference(参考人)は結構見られます。
特に海外のF1チームにとって、日本人は未知の存在。誰か知ってる人からの推薦や一緒に働いた時の感想を言ってもらえると、それが重要なウェイトを占めたりします。

F1チーム内に知っている人、一緒に何かしたことある人がいれば、是非尋ねてみましょう。


・インターン選考

F1チームでインターンをした人は、その後本就職をする際に面接が省かれる可能性もあります。1年インターンとは即ち、1年を通した就職面接。どんな人物か、どんな仕事をするかはハッキリ見られます。

もちろん、インターンをゲットするためには書類選考も面接も突破しなきゃいけないので、その点はご留意ください。


F1を目指す人へのTips

今回はF1チームでの、基本的な選考ステップについて紹介しました。

あくまで参考としてですが、どの様な形で選考がなされるのかを知ることは、大切だと思います。(僕はイギリスに来てから、F1チームの説明会や友達や自分が面接を受けていくなかで、詳しく知っていきました。)

書類審査→面接→内定

が基本。
まずは書類審査を突破しなきゃですね。てことで次は書類審査について、少し掘り下げてみようかと思います。

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