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世界との結びつきを忘れない~マルクス・アウレリウス『自省録』~

『この宇宙のあらゆるものが互いに結びつき、依存しあっていることにいつも思いを馳せよ。
ある意味で、あらゆるものが折り合わされ、それゆえ親密な関係にある。
物と物は互いに引き合い、共感的に活動しており、すべての物質はひとつだからである』
マルクス・アウレリウス『自省録』

アヴァロンはグラスに手をかけながら言った。
「今日の言葉はだいぶスピリチュアルな感じがするね。
会社としての目的は同じはずなのに、個人で見ると利己的になってしまう。
現場は現場で大局的な視点が足りないかもしれないし、
トップからの共有が足りないのかもしれない。
孟子の『性善説』や荀子の『性悪説』どちらかというわけではなく、
トップが自らの身をもって示す必要があるのではないか。
マルクス・アウレリウスは自ら哲人皇帝として実践したということさ。」

トランブルはかぶせるように言った。
「私はイベントやスポーツが好きなのだが、
ああいった手合いは選手や運営だけではなく、
観客も一緒に作り上げる感じだよ。
良いイベントというものは一方通行ではなく相互通信しあうんだ。
Dr.ルーピン、講義などでもそうなんじゃないかな?」

ルーピンは言った。
「僕がいつ講義をするかはさておき、
教授がべらべらしゃべってノートに書き記すのも
個人的には好きだったよ。
もちろんディスカッション形式の講義も好きさ。」

「ディスカッションできみに勝てるものなんていたのかな?」
ドレイクは横やりを入れた。

ルーピンはふふんと鼻を鳴らしながら言った。
「もちろんいなかったさ。
話を戻すけど、
東洋思想は万物は循環するイメージだ。
またギリシャ哲学のヘラクレイトスの『万物は流転する』という考えも似ているね。」

ドレイクはゆっくりと話し始めた。
「『Thanks A Thousand』を知っているかい。
ある男が、いつも飲んでいる朝の珈琲にかかわる人すべてに感謝を伝えようって内容さ。
最初は珈琲ショップの店員・オーナーから始まって、運送にかかわる人、
コロンビアの生産にかかわる人、生産のために必要な機器を作る人、
様々な人につながっていくという話さ。
たった一つのことでも、多くの人々がかかわっているんだ。
この話の肝要なところは、物事をあたりまえに感じないと言うことだよ。
いつもではなくていいが、そこに至る過程に思いを馳せてみるのもいいんじゃないかな。」

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