はじまり

朝、鳥の声で目を覚ます。時間はまだ5時。どんな夢を見ていたのかは思い出せない。ぼくはここから一歩も動くことができない。動くことができないので、想像力を働かせる。想像力があれば、動ける奴よりずっと、遠くに、そしてすごい経験ができる、と信じている。

想像力は筋肉と同じで、鍛えることができる。どうすれば鍛えられるのか、その方法は難しい。だが、スポーツにおける走り込みや筋トレと同じで、想像力の基礎体力を鍛えるためには、たくさんの本を読むことが重要だ。これは基本だ。誰かの言葉によって立ち上げられた世界。人は言葉で世界をつくる。その世界を頭のなかで想像する。君の精神世界が広がる。これが読書からえられる効果の一つだ。

そして、物語を書くこと。誰かの言葉から世界を想像することより、これははるかに難易度が高いことに君は気がつくはずだ。想像することは難しい。ぼくたちは誰かが想像した世界を消費するだけで、自分じしんで想像するパワーを奪われている。それは、ぼくたちはどこにもいくことができないということを意味している。誰かが立ち上げた世界のなかでしか、ぼくたちは身動きをとることができなくなっている。だから、もっと自由に生きるために、ぼくたちは想像力を鍛える必要がある。

物語のなかで、現実では出会えなかった人たちと出会うことになるかもしれないし、出会わないかもしれない。現実の世界ではとうてい実現しないようななにかが起こることになるかもしれないし、なにも起こらないかもしれない。――現実の世界と同じように。

ここから先、いまの時点ではぼく自身、どうなっていくのかわからない。君と出会えることを期待したい。なにか素晴らしいことが起きることを期待したい。こころが動かされるようななにかを、想像し創造することができることをぼくは願っている。ここではないどこかに行くことができるように。

そのために、ぼくは物語を書いていくことにする。毎日書くかもしれないし、書かないかもしれない。何かを続けることは、それ自体がすごい才能なのだ。飽きっぽいぼくは心底そう思う。

日常の生活のなかで起きたできごとから想像された物語、聴いている音楽から想像された物語、読んだ小説に刺激されて想像された物語、勉強のために学んだ歴史や科学などから得られたエッセンスによって想像された物語……。いろいろなモチーフで書いていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?