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Playbookシーケンスは日本の営業生産性向上の鍵になる

こんにちは。Magic MomentでAccount Executiveをしています、渡邊(@Yusuke_W8)と申します。この度、”祝シリーズB資金調達!”ということで、弊社プロダクト”Magic Moment Playbook"の主要機能の一つ、シーケンスについて詳しい使いかたも含めてご紹介できればと思います!

昨年12月にリリースさせていただいて以降、様々なお客様とユースケースを作ったり、UIを使いやすいものへ磨き込んできました。普段は商談や実際のプロジェクトの中でご紹介しお客さまと創り上げていくのですが、今回はnoteにて考え方や実際のユースケースのイメージについてご紹介できればと思っています。

シーケンスとは何か

ではまず、シーケンスとは一体何なのか?について、ご紹介できればと思います。日本においてはまだまだ馴染みのない方も多いと思いますので、位置付けから含めてご紹介できればと思っています。

セールスエンゲージメントプラットフォームとは

日本の企業でもこの10年、様々な顧客接点で得た情報を蓄積し、顧客との関係性を向上させるためのCRMやSFAといったツールの導入が様々な営業組織で進んできました。ただ、入力の負荷や運用難度が高く、結果として営業のピュアセールスタイムが失われ成果につながりにくいという課題が顕在化しています。

SFA/CRMは様々な事業が横断して環境を構築することも多いですし、営業戦略は事業年度、四半期ごとにも大きく移ろっていきます。その中で、事業ごとに違う営業のやり方に合わせて、使いやすいインターフェースを作り込むというのは非常に難しく、多くの企業が営業に不便を強いるという状態が続いていたわけです。

こうした状況の中で、SFA/CRMをデータベースと位置付け、営業の行動支援を行うインターフェースとして共存するような”セールスエンゲージメントプラットフォーム(SEP)”というジャンルのツールが登場する様になりました。

↑米国市場におけるSEPの重要性については、ぜひこちらのガートナーのレポートをお読みいただければと思います。

ざっくり言うと、インターフェースなので、より営業の具体の業務に近いところで、ざまざまな面から効率化の支援をしていくのが、SEPの役割になるというイメージをいただければと思います。こうしたツール群の登場により、営業の活動量や商談の質があがるだけでなく、負荷なくデータが蓄積されるようになったことで、売上につながる分析がより精緻にできるようになり、SFA/CRMの本来的な価値がさらに上がる様になっています。

テンプレートとシナリオで効率化する、”シーケンス”

こうしたSEPに属するツール群の一つの方向性として示されているのが、
”シーケンス”という機能になります。

営業の効率化を考えるときに、さまざまな方向性があると思います。
タスクレベルであれば”まとめる””自動化する”といった方向ですね。こうした方向感の中で、お客様と営業がやりとりし始めるNurturing以降の、一連のコミュニケーションを自動化しながらエンゲージメントを高めていくシーケンスという機能を中心としたプロダクトが出てきました。OutreachのシーケンスやSaleloftのケイデンスがこれらに該当する機能です。

ビジネスモデルや事業特性によりボリュームは異なりますが、営業の業務を分解していくと、それぞれのセールスプロセスにおいて、定型業務と非定型業務が存在していると思います。このうち、定型業務にあたる部分をテンプレートやシナリオを組みながら自動化していくイメージになります。

シーケンスにより効率化しやすい業務のイメージ


特にインサイドセールスの皆さんは日々、定型化できるところを工夫し、効率化を図っていると思います。定型的な業務が多いインサイドセールスやCSは、シーケンスを導入することで、活動の量と質が向上し、商談機会を大きく増やすことができると思います。

先日、山梨さんがこのあたり非常にわかりやすくインサイドセールスのシーケンス活用例を書いてくださいましたので、ぜひご一読ください。


営業推進から見たシーケンスの利点:確実性と容易性

別の観点でもシーケンスを見ていきましょう。私はもともとリクルートで営業推進をしておりましたのでその観点から別の価値もあると考えています。営業推進の未来についてはこちらのnoteでまとめていますが、今後3つの役割が重要になっていくと書きました。

①プロセスマネジメント
役割分掌(業務/エリア)とフェーズ定義、セールスシナリオにより、全体的なプロセスを設計し効率化。事業全体で推進を行い変革する
②コンテンツ
各フェーズにおけるリードタイム/勝率(転換率)を改善するコンテンツ(テンプレートや資料)を、効率的に使えるよう支援
③セールスイネーブルメント
業績向上の大上段の変数となるセールスリソース(営業人員)をいち早く一定の水準に上げていく(Ramp Up)支援、ならびに営業ごとのばらつきをなくしボトムアップする支援

今後重要になっていく3つの役割

シーケンスはこれら全ての要素を統合する機能ではあるのですが、この観点からみると、大上段のプロセスマネジメントの観点から、最短距離のプロセスを作るために、単に定型業務を効率化するだけではない価値が見えてきます。

確実性=タスク漏れが減少する
容易性=ネクストアクションのスピードを上げる

最短距離のプロセスを作る近道

例えば、申し込み関連のメール。新人時代に、申し込みに必要な情報をお客さんにメールで聞くときに、情報が不足して何度もやり取りをしたことはありませんか?あのときに、完全に内容が網羅されたテンプレートを使っていたら、締切に遅れてスリップすることはなかった・・・。こうした確実性を高める使い方により、リードタイム短くプロセスを確実に前に進めることができます。一連のタスク群とみることもできるので、タスクの設定漏れも防ぐことができます。

また、テンプレートを自動表出することで、初動の動きを速くすることができます。楽にすぐメールを送れるということは、商談後すぐアクションできるっていうこと。それだけ商談が前に進むスピードを早め、競合の入り込む余地をなくすことができます。

こんなイメージです。↓

商談翌日に資料を送ったことで、別の担当者経由で競合に入られてしまったケース
商談当日に資料を送ったことで、短いリードタイムで申込をもらえたケース

商談後に30分のバッファを取り、お礼メールとネクストアクションを動いておけという話はよくトップ営業から聞くところだと思いますが、こう言ったイメージで受注の機会すら左右する大事な要素だったりするんですね。容易性を高めておくというのはこう言った形で大きな価値を生むわけです。

なお、テンプレート使えばよいのでは?という方もいますが、シナリオごとに、テンプレートをいちいち探して、というのも結局手間になり使われなくなってしまいます。(この辺り共感いただけるインサイドセールスの方は多いと思います・・・。)ですから、きちんと自動でテンプレートが表示されるということが重要なわけです。

上記のような観点でみると、たとえ1つでもシーケンス化できる要素があるのであれば、全てのセールスプロセスにおいてシーケンスは有効だと考えることができます。手前味噌になりますが、弊社のPlaybookはLTV最大化を見据え、NurturingからExpansionまですべてのセールスプロセスおよびエンゲージメントをカバーしています。それぞれのフェーズにおけるシナリオと顧客との合意項目を起点にシーケンスを発火できるので、様々な効率化のユースケースを作ることが可能だと考えています。

では、具体的にどんなシーケンスを作ることができるのか、シーケンスの画面もお見せしながら解説していきましょう。

フェーズごとのシーケンス作成例

Playbookには、N〜Eまで6つのフェーズが存在しており、それぞれのフェーズにPlaybookと呼ばれる営業シナリオを設定することが可能です。それぞれのフェーズに合わせたシーケンスの作成例をご紹介します。(すべて架空の営業プロセスですので、あくまでイメージとしてご覧ください)


Nurturingフェーズでの作成例:商談リマインド

目的:アポイントおよびオンライン会議URLのリマインド

商談において最も避けたいのが、アポがリスケされたり、時間通りに始まらない、というケースです。商談いただけるお客様は、お忙しい方も多いと思うので、メールが見当たらない、オンライン会議が入っているURLが見当たらないということもあるでしょう。商談を設定すると、自動で前日の17時にリマインドメールを送るようにシーケンスが発火され、お互いに安心してアポイント当日を迎えることができます。

商談前日の17時に、リマインドのメールを送ります

アポイントのスケジュールを発火の起点にしているので、Playbookならではのシーケンスの組み方の一つです。


Qualificationフェーズでの作成例:商談後フォロー

目的:商談後、お客様の興味にあったお礼メールを送り、検討を進めていただく

商談の中で、お客様が一番興味を持ってくださった内容に合わせて、既に用意してあった資料を送ることで、よりお客様の興味関心にあった内容で検討を進めていただくことが可能になります。

商談後、シーケンスに興味を持ってくれたお客様にすぐお礼を送ります

そして、呼び起こされるメールのサンプル画面がこちら。固定エリアと、編集可能なエリア(例文あり)を組み合わせたテンプレートが表示されます。もちろん、トークンでお客様や自分の名前は自動で入れることもできますよ。

シーケンスで定型文(カスタム可能箇所あり)を呼び起こし、すぐにメールを送ることができます

また、こうしたテンプレート、不自然にならないようにちょっとずつ手を加えたい、ということもあると思います。そういう場合は、右上の✏️ボタンを押すと、全文編集可能モードへ変更することもできます。これによって、テンプレートあるあるの、「なんか使いづらいから使うのやめた〜」を解消することができます。

右上の✏️を押すと、テンプレート全文を編集することもできます

商談中、お客様が自社ソリューションの何に興味を持ってくださったのかは、どのみちSFA/CRMに記録する内容の一つですよね。商談中に”Sequence”のラジオボタンを押しておくだけで、このシーケンスを発火できるので、追加工数もなく非常に楽ちんです。商談終了後、10分以内に資料と興味関心のある内容が送られてきたら、すぐ検討をすすめたくなりますよね。


Closingフェーズでの作成例:申込情報の取得

目的:申込に必要な情報を取得し、申込書をなるべく速く送付できるようにします

google/officeのメール連携はもちろん、miitel/twillioといったコールシステムとの連携を行えば、顧客のリアクションによりシナリオを分岐させることもできます。お申込の合意をもらったら、できるだけ速く申込書を頂戴するように進めていくのは営業の鉄則。しっかりと追いかけ切るシーケンスを発火させましょう。

申込の合意後、1日で返信がなければ、しっかりと追いかけます

最後の手段は電話での確認。どういった名目で電話をするかもシナリオとして書いておけるので、表示されたらすぐ迷わず行動できます。


Onbordingフェーズでの作成例:スケジュール通りのタスク進行

目的:キックオフの場のゴールが達成できるよう、事前に丁寧に準備を進めるため

お申し込みをいただいたら、サービスの利用開始日に向けてキックオフを開催します。ただ、キックオフはたくさんのステークホルダーが一同に会し、モメンタムを作る場。場の目的に合わせて丁寧に準備を行いましょう。

キックオフの日程調整と、内容の事前すり合わせを電話で行います

例えば、プロダクト利用者は全員参加できるのか?プロジェクトオーナーから士気を高める一言をいただけるのか?全員の理解度を揃えるために理解度をどうそろえていくのか。かなり細部まで調整をすることで、オンボーディングのスピードが上がっていくでしょう。詳細のメールを送るだけでなく、内容について電話でもしっかりと会話をし、認識齟齬がないようにすすめていきましょう。


Adoptionフェーズでの作成例:トライアル期間中の有料化に向けた案内

目的:トライアルの1ヶ月間、何度か有料化を促すメールを送ります

Playbookにトライアル有料化の項目を設けたら、この項目の状態によりシナリオを分岐させることが可能です。1ヶ月間、有料化に向けた追いかけを行います。最初の1週間では早期特典を案内するメールを送ったり、トライアル期間終了前日はまもなく機能が使えなくなることを訴求するような内容でも良いでしょう。

有料化に向けて合計3回追いかけるシーケンスを発火させます



Expansionフェーズでの作成例:更新時期に向けて、早期更新特典の案内を送る

目的:更新の温度感を探り、アップセルの機会創出のため一つ上のプランをお試しできる特典をご案内する

サブスクリプションビジネスであれば更新タイミングに向けて、早めに顧客の温度感を探る必要がでてきます。加えて、効果について振り返りを行うこのタイミングは、アップセルのチャンスでもあります。1ヶ月前更新で一つ上のプランをお試しできる特典をご案内することで、さらなる効果実感を得ていただき、アップセルのご案内のチャンスを得ましょう。

90日前時点で、1ヶ月前更新特典として3ヶ月プロフェッショナルプランをお試しできるキャンペーンをご案内します


いかがでしたでしょうか。実際のシーケンス設定画面を見ていただきながら、具体的なユースケースの一例をご紹介させていただきました。メールのテンプレート自体がすでにご用意があれば、1シーケンスあたり10分もあれば作成することが可能ですので、どんどん効率化のためにシーケンスを実装していきましょう。

よくある質問

商談をさせていただく中で、シーケンスに関してよくいただく質問を2つほどご紹介しましょう。

Q:MA(Marketing Automation)やCRMは必要ですか

A:ある場合はより効果的な活動が可能になりますが、必須ではありません。

リードの情報をCSVインポートできますので、そこで取り込んだリードに対してシーケンスを発動していくことが可能になります。シーケンスはより営業にとって身近で想像しやすい内容から作っていくことが可能ですので、マーケティングの専任担当者がいないケースなどであれば、むしろMAでプロセスを作り込む前に、シーケンスから効率化を初めていくのも良いと思います。

Q:シーケンスが使えない場合はありますか

A:あります。人の手がまったく介在しないプロセスです。

たとえば、PLG(Product Led Growth)などでは、トライアル申込のフェーズまではまったく人の手を介在させません。こうしたケースでは、完全にMAでの自動化が必要になってきますので、シーケンスを作る余地がない、と言うことになります。

PLGについての記事はこちらをぜひご一読ください。SLGとの違いから解説をしています↓

あくまで顧客の合意形成をもとに、人の手で発火させるプロセスがシーケンスになりますので、これ以外は全てMAで自動化してしまったほうが良いと思います。

ただ、最近は逆にPLGのプロセスにあえて人の価値を介在させることで差別化を図る動きも聞くようになりました。まさにそういったオペレーションにはシーケンスはうってつけだとも言えます。テクノロジーで人の価値を最大化したいと考えている我々ですから、ぜひこうしたユースケースの可能性を切り開いていきたいと思っています。

まとめ:シーケンスは営業効率化の本命。より人が介在する価値の発揮場所・方法 が問われる

今回は資金調達のリリースに合わせて、弊社Playbookを導入いただく大きな目的の一つとなっている、”シーケンス”について解説させていただきました。

営業効率化のさまざまな文脈の中で発展していくセールスエンゲージメントプラットフォーム。その中で最も先行して発展しているシーケンスの考え方について、定型業務を効率化するというインサイドセールス的な視点だけでなく、どのプロセスにおいても”確実性””容易性”を上げることで、セールスプロセス全体の効率化が可能であるソリューションであるということをご紹介させていただきました。人が介在すべきコト、それを実現するテクノロジーのあり方をこれからも考えていきたいと思います。様々な可能性の詰まったシーケンスの考え方と、ソリューションが日本に広がっていき、日本の営業生産性が爆上がりしていくことを楽しみにしつつ、旗振り役としてムーブメントを牽引できるように精進していきます。

今回はシーケンスのご紹介を(多少どやってw)させていただきました。とはいえ、我々のプロダクトもまだまだ発展途上です。これから新しい領域にも取り組んでいく予定ですので、事業開発的に一緒にセールスの未来をつくっていただけるお客様も募集しております。ぜひご興味ある方、お声がけください!


シーケンスについて、Playbookについてご興味を持っていただけた営業や営業推進の皆様!meetyを開設しましたのでぜひお話ししませんか?もちろんMagic Momentのこともお話しできますよ!


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