【ガンバ大阪】2021年の編成、U23のまとめ、ホームタウンからの選手育成、地域への価値とは

お疲れ様です。今回はいつもと違って、20-21のガンバ大阪のこたつリーグ(カルチョメルカート・移籍市場)での立ち振る舞いについて少し考えてみたいと思います。どうしてもこういうネタは妄想が膨らみ、楽しくなる一方で選手のこころにはキュゥっとくるものがあるものだと思います。とは言え、気になることでもあったり・・・僭越ではありますが、私なりにほんわりと思っていることをまとめていきながら、皆さんの考えの参考にしていただければと思います。

「J1とJ3を戦う編成」から「J1とACLを戦う編成」へ

無事に、2020J1リーグの2位を確定させたガンバ大阪。2020シーズンのガンバ大阪の選手構成は「J1リーグの上位進出とJ3を同時並行で戦う選手構成」だったが、2021シーズンは「J1リーグとACLを戦いタイトルを獲得する選手構成」への転換がテーマになる。

複数人の主力選手にけが人が発生した。2021シーズンは過密日程であっても、2020シーズン終盤のようにサブの登録メンバーが20歳以下の選手ばかりという状況は作ってはならない。若手にはチャンスだったかもしれないが、90分の中で監督が採れる策はリーグ戦ラスト5試合は本当に少なかった。なんとか2位で勝ちぬけたからいいものの、J3でU23があったおかげなどと言ってはならない。多様な人材を採り入れ、これまでしっかりと構築してきたブロックディフェンスとプレッシング、個々のデュエルの強さのベースにビルドアップの安定でさらなるチーム力の安定が2021年のガンバに求められる。

とはいえ、コロナショックによる予算の変化、選手登録の人数、外国籍選手の登録枠などの問題をクリアしながらメンバー編成をしなくてはならない。久しぶりのACL、経験をしていない選手も多いのも事実だし、若返ったガンバには経験は不足している。わからないところがたくさんあるのではあるが、ポジションの定義、選手のランク付けをおこない、手薄なポジションを明確化していきたい。

主なポジションの定義、求められる能力

まずはポジションの定義と求められる能力を下記の表にまとめた。各選手を一番得意そうなところにプロットしていくという作業をします。そのために、ポジションとその定義をしていく。これは僕なりの最近のサッカーの見方とアンチェロッティの戦術ノートを参考にしながらした分類だ。ちなみにアンチェロッティの戦術ノートではCF、ファンタジスタと名前が付けられていたところをファーストトップとセカンドトップにそれぞれ改称している。

選手のランク付け

選手のランク付けの定義も図にしました。きわめてシンプルに。この中のどれかにプロットする。この作業は賛否両論だと思うがあくまで私見として。若手選手は辛めにつけている。

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ACL、J1リーグを戦い抜くためには、B+以上の選手をGK2名、フィールドプレーヤーは20名確保してメインスカッドとする。プロ契約2年目までなどBランク以下の選手をGK2名、フィールドプレーヤー6名ほど登録して各選手の個別トレーニングに集中して、トップチームのレギュラー争いに絡むもしくはレンタルに出しても恥ずかしくない状態に育成する枠をつくる。こうして、合計で30人くらいでトップチームの登録メンバーを構成するのが目安になると思う。

選手(レンタル含む)をピッチにプロットする

ポジションとランク付けをしたうえでピッチ上に2020年12月時点の「選手名・2021年の年齢・ランク・利き足」を記載しプロットしたのが下記の図です。すこしランク付けは辛めにつけるようにしています。あくまでもACLを戦い抜くという意識でという考えからです。いろんなご意見はあるかと思いますが、ご参考にどうぞ。

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各ポジションごとの現状と選手編成のテーマ

以下にて各ポジションの現状と課題と編成テーマをまとめていきたい。基本的には各ポジションに「A」ランク以上の選手が一人以上とバックアップとして「B+」ランク以上の選手がいるのが適切で、B+ランク以上のフィールドプレーヤーを20人確保するのが来季の編成の基礎になる。選手数が増えることよる弊害もあるので。さあ、各ポジションごとに問題を解いていこう。

GK 『東口・谷問題』

GKは4人登録。問題は2020シーズンも素晴らしいプレーでガンバ大阪のピンチを救った東口とレンタル先の湘南でレギュラーとして活躍した谷のどちらを1stGKにするかというぜいたくな悩みを抱えることになる。実績では東口だが、ビルドアップの精度向上、将来の伸びしろは谷にある。来季は谷の湘南へのレンタル延長で結論が出た模様。バックアップは一森。林のレンタルバックと石川の契約延長で4枠は確保できそう。

右利きSB『高尾一人で大丈夫か問題』

2021シーズンはJ1とACLを戦いぬかなくてはいけない。高尾の成長は非常に目覚ましく、主力としての頼もしさはもう疑いの余地がない。ランクはB+にしたけど、ほぼAランクである。しかし、彼への負荷がかかりすぎるのは不安要素。高尾が出場できない場合、三浦・福田を起用する策が考えられるが、あくまで急場凌ぎ。求められる要件が高いだけに、今までのオーバーラップ型SBとは違うタイプの選手でもよいので、ビルドアップを安定させられて、SBを任せられるユーティリティな選手がもう一枚ほしい。松田陸はJ2でのレンタル修行が必要だと思う。若手には出場機会が最優先だ。

左利きSB『藤春を超える選手を補強』

2021年藤春も33歳となる。不死身かと思うような頑丈さでケガに強かった藤春も怪我が増えてきており、離脱する機関が増えている。また、ガンバがチームとしての安定度を高めるためには、ビルドアップの安定化が必要になると思う。この課題を解決するために、ビルドアップに関与できて対人守備に強いAランク以上のできれば若い左利きのSBを補強したいところである。黒川・山口・ウォノはレンタル修行が必要だと思う。

CB『慰留が最高の補強、あの3人の同時起用』

昌子、三浦、ヨングォンと代表級の選手が3人そろっていて、バックアップとして菅沼がいる。明治大学から佐藤の加入も決定しており、契約更新できれば5人が確保されている。可能であればこの陣容で臨みたい。昌子、ヨングォンは連戦にあまり耐えうる状態ではなさそうなので、ACLに出てくるどえらいアタッカーに対応するためには代表クラスの3人は必要になるだろう。また、4バックでも三浦、ヨングォンをオーバーラップさせないSBとして起用することで同時起用することは可能ではないかとも思う。ビルドアップの安定化とボール保持、回収も安定するはず。SBもできそうな選手を補強するのもありだと思う。

CH『左利き、強さ・高さを備えた選手の補強』

Sランクの左利き・強さ・高さを備えた選手の補強。ピンポイントで韓国代表のチュセジョンを誠意の2年連続獲得オファー、加入決定的というガンバ大阪の伝統芸が既に報道されている。ガンバの中盤は右利きの選手が多く、左利きの選手を加えたいのはすごくわかる。井手口、倉田、山本、矢島、小野と日本人選手も質、数もそろっており、レンタル移籍中の高江、高、市丸、そして奥野、芝本の5人から1人を残す形になりそう。厳しいが枠が足りない。5人の中ではサイドハーフもこなせることから高江が優位かなと思うのだが、A契約の25名枠を考えるとアカデミー出身の奥野、芝本に優位性もある。ほかのみんなはレンタルで修行かガンバから離れることになるかもしれない。

右利きWG『慰留!』

小野瀬、福田の慰留が最重要。彼ら2人がいれば右利きのサイドアタッカーは十分だと思う。また、彼らは複数ポジションをこなすことも期待されると思う。出場機会の少ない高木の去就は心配なところ。大怪我の白井はしっかりとリハビリして復帰することが来年の目標となりそう。

左利きWG『即戦力補強でチームアクセントを』

ガンバ大阪には左利きの選手が少ない。本当に。中村仁郎がこの役割将来性があるがまだ若い。攻撃の切り札として、左利きのアタッカーを補強するのは大変に有意義だ。右サイドからのカットインシュートなど、今までない攻撃パターンで攻撃の幅をひろげるためにAランク以上の即戦力の補強をしたい。

セカンドトップ『宇佐美のタスク過多、若手の育成』

宇佐美がボール循環、ドリブル、プレスの起点、シュートと多くのタスクを怪我を抱えながらこなしている2020シーズン。小野の怪我、アデミウソンの不祥事で、より宇佐美にかかる負担が大きくなってしまった。11月は宇佐美も怪我を抱えながらのプレー。12月は試合出場できない状態のようだ。小野の復帰は来年5月以降。すぐに本調子とはいかないだろうが、小野にかかる期待は大きくなる。一方で宇佐美も小野も不在となると苦しくなる。アデミウソンについては法的処分が正式に決まるまではガンバの選手としてしっかりとケアすることが大切。ガンバで頑張ることで罪を償うこともあっていいし、契約解除という形になるのも仕方ないだろう。ただ、クラブの経営を考えると、法的処分が出た後に、国外への完全移籍をさせて移籍金を確保し損失をカバーしたいのが本音だろう。プロ2年目の川﨑、塚元については残留もレンタルも可能性としてあり得ると思う。

ファーストトップ『パトリックのバックアップ』

2014年~2017年までのパトリックよりも技術的に向上し、プレーの安定感がさらに増したパトリック。彼に2020シーズンは本当に助けられた。来季も主力として活躍してほしいところ。また、渡邉と一美のトレードがかなり濃厚そうなので、一美にかかる期待も大きい。唐山もボックス内での駆け引きを成長させて進化していってほしい。しかし、一美も唐山もパトリックのようなボールキープ、敵陣での空中戦に強さ、経験値に不足感がある。日本人で高身長でエアバトルができるFWが欲しい。

外国人枠の使い方

外国人枠はACLルールだと「3+1」、Jリーグは「5」。現在の外国人枠はアデミウソンとパトリック、ヨングォンの3人。すでにチュセジョンの獲得が決定的。現状4名。パトリックの日本国籍取得が早期に叶うと外国籍選手が3人になる。また、アデミウソンが退団することとなると、外国籍選手が韓国人選手2名になり、ACLの外国人選手枠が2つ空くことになる。残り2枠になるか1枠になるかは結構大きい。パトリックの日本国籍取得のタイミングでACLの外国人枠が変わるのだとしたら、日本語の勉強頑張れパトリック!

補強したい選手はどんな選手?

ということで具体的にどんな選手を外部から獲得してくるか検討しよう。

★左利きのCH(Aランク以上)
チュセジョンの獲得が決定的。昨年、韓国代表でプレーしている彼の姿を見たが、アンカーポジションをしっかり守れる選手で安定感バッチリ。経験実績ともに問題なくJリーグへの順応がスムーズにいけば全く問題ない。ここはもう安心しよう。

★左利きのSB(Aランク以上)

チームとしての安定感を更に増していくためには、ビルドアップの安定度を高めていく必要がある。藤春廣輝の不安要素を解決してくれる選手が必要。なお、地上戦の強さだけでなくヨングォンのバックアップ要素も求めたいので、ある程度の身長などのCB適正も求めたいところ。そして藤春の後継ということも考えて年齢もある程度若めであることが望ましい。

★右利きのSBをこなせるユーティリティプレーヤー(Aランク以上)

チームとしての選手層の厚さを高めたい。人数に制限もあるのでSB専門ではなく複数ポジションできる選手が欲しい。対人守備が強くCBもしくは左右SBができて身長もある程度は求めたい。ベテラン希望。

★左利きのウイング(Aランク以上)

チームに新たなアクセントを求めるための補強。左利きで技術があってキック上手でドリブルで前進できる選手が欲しい。思い切ったびっくり補強が欲しいところ。ここについては外国人でもOKだと思う。

★前線でターゲットになるCF、日本人(Bランク以上)

パトリック不在時に穴を埋めてくれるような選手。ベテラン即戦力。もしくは未来のある背の高い選手。

理想スカッドをプロット

ざっくりとこれまでのお話をまとめるとこんなスカッドが予算内で組めるとという理想図を作ってみた。みんなで語り合ってください!

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ポストU23の高卒選手の育て方

やはりU23がなくなるのは痛い。育成リーグ?エリートリーグ?もあるのかもしれないが、大人が昇格、降格を争うガチのリーグ戦の中に若者が入っていくことで得られる経験値は何物にもかえがたい。今のU23チームの仕組みは5年を経験してやっと軌道に乗ってきただけにつらい。高卒でいきなりJ1で試合に出られる選手というのは、20歳で海外に行くことになるスーパーエリート。放っておいても成長する。しかし、課題はそうでは無い選手だ。彼らをプロサッカー選手としていかにして一人前にするかは採用したクラブ(企業)の育成責任である。クラブがそれぞれの選手に対して、キャリアディベロップメントプログラムを形成し、選手・仲介人も理解し、試合経験を積むことで成長し、J3→J2→J1としっかりとステップアップして24歳くらいにJ1でレギュラーを獲得することができれば選手の育成としては成功だと思う。しかし、高卒直後にJ1クラブに入っても、試合出場機会が得られず、レンタル先でもよくわからない扱いを受けてしまうと、時間を無駄に過ごすことになってしまう。また、J1クラブで練習だけしていても成長の速度は鈍化するし、10年前のガンバ大阪に戻ってしまうような状態になってしまう。将来性のある若者をしっかりと育成していくのはとても難しい。U23という手段が失われた来年以降の選手の育成は難しくなっていきそうなのが心配である。

U23を経験した選手には他のクラブからのオファーも届いているという。ユース、高卒からすぐにJ1で戦うのは難しい。U18年代からプロへの移行期間としての機能は必要だ。クラブが一貫して彼らに場を提供し、實好さん、宮本さん、森下さんが指導した結果が彼らへのオファーだし、ガンバ大阪U23の成果だと思う。

地元からサッカー選手が育つ環境

豊中市出身の山見選手の2022シーズンからの加入が発表された。経歴を見ると、千里丘FCを一度退団しているようなのだけど、ホームタウン出身の選手がトップチームのプロ契約を結ぶのは北摂在住の人間としてとてもうれしい。ガンバ大阪があるから、グラスルーツでサッカーをはじめるし、ガンバのサッカーを見てガンバを応援してきてくれた選手が、小さいときにあこがれてたスタジアムで活躍する姿は、地元の子供たちにとっていちばんのエネルギーになる。北摂エリアのサッカー選手の育成に関してはガンバがピラミッドのトップだと思うが、大学は関西大学や大阪学院大学がホームタウンにあり、通学圏内に関西学院大学がある。高校でいうと豊中市にある履正社高校が年始の高校サッカー選手権出場するし、阿部浩之、三浦弦太、黒川圭介のように大東市の大阪桐蔭高校からもガンバに加入する選手がいる。中学年代の街クラブとして千里丘FCは強豪。北摂エリアからサッカー選手が育つ土壌がしっかりと出来上がってきてる。川崎の守田も高槻市出身。関西のサッカーピラミッドの頂点にガンバ大阪があり続けられるように、しっかりとホームタウンでのスポーツの普及と原石の発掘もすすめていかないといけない。

最後に

ガンバ大阪の経営状態について不安要素もあるし、スポーツ産業全体にコロナショックは大きなダメージを与えていると思う。でも、プロスポーツクラブが社会に果たす役割は「地域のコミュニティ形成の一旦を担う」、「スポーツを通して人と人との繋がりを作ること、人々の成長にたずさわること」が基本だと個人的にとらえている。本稿では財務的な資産・負債・収益・費用のことは一切触れずに進めていったが、プロスポーツクラブにとって一番大切なことは、「持続的安定的に経営を続けること」であり、その次に「地域コミュニティへの参画」「ファン・サポーターへのサービス」「パートナー企業への恩返し」「トップチームの活躍(タイトル獲得、選手の活躍)」が続いていくと捉えている。順番は前後しても差し支えないが、クラブがなくなっては元も子もない。宮本監督のホーム最終戦セレモニーの中で伝えたいのはこんなことではないだろうかとも思う。持続可能な経営の中で、2021年のガンバ大阪トップチームが躍進する姿を期待し、応援しつづけることを決意して、本稿を閉じたいと思う。ご高覧頂きありがとうございました。


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