舞台付箋 舞台『血界戦線 Beat Goes On』(ネタバレ有)

漫画・アニメ・2019年舞台を履修の上、第二弾の東京公演初日他何度か劇場観劇。東京千秋楽、おめでとうございます。配信だと座席からは見られなかった細部まで分かるのが楽しいですね。
※原作エピソード等ネタバレします。が慌てて書いたのでそのうち追記していきます。

ネタバレ無しの記事はこちら

■公演概要

原作:内藤泰弘『血界戦線』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:西田大輔
https://www.marv.jp/special/s-kekkaisensen/
公演期間
東京 2020年11月20日(金)~11月29日(日)
天王洲 銀河劇場
大阪 2020年12月3日(木)~12月6日(日)
メルパルクホール大阪
https://www.marv.jp/special/s-kekkaisensen/index.html

・グッズ販売は通販(一部アニメイト店舗販売も)
https://collection.rakuten.net/marv/s-kekkaisensen/

・チケット
全席 ¥11,000(税込)※非売品グッズ付き
前作に引き続き、ブロマイドに使用された写真の別ver.のようなフォトブック。今回はちょっとレストランのメニューのようなデザインなのが乙。

■出演

レオナルド・ウォッチ:百瀬朔
クラウス・V・ラインヘルツ:岩永洋昭
ザップ・レンフロ:猪野広樹
スティーブン・A・スターフェイズ:久保田秀敏
チェイン・皇:長尾寧音
ツェッド・オブライエン:伊藤澄也
K・K:安藤彩華
ギルベルト・F・アルトシュタイン:萩野崇
堕落王フェムト:山本一慶
サックス、フルート:丹澤誠二
ドラム:KEN’ICHI
ピアノ:安島萌
ウッドベース:玉木勝
ヴァイオリン:ソンイル
アンサンブル
大澤えりな、書川勇輝、神田愛莉、高士幸也、田上健太、夛田将秀、中野紗耶可、七瀬彰斗、眞実、横山慶次郎
ボイスアクター ネジ:阿部カノン

原作:内藤泰弘『血界戦線』(集英社 ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:西田大輔
音楽:GIRA MUNDO
アクション監督:栗田政明
振付:CHINO、JOSE(MAD ON J MASTERS)
舞台監督:伊藤清一
美術:乘峯雅寛
照明:大波多秀起
音響:ヨシモトシンヤ
映像:横山翼
衣裳:惠藤高清
ヘアメイク:車谷結
小道具:羽鳥健一
特殊造型:杉本末男(chara)
演出助手:佐久間祐人
トレーナー:伊藤洋
カメラマン:金山フヒト
宣伝デザイン:羽尾万里子
制作進行:杉田智彦


■作品概要

漫画原作『血界戦線』の舞台化第二弾。キャスト・スタッフは前作から継続した同じ制作!ありがとう西田大輔氏!!今回は短編芝居のマシンガンでしためっちゃ喰らった!!!! 
音楽は舞台オリジナル楽曲のみ。(アニメ岩崎太整さん楽曲やOPEDのアーティスト主題歌等は一切なし。)前作舞台血界戦線で聞き慣れたオリジナル楽曲の他に、曲調の異なる様々な生演奏を交えながら繰り広げられる時間は正に異界都市ヘルサレムズ・ロットそのもの。
一幕
・魔封街結社
・王様のレストランの王様
・とある執事の電撃作戦(ブリッツクリーグ)
二幕
・Don’t forget to don’t forget me
(と間に流れるように ザップ・レンフロ 因果応報中!!)
・鰓呼吸ブルース(前編・後編)
・ライツ、カメラ・アクション!

■舞台付箋

・短編芝居のマシンガン
『今回は始まりの話』というレオの冒頭の台詞から明示されるように、漫画単行本でいう1巻冒頭のレオナルド・ウォッチとライブラとの出会いから、以降単行本最新刊までの『血界戦線』『血界戦線back 2 back』までのエピソードから大体6~7話ほど抜き出したものを3時間弱にまとめたもの。舞台第一弾でも出会いの話は触れていたものの、今回ほどまでに描いてはいなかった部分も描写。止めどなく連射されるエピソードに観客はさながら芝居のマシンガンを浴びたような感覚になったのではなだろうか。
芝居の短編集があるならばこういう風になるんだろうな、と漠然と思いながら穴だらけにされる感じです。むしろ芝居の暴風雨。ハートが震えるし、ビートも止まらない。
俺達(舞台組キャスト・スタッフ)がやりたいこと全部盛り!感を感じるなら大阪公演か、配信で今から追いかけるのが一番いい。(2020.11.29時点)

・2.5次元舞台の新しい形(かもしれない)、バンドと芝居

前回と同じサックス・キーボード・ドラム・ウッドベースに加えて今回はヴァイオリンが参戦。盛り盛りのバンドメンバー、テナーサックスとヴァイオリンの濃厚なセッション。耳が幸せ。そしてヴァイオリンが新たに参戦したことで、演奏される楽曲に幅がでました。『王様のレストランの王様』ではヴァイオリンのお陰でとてもシックに纏められていたのが印象的です。元々サックスはエロスを奏でる楽器だと思っていますが、そこからフルートに持ち替えるととたんにPOPになるとは……いやフルートはクラシックを支える楽器のの代名詞ではー!?と思っていただけに二幕の『Don't forget to Don't forget me』ではレオと異界存在ネジとの微笑ましい日常を軽やかに奏でていたのも、驚きを越えた心地よさがありました。良き良き。

・時を切り取る西田演出

冒頭のOPシーンで印象的なのが、レオのカメラを使った時間を切り取る演出、こういうの好きです。説明するのに時間が止まってる感であったり、OP中にライブラメンバーの良い瞬間を切り取ったかのように時間が止まるのが格好良い。ザップはチンピラを伸した時、チェインはいなして何事もないように座った時、スティーブンはコーヒーを飲もうとする瞬間を呼び止めて振り向いた時、ギルベルトはクラウスに紅茶を入れよう……としたのを自分で飲んでしまった時、K.Kは特殊な銃で敵を蹴散らし終えて肩に構えた時、ツェッドはシャボン玉を蹴散らして突然現れたチンピラの攻撃を受け止めた時、クラウスはレオの撮った写真をどうかね、なんて尋ねようとしたのか近づいてきたのを自撮りで一緒に。一瞬で各キャラクターのらしさ、みたいなものを伝えられるOP殺陣でしたねヒュー!

・これまでの西田演出であまり見かけなかった目に優しい演出方法
今回、風船(バルーン)を使用した優しい照明演出が新たに取り入れられていたのが目の裏に残っています。白いバルーンに強い光のペンライト?を当てるとあんな柔らかい光になるんですな。こういうの大好きです。目に優しい。

・これが俺たちの甘くて苦いステップだ!!
王様のレストランの王様、への場面転換で踊ってくれたのを待っていた! アニメも知ってる舞台ファンはずっとこれを待っていた。しかし舞台第一弾では踊る場面もなければ着替える時間もないのでカテコでやってくんねーかな等と思っていたもののありませんでしたしね!!雰囲気が違うので無理や!! と思っていたら今作ですよ、舞台版としてのシュガビタステップがそこにはあります。まさかの正装が必要となる『王様のレストランの王様』への場面転換で何人かずつ抜けながら、且つ絶対に板の上には誰かしらがいて、皆で思い思いのステップを踏むダンスシーン。アニメ一期の滅茶苦茶な、けれどとても楽しそうなあのEDシーンのような、死ねない理由で生きてく理由がそこに映し出されてんだ!!待ってた!!

・異形頭しゅごい
異形頭好きは見るべき。造形が完璧。前作メインビジュアルでツェッドオブライエンからもうこれは本気なのは知っていましたが(何せ俳優の売りの一つである顔を完全に隠して原作を再現する気合を見た)、今作は最高のツェッドの他にもわらわら出てくる通りすがりのHL一般人アンサンブル異形!!
一幕冒頭で暴れていた邪神の半身、あれ中の人ツェッドの中の人(伊藤澄也氏)っぽくないかなぁと東京楽を終えても確証ないまま、そうだと面白いなと思っています。
(2021.05.16追記)
円盤購入特典のトークショー配信により、一幕の場面では伊藤澄也氏はあの場面ではソニック1の担当だったそうなので、邪神1/2ではありませんでした。そうかソニックかー!舞台第一弾の時も色んなキャストの方が瞬間移動ソニックを担当されていたのを思い出しますね。(円盤バクステ参照)

11/29東京千秋楽カテコの際の締めくくりはやはり主演・レオナルド・ウォッチ役の百瀬朔氏。本当に東京公演を終えることができてよかった。こうして千秋楽まで彼らが板の上に立つことができてよかったと思います。
次は大阪公演。無事に、この舞台世界が大千秋楽を迎えられることを切に願うばかりです。

めっちゃ、楽しい時間でした。舞台血界戦線は、いいぞ!!

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