占領下の抵抗(注xxiii)

日本の降伏文書調印以後にGHQにより占領された地域においては、ポツダム宣言に基づく間接統治が大枠では決まっていたとはいえ、占領初期には混乱もあり、1945年9月2日に示され、日本側のGHQとの折衝もあり、公表される事なく終わった布告第一号の中には

第五条「軍事管理期間中ニ英語ヲ以ッテ一切ノ目的ニ使用セラルル公用語トス」

「GHQ」竹前栄治

と云うような文言も確かにあった

これは

「本官ハ連合国最高司令官トシテ賦与セラレタル権限ニ基キ、ここニ日本国全領域ならびに其ノ住民ニ対シ軍事管理ヲ設定シ、左ノ占領条件ヲ布告ス」

「GHQ」竹前栄治

と始まり

第一条で

「行政、司法及立法ノ三権ヲ含ム日本帝国政府ノ一切ノ機能ハ、爾今本官ノ権力下ニ行使セラルルモノトス」

「GHQ」竹前栄治

としているように

一時的にせよ間接統治ではなく、GHQによる直接的な軍政を敷く事を前提としており、その事に主眼がある。
第五条はそれに付随するもので、拙論で取り上げた「外国語が日本の国語になる」と云う事態とは少し意味合いが異なるし、すぐ取り下げたところから見ても、本文中でも論じたように、英語を日本の公用語にすると云うような政策が実施された可能性は殆どなかったものと思われる。

とはいえ、もしこの布告が実際に出されていたら、日本国内に大きな混乱をもたらしていたであろう事は想像に難くない。


引用文献: GHQ
1983年6月20日第1刷発行
著者: 竹前栄治
発行所: 株式会社 岩波書店



この記事は↓の論考に付した注です。本文中の(xxiii)より、ここへ繋がるようになっています。

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