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あなたが思い出す風景に②

草花が生えるシアター屋上の風景をそのままを生かすことが、舞台上で行われている積み上げていく空間性とは違う形で立ち上がることがある。この出来事に出会うためと、庭園の営みを分けてもらうために、作物を育てることによって、土との対話が始まった。土は懐かしい香りを提供してくれる。特に雨上がりに蒸発する水分に含まれている微細な粒子が、私たちのさまざまな想起を構成しているのである。粒子は土そのものや、微生物、菌類、雨に含まれる排気ガスや、風向きによっては潮風を運んでくれたり、気圧の高低差によって山の木々が呼吸することで生まれる有機物の香りを運んでくれることがある。劇場の屋上にある、この限られた大地には、舞台上では再現できない自然現象が、日常的に変容しながら現れてくる。それが生きている舞台として対話を促す。土の対話と舞台として駆け引きが今、行われている。草原となった屋上庭園には、かれらを刈り取ることなく、再発見された風景に、無作為であるが恣意的な畑を為すべく、畑という試みが続いている。これは自然農法というのだろうか。
つづく。

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