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おっさんずラブ、ラブ

 昨年末、遅ればせながら話題になっていたテレビ朝日のドラマ「おっさんずラブ」をAmazonプライムで視聴した。Amazonプライムは本当に優秀で、広告も入らないし、次話も自動再生されるので、テレビなし子としては重宝しまくりの媒体なのです。

 ハマってしまった理由は、きっと世間多数の声と同じで、田中圭さんの演技だかnot演技だかわからないハチャメチャカワユス・憎めないキャラ立ちと、ストーリーのあり方、作り手側の仕込みの面白さがひしひしと伝わってきたからだと思う。

 まず第一に好きになったのは、題字「おっさんずラブ」のロゴで、おそらくフォントは筑紫明朝系を使用しているんだろうなーくらいに思っていたら、調べてみると、「ほのか明朝」(商用利用OKのフリーフォント)であることがわかり、けっこう衝撃だった。先入観で有料フォントを使っていると思っていた自分をやや恥じるとともに、ドラマへの愛着、好感をますます持った。

 ロゴを実際にトレースしてみると、線幅のポイントを少し足して、太めに表現してるであろうことがわかった。文字の間も詰め詰めで、文字サイズの強弱が強く、でも基本は下のラインに合わせていて、その統一感がキレイ。また、ラブのブの濁点がハートマークに変えられていて、こういう作り手の遊び心みたいなものにグッときてしまう。こういうところに、作り手の気持ちを感じて、小さな感動を覚える。

(画像の一部は公式HP https://www.tv-asahi.co.jp/ossanslove/ から、赤い線はワタシメが加筆。こういう転載の仕方ってダメなんだっけ。。。)

 何より、タイトルの言葉・語感からくる奔放感と、フォントの実直さのギャップというか、対比がとても好きだった。このロゴは、ドラマ各話の冒頭付近で、思いもよらぬ場所に“乗算”気味に登場することも話題になっていて、それも楽しみのひとつだった。(あと、スキマスイッチの主題歌「Revival」も最高なんですよね…)

 で、何度もドラマを観ていると、役者もそうなんだけど、それ以上に、このドラマの作り手代表(?)である貴島彩理プロデューサー(29)にも強く惹かれていった。この“おっさんずラブ旋風”で数々の賞をとって、いくつものインタビューに答えているが、その受け答えから見えてくる姿勢や信念のような考え方がとても素敵なのだ。マイナビニュースのインタビュー記事「日テレ・小田玲奈×テレ朝・貴島彩理ドラマP対談(前編) バラエティの「やっちゃえ!」発想」では、

確かに、言われてみれば私も「なんか分かんないけど、とりあえずやってみちゃう…?」ということがすごく多いかもしれないです。現場でスタッフやキャストに「この小ネタやってみてもいいですかね?」と言われて、“うーん怒られるかな”と思っても、“まぁ一旦やってみて、謝ればいいか”という考え方というかスピード感みたいなものは、AD時代に培われたものかもしれないです。よく「特攻隊みたいなところがあるよね」と言われます(笑)
台本を配るとキャストに「ちょっと! 続きはどうなるんですか?」って言われて「今考えてるの! むしろ案をくれ!」ってなったり(笑)

 と、火事場の馬鹿力というか、ハプニングを全力で苦しみながら楽しんでいるというか、あえて窮地に向かうからこそ、いい作品を作るのだ、みたいな気概があるというか。それで、ムリしているとき、悩んでいるとき、困っているときこそ、周囲との関係性が作られている、というようなことを話していたり。

「私自身が何も出来ないので、全力でみんなを頼っていた」
「私も(監督の)瑠東さんも(田中)圭さんもいじられキャラ。グイッと引っぱるよりも、スタッフが『仕方ないな』と助けてくれるところが大きかった。それが結果として仲間意識を生んだのかも知れません」

 (日刊スポーツ「貴島彩理P「おっさんずラブ」ドラマGP作品賞受賞」 より)

 なんか、こういうような過程を経てあのドラマが出来上がったかと思うと、なおさらいとおしく思えるのです。

 男とか女とか関係なく、人を好きになることの気持ちよさ、心苦しさ、でも「好きなもんは好き」って思えることの素晴らしさが詰まっているドラマ(^_^)




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