ぼくらのD2cのスタートの仕方と 今から始める方へ向けてアクションも含めてかいておきます。



僕は縫製工場を経営しています。
リネンのアパレルを立ち上げておりまして
ブランド名はwafuと言います。
現在は社員数30名以上 年商で1億円以上いきます。
主な販路はインターネット販売で全体の95%を占めます。

早速ですがどうやって今があるのか説明していきますね、

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もともとは両親2人が営んでいた縫製業を継いだ形になります。
土かべの古い家の中に、裁断台とミシンがある小さな工房と言った感じで
振り屋さんから仕事をもらって細々やっていた感じです。

24歳で事業を継いで分かったんですが
借金返済におわれ生活がギリギリのラインでした。

まず行ったことが 工房の「整理整頓」です。

写真残してればよかったなぁ。

あれがない、これがない、ミスしていらつく、両親がケンカする。
もう、見てられなかったです。
でもね、整っていると

ものをなくしたのは自分がいけなかったとなるし
間違いは自分がいけなかったとなる。

他責を自責にすることができるので効果ありです。
作業効率は格段にあがります。
空間もお金を生む。これをよく覚えておいてください。

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何度も言います、整理整頓は絶対すぐやったほうがいいです。僕は「透明な5段クリアケース」を買って、それを8段くらいに重ねて洋服のパーツや糸、型紙など分けてすぐに見えるで収納しています。今も使っています。


仕事環境を整えつつ

それからは4年間ほどキチガイかと言われるほど縫いました。
一日11時間くらい。土日も関係ないです。
友達とも遊べません。彼女にも2.3ヶ月に1度会う感じです。
ただ全然儲からない。
シンプルに工賃が安いです。

これは自分でモノを売っていかないとダメだなと。
それでパソコンを買って、当時はヤフオクに作った服を出品しました。
ただ、思った値段では全然売れません。

1000円、2000円てのもザラです。

なのでコストをいかに抑えるかを考えて、
生地は楽天のショップの手芸のナカムラというお店を利用していました。
2mカット売りで 700円程度で手に入るので激安です。

どうにか無理くり2m内で入れ込むことにしました。

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生地はOK。あと型紙です。

これもブックオフに行って200円くらいの型紙付きの本を買いあさり、型紙を見まくる。ということをしました。分からない部位は実際に縫って確認するという作業をしていました。

ああ、こっちの縫い方のほうがいいから型紙を変えよう。とかスリットを入れようとか
簡単な修正をしてオリジナルの型紙をつくっていきました。

こんなことでも縫製をしてればパターンはすんなり頭に入りますので
応用、応用の繰り返しで誰でもパタンナーになれます。


僕にもともとその能力があったんでしょ。と思われるかもしれませんが
借金返すために何でもやった。というのが正直なところで、
つべこべ言わず やるか、やらないか。 だと思います。
僕は一切 パタンナー専門書などの本から学んでいません。

もっと実践的で 明日つくってすぐにお金に直結しそうなパターンを研究しまくって服を作って、販売してみて反応を見ながら修正、修正の繰り返しを高速で行いました。もう喉から手が出るほどお金がほしかったです。

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オリジナルの服作りは、当時OEMの合間に入れていました。
17時からはオリジナル服製作をやる。とルーティンにしました。
作業したり、しなかったりはダメダメです。
人間は継続が苦手な生き物だからです。

毎日やる。

縫ったら、家の玄関がフォトスタジオ。
光がさすようなところで写真を撮っていました。

あとは販売の強化です。誰も認知されてない服を
世に出しても全然売れないので、

SNSは当時何もやっていなかったので、最初から見込みお客がいる場所を探しました。

目をつけたのは、
ヤフーオークションです。

カテゴリは ハンドメイドワンピースが比較的活発に動きがあるので、

ここで闘うことにしました。

ここで大事なのは 見せ球です。

例えば 1円スタートの作品を一つ出品して あとは定価で10000円のものを用意しておく。
そうすると他の作品はこれくらいするから10000円以下で買えたらラッキーなのでオークションに参加しやすくなります。入札件数が増え人だかりがあるようにみえます。人だかりができると評価されていると思い、お客さんが集まってくるのです。
これを「バンドワゴン効果」といいます。(行列には気になって並びたくなるやつです。)もし買えなくても次回も参加してくれたりする確率がぐんと上がります。


時間がない方とか、すでにリピーターさんであれば即決で10000円で買っていただけることもありますから。これはテクニックとして覚えておいてください。

あとは「松竹梅の法則」です。
5000円、8000円、12000円の価格帯を用意しておくこと。
真ん中の8000円が一番多く売れます。価格がバラバラだと効果がなくなるので3つの価格帯に絞ります。
こんな感じで2.3年位かけて種銭をつくっていた毎日でした。

今ではハンドメイドプラットフォームのminneやCreema、iichiなどで簡単に販売ができますから

例えば、見せ球は 安価なものを用意してあなたの作品を知ってもらう名刺をつくります。比較的簡単に作れて赤字にならないギリギリのラインでもいいと思います。
だって、普通は広告費かけて作品を知ってもらって、購入ですよね。
楽天市場にも試しに一年間出品してみましたけど、まぁお金がかかります。お金をかけないとほとんど売れないです。
もし、対面販売だとしてもマルシェや催事に出向くのもコストがかかります。
それは広告費を上乗せしないと実質安売りしているのと一緒です。

商品渡してあなたのことを知ってもらえるだけで一歩前進です。
お客さんは、あなたのことをまだまだ知らないので買わない。そう思ってください。


wafuでは「入門編」と「見習い製作品」とかがそれに当たります。

ここではお客さんとやりとりを大事にすることが非常に重要です。


なぜなら目的は
「名刺代わりの作品から」→ 「本当に販売したい正規の作品」に興味をもってもらうこと。

だからです。


それには多くの「コミュニケーション」をとること。これです。

むしろ、これが出来なければ「名刺代わりの作品」は販売しないほうがいいです。


wafuでお買い物された方はご存知の通り、悩みがあれば親身になって寄り添います。
会話をしているんですよね。
喜びは共感したいですし、お客様に自身に興味があります。
言葉をかけることができているかどうか。常に意識してください。

例えば、腕が長いお客様がいて、「市販のどの服も袖が短いんです。」
とご相談があったとします。
ならば、袖丈を長く仕立てますよー。ということもします。

お店側はどんな対応をするか、お客さんは敏感に察しています。
そして悩みの解決こそ 一番お客さんと仲良くなれます。

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そうするとですね、お客さんが定着して
お取引が5000件を超えた時点で本格的に自分でwebショップを開設してブランドをつくりました。wafuの始まりです。

ここで重要な事を言っておきます。

見込み客をつくるまで継続するということです。

僕が最初からwebショップをつくっていても売上が立てられなかったと思いますし、
宣伝広告費をかけたと思って僕の事を知ってもらうために、最初は多くの人いる場所を利用し作品を届ける。

だから当時はヤフオクを利用しました。

今から僕が始めるとして手順としたら

見込み客がいそうなマーケットで出品(Creema、minne、イイチ、インスタライブ、メルカリ ヤフオク 海外ならPinkoi Etsy などなど → 名刺代わりの作品と 本当に手にとってもらいたい作品を用意する→ 販売の際に コミュニケーションを忘れずに覚えてもらう。定型文でサクッとは関係もサクッとしちゃうからだめ。→コアファンとそうでないお客さんが分かって来る→HPをつくって告知し販売へ

この流れです。


すぐに利益の回収を急がないで、お客様との対応の仕方を覚えたり、お客様像を知ることに注力します。利益がトントンでも勉強した時間はプライスレスです。
何度も言います、まずは、見込み客をつくるまで継続することです。

これができればほぼうまくいきます。準備8割とはこの事です。
そして、お客様が定着しだすと、料金を上げるタイミングがやってきます。

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そう、、人を雇用しないと手が回らないからです。業務委託だとしてもそうです。


ちなみにwafuでは売上の半分以上が人件費になってます。

アパレルでは生地や副資材もどんどん値上がりしています。
人件費もそうです。

これを価格にのせないと事業が成り立たない。

wafuでも度々値上げをしています。リネンは特に値上がりが激しくてどうにもなりません。

新人縫製人を育てながらの運営は利益を圧迫します。

ただやるしかない。

「お客様には、なるべくお安く提供したいですぅ」、

「お客様のためですから。」


じゃない。

そんな事言ってる場合じゃない。

自分たちの首絞めてどうする。

職人が最低賃金で会社にはキャッシュが回らないのは健全じゃない。
いい仕事や真摯なサービスが提供できるわけないです。

ここで、このマインドをもってください。

価格のファンなのか、あなたを含めた活動のファンなのか。

価格のファンは値上がりと同時に去っていきます。

僕も心無いことも言われたりしました。その多くの方が共通して言うセリフがあります。


「以前のほうが好きでした。」「昔に戻ってください、、」「今の〇〇は嫌いです」


いやー、正直きついです。


ただ、ブランドの活動と未来を応援してくれるのがファン。
その方と歩むほか選択肢はないです。

思考を切り替えて、あなたのファンに向けて最高のパフォーマンスを出すことが正義です。


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ただ、スタッフを雇用するとなると、販路の拡大やSNSの強化が必須になってきます。

ここで初めてSNSを運用することになります。

まずはインスタグラムから始めました。インスタの特徴は見る専門媒体ですが僕のインスタは読む方へシフトしています。


倫理観や哲学的なものもあります。あんまり商品のアプローチができていない可能性も高いです。でも流入数が多いので続けてます。
意識したのは
必ず自分らしさをだしていく事。

作品のファンより先に自分のファンになってもらうことにしました。

フォロワーが少なかろうがいいんです。関係ないです。

たとえ100人のフォロワーでもそのうち10人はコアファンでいつも購入してくれる。そんな関係構築を目指しました。

それと、僕らはメルマガやLINEの配信のような、お知らせをし始めたのは
ここ一年くらいなもので、今まで全然やってなかったです。
驚かれるかと思いますがなにもやってこなかったんです。


待ちぼうけのような状態でしたが、それでもいくつか受注がありました。一人ひとりのファンとの関係構築に注力した結果だと思っています。

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それと他に何をしたかというと、お客さんを飽きさせないように毎日新作をアップするという千本ノックのようなことをしました。

それは業務のルーティン化と縫製士の急激なスキルアップに繋がり、wafuの基盤をつくったと言っても過言ではありません。

その頃の僕はオーバーワークで何度か倒れていましたけど。

お客さんはHPを開くと毎日新作があるのでついつい明日も気になってスマホみちゃう。という作戦です。

この千本ノックが原因でメルマガやLINEの配信ができなかったんですが

次第に天井が見え始めます。これ以上数字が伸びないなと。
スタッフの誰かが休んだら新作のアップもできないという ギリギリの布陣。

次のステージへいくきっかけはやっぱり仲間です。
働きたいと言ってくれる方を仲間に加えていきました。

サラッと書きましたが、僕らのような小さい会社では雇用は怖いです。


もしお給料払えなかったらどうしようとか、仕事ができない人だったらどうしようとか、この先どうなるか分からないからといって諦めてしまうことです。


不安なのもよく分かります。ええ、僕も随分悩みました。たしかに、組織ができてない頃は価値観が合わずうまくいかないこともあります。しかし 動くべきだと思って積極的にいきました。

考え方として、ライバルの発信の仕方や闘い方をチェックして
自分達がまたやってないことを紙に書き出します。
例えば僕たちの場合は、

売上が伸ばせそうな作業として メルマガ、LINE、ライブコマース、
ポップアップショップ 写真撮りの強化、顧客対応の強化 などなど

書き出せば相当あります。まだまだやれることが沢山ある、打ち手はあるんです。
そこに人を投入してお給料分をペイすることができるかどうか。

ただ、ベンチャー企業にはお金がありません、

初月から従業員の給与分をペイするには

まず自分でやる。

コストをかけないようにまず、少し自分でやってみる。6割結果をみて、真剣にやれば採算とれそうだなと思ったら募集をかけて仲間になっていただきます。

仲間になっていただいても、ほぼ素人のような感じからスタートです。
そうです、ベンチャー企業はお金がありません。

ですからもしエキスパートのような方がいても高いお給料ではとても支払えません。
で、こんな言葉があります。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」

自分でやってみて育てていくしかない。
そうです、僕らメンバーは素人集団なのです。


これを一つ一つやってみて、自分たちにフィットする販売方法を探していった感じです。

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それと同時に、リスクをかけて縫製工場を大きくしました。
縫製職人を育てないと技術継承が出来ないからです。

それには場所が必要でした。

せまく古い、家の間借り工場では魅力的には見えず、ここ会社なのか、大丈夫か?!と思うのはあたりまえですし、やる気のある若手がこの会社で働こうとは思えなかったからです。会社の見た目もすごい大事だと思いました。

なので

頭金なし全部借金。借入限度額いっぱいでプレハブの縫製工場を建てました。
総借金が1億円をゆうに超えて、とうとう頭のネジが外れました。

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新工場では、今まで家の玄関で行っていた写真撮影をやめて
10万円のストロボセットを買って撮影スタジオを作りました。
カメラマン系のYou Tubeを見まくって、自分たちの理想の撮影方法を探っていきました。モデルも全部社内にいる縫製、web のスタッフなどでまかないます。

そんな感じで止まることなく動き続けていたら
一人でデザインして、パターン引いていた毎日に救世主が現れます。

ベテランパタンナーの入社。
もう、運とかタイミングとかそういうことですよ。これは。

パターン作成はほんと時間がかかるのでそこを助けてもらったおかげで

僕が業務時間を他の事にかけれるようになりブログを買いたり、SNSの投稿に時間をかけられるようになりました。

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洋服のデザインをして、パターンを引いて、縫製、写真撮影、商品テキストの作成
販促、梱包発送 顧客対応まで全て行ってきて、
これが一本の線でつながっていて線が太くなれば最強だと思っています。
服作りのすべてをやっちゃう。だた労力とお金がかかりすぎるから
どこかの業務をアウトソーシングすることも普通なら考えるでしょう。
僕は頭が悪いのでしょうか。それはやりたくありません。

業者から何度もお誘いあるのは発送業務。EC物流システム活用しませんかとか。

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例えば発送を外部委託したとします。僕らの梱包は裁断の時にでる廃材紙なのでいびつですし、お客様個人個人にあわせた梱包の仕方もあります。
これは外部委託しての対応は難しいですし、なにより梱包もブランディングです。
洋服が届いて袋開けたらワンピースの廃材型紙で包まれてますからね。
他にはない体験です。

あれ、これワンピースの型紙だわ。とか。

これがいいかどうかは別にして、
後で思い出してもらえないようなブランディングでは意味がないんです。

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洋服のオーダーも、そのお客さんに合わせたパーソナルな対応をしています。縫製の現場に行って、このお客さんはさ、少し腕が短いから袖丈調整してあげてよ。とか
大手アパレル企業が絶対やらないことをやっています。きめ細かい事するんです。


それがファンづくりには必要で、簡単に済まして得たものはろくなもんじゃねえです。

全てこの社屋で行われていて一貫しているのはwafuの強みです。

コロナ禍でも売上は落ちること無く社員数は10名ほど増えました。
どうして増やすことが出来たかと言うと、リピーター率60%という驚異的な数字があったからです。
10人中6人は次回もご購入いただいているというデータ。
ここまでファンとのコミュニケーション重視してきたからだと思います。

今現在の業務的なフローとしたら

作りたい服のイメージがぼんやりでたら、そのままパタンナーにこれ作りたいんだけどと相談する。→パターンができたら、1分後には裁断→縫製→仕上がりをみてOKなら→写真撮り→webサイトにアップ→告知して数日後販売→お客さんのアフターフォローを忘れずに。

てな感じです。

早ければ2日ほどで作品ができてアップするのもあります。

僕らのD2Cのメリットは

このスピード感で季節や気温によってタイムリーに出品ができます。

それと、僕らは半分しか在庫を持っておらず、受注後、在庫のないものに関しては製作を高速で行います。すぐ作るということです。半日とかで。


在庫は経営を圧迫しますから持たないほうがいいですが、見込みの数枚だけもっておいてあとは鍛え抜かれた縫製人がリカバリーします。

出品後の動向をみて正確な在庫数を決めることができますから無駄ることがありません。

えーと、仕事の合間に数日かけて書いていたら文章がまとまらなくなりました。

なので一旦これで終わろうと思いますがTwitterなどで僕がやってきたことなど発信していきますし、僕と同じような跡継ぎの方や、いまからD2Cを始める方の参考になれば幸いです。生き残るための戦い方はたくさんあります。業種が変わってもやることは同じなので今度は飲食店をオープンして上記を試しています。今の所黒字です。またどうなっていったかも呟きますね。



いただいたサポートは、地方への出張オーダーメイドの費用にさせていただきます。