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プロセスとナレッジを分けることが営業型化における重要なポイント

こんにちは。Magic MomentでBDRをしています、渡邊(@Yusuke_W8)と申します。今日は、日々自分達の営業プロセスを進化させたり、過去リクルートで営業型化のプロジェクトを担当していた経緯も踏まえて、”営業型化”とよばれるふわっとした概念のプロジェクトを進める上で、重要だと思うポイントについて書いてみたいと思います!

Q2はあと5本くらい投稿しようと思っていますので、皆さんの知りたいとか興味あるトピックも聞かせてください。皆さんのLikeやコメントで方向性を決めていきたいと思ってますので、ぜひぜひご意見お寄せください。

営業型化とは何か?

まず、一口に”営業型化”といっても、企業によって、組織によってそのスコープは大きく違うと思います。もっとも一般的には、商談資料を共通化して、商談のシナリオとトークを揃える、というのがイメージしやすいでしょうか。営業マニュアルから、架電スクリプトやメールテンプレートを指している場合もあれば、SFAやCRMへの入力徹底や、基準となる行動量を規定する場合など、さまざまな範囲があるでしょう。今回は、ここで書き記した具体的な手法ではなく、全体的な整理について考えていこうと思いますので、ご了承ください。

営業型化における3つのアプローチ

さて、上記のようにいろいろな手法が存在している営業型化ですが、私は大きく下記の3つのアプローチが存在していると考えています。

①アクティビティ
②ナレッジ
③プロセス

さて、それぞれ見ていきましょう。

①アクティビティ

成果を出すための、適正な行動のみを規定するタイプの型化です。
例えば、「1日40件新規顧客への架電をしましょう。」「既存顧客へは月1回の商談を行いましょう。」といった各ファネルの数値を規定し、これを計測し管理できる仕組みを整えていきます。スプレッドシートやSalesforceのダッシュボードのイメージですね。また、量だけでなく質も統一するために、初回アプローチのメールをテンプレート化するといった手段や、VITOレターを全員が書けるようにトレーニングすることもこれに含まれると考えています。

余談として、BDR活動の中で重要なチャネルの一つである、レターの書き方やその他のアクティビティについてはこちらのnoteがとってもわかりやすくまとめられています!私もめちゃくちゃ勉強させていただいておりました。

型化にあたってはトップ営業のアクティビティ量を各ファネルごとで分析し、現実的かつ成果に有意な差が出る閾値を決定していきます。アクティビティの標準が固定されると、成果に対してどのファネルの遷移率が低いのか、もしくはファネル上流のリード量やアクティビティが足りないかといった課題設定が容易になり、マネジャーのコーチングが容易になっていきます。

②ナレッジ

次が、顧客タイプごとの商談資料や事例・提案筋をまとめて体系化していくタイプの型化です。私の理解では、直近ローンチされた「ナレッジワーク」さんはここをサポートしてくれる素晴らしいツールなのではと思っています。

業界やレイヤーごとに、課題設定から具体の提案内容、結果までをまとめ、刺さる一連の内容にしていきます。諸条件が近しい、ないし、業界は違えど、アナロジー的にそのナレッジを提案できるケースなどは、この資料を持っていけば商談を大きく前に進めてくれることでしょう。

加えて、顧客への提案を行う上での前提となる知識装着も、このナレッジの領域だと思っています。例えば、上場企業をターゲットとして営業をしているのに、IRの基本的な読み方がわからない、ということでは仮説の精度も低いままで、いくらアクティビティを回しても成果につながりづらいですよね。IR(中経・決算・有価証券報告書)の読み方をナレッジとして全員が理解できるようにまとめておく必要があるわけです。基本的にターゲット自身のことやターゲットが日頃思考しているフレームワークが頭に入っている状態にならないと、顧客と対峙したときに議論の抽象度が合いません。

③プロセス

そして最後が、顧客との連続的な接点における必要な行動と顧客との合意を体系化するタイプの、プロセス型化です。買い切り型のビジネスとかではあまり見られないかもしれませんが、SaaSをはじめとした顧客成果に伴走するビジネスなど、一定期間顧客とのやりとりが続くものであればプロセスを型化するしていく必要があるでしょう。

フェーズ管理がしっかりとされている場合は、顧客と何を合意できているのか?ということがフェーズ定義に含まれていると思います。ここに、リードソースから始まって合意形成を進めていくチャネルや、TheMODELに代表される分業型であれば、業務分掌やトスアップ・リサイクルのフローといった要素が加わってくるのがプロセス型化と呼べるものだと考えています。

セールスフォースは8段階でフェーズ管理している

そして、このプロセス型化のみが、常にカスタマーサクセス+エキスパンジョンというゴールから逆算してプロセス全体を調整していく必要があるため、この3つの中ではもっとも難しいジャンルのものだと思っています。

ありがちなプロジェクトの頓挫例

では、大枠3つの営業型化のアプローチ方向があるという整理をさせていただいた上で、それぞれこんな失敗ないですか?という例を上げていきます。

アクティビティだけを決めた結果、現場が疲弊する

例えば、1日100件の新規顧客への架電をKPIとして決め、それを全員が徹底したと考えましょう。スクリプトもしっかり準備して、なんとかかんとか100件を全員達成させてくる。・・・だけど成果に繋がらない。どんどん現場は疲弊していき、離職者がぽつり、ぽつり・・・みたいなこと、ありませんか?

こういったケースは、商談機会が作られてから受注までのファネルが急角度で、ほとんどが失注となるような設計になっているときに起きるように思います。本来、顧客接点における商談と合意形成により時間を使わなければならない(=プロセス型化こそ重要)にもかかわらず、アクティビティ偏重になってしまっており、結果がでないという状態になっています。

ナレッジが使われない

では、次に、頑張って資料やナレッジを蓄積したのに、全然営業がつかってくれない、というケース。もちろん、検索性が悪いことや、もっと手前だとそこにナレッジがあることすら周知されていないこともありますが、認識してみつけているにも関わらず、使われないという状態はよくあることではないでしょうか。

こういったケースは、営業推進やRevOpsが想像しているよりも、主たる顧客が抱える課題や、自社が提供できる価値のパターンが少ないことが挙げられます。究極、1つの商談資料だけでほとんど9割の顧客への価値訴求ができてしまうような状態です。この場合、アクティビティとプロセスの型化のほうがよっぽど営業の生産性があがり、業績にインパクトできるという形になります。例えば、Horizontalなサービスは、HRや経理といった、共通する機能の課題を解決するものが多く、そういった場合は訴求する価値も、顧客の管掌もほぼ変わらないため、そこまで複雑性は高くならず、ナレッジの領域で型化をすることのメリットは少し薄れると考えています。

プロセスが徹底されない

さきに、プロセス型化がもっとも難しいとお伝えしましたが、非常に多いのがこれ、「プロセスが徹底されない」です。

よくみかけるデータ。みんな使えてない・・・

定義が徹底されないでゆるゆるのトスアップがされたり、SFAやCRMへの記録がされないだったり。最たる例は営業マニュアルを作って、3年も作りっぱなしになっている、みたいな例は、皆さんの周りでも聞いたことがあるのではないでしょうか。

こういった場合は、2つのケースがあると思っています。一つは、商談の難易度が低い比較的シンプルな商材で、プロセスを徹底することより、手前のアクティビティを増やすといったシンプルな打ち手のほうが業績にインパクトできるケース。もしくは、個社別でオーダーメイドに提案活動を進め、個別性の高いナレッジを駆使していくようなコンサル的な立ち回りが必要なケース。どちらにしても、プロセス化することがそんなにメリットがなければ、徹底されずに形骸化されていきますよね。

余談ですが、米国のようにJobDiscriptionでの業務定義が明確でない日本では、この辺りがちゃんとやれていなくても査定に影響する企業は少なく、営業にとってはより入力をするインセンティブが少なくなり、プロセスの徹底は非常に難易度が高いと思っています。

営業型化の重要なポイントは、価値創造のメカニズムを定義すること

では、なんでこういうことが起きるのか?これは、”営業型化”のスコープが、営業が価値創造している活動とずれてしまっていることに起因していると考えています。先の失敗例も、業績にインパクトしていない型化をおこなったため、うまくいっていないといえるでしょう。もちろん、企業の規模と営業人数が増えれば増えるほど、全ての型化要素は必要となってくると思いますが、どこを重点的にやるべきかという優先順位づけは必要だと思います。

私は営業型化における重要なポイントは、「営業リソースが、本質的には顧客への提供価値におけるどの部分を創出しているのか?ということを定義すること」なのではと考えています。ここを定義することから始めて、営業型化のスコープを決めていかないと、多大なリソースを浪費して、活用されないプロジェクトを頑張る、ということになってしまうのです。

もっとも価値創造できる活動に営業リソースをあて、そこを起点に型化を始めよう

事業の価値創造のメソッドは、それこそ企業ごとに千差万別であり、また定義をされている企業(事業)とそうでない企業(事業)もあると思います。
ここでは、大枠として下記の4つのパターンに整理していこうと思います。

商材がコモデティ化しているパターン

営業リソースは、マーケティング機能として価値を発揮しています。誤解を恐れず言えば、営業が付加できる価値は、商談機会の創出までがほとんどとなります。これだけ情報が溢れている現代社会において、強力なマーケティング機能として、顧客へリーチできる営業の役割は非常に価値が高いものです。この場合は、「アクティビティ型化」中心に型化を行い、徹底的に効率化と行動量を増やす方向性にプロジェクトを進めていくことをお勧めします。売り切り型のビジネスや、ほとんど顧客によって使い方がかわらず、オンボードが比較的容易なソフトウェアなどがこれに当てはまるでしょうか。

オンボーディングまで丁寧な伴走が必要なパターン

営業リソースは、オンボーディングに向けたステークホルダー合意に価値を発揮しています。SaaS全盛期の今において、これから生まれてくるビジネスはこのパターンが一番多いのではないかと思います。オンボーディング+エキスパンジョンに向けて、ステークホルダーと価値訴求をして合意をしていき、ロードマップ作成をおこなっていくため、「プロセス型化」を中心に型化を行うことをお勧めします。そして、この時にとても重要な点として、「頻繁なアップデートが可能な形」での型化を目指してください。オンボーディングやカスタマーサクセスにおいては、常に顧客価値を上げていく力が働きます。さまざまなメトリクスで顧客をとらえ、より良い状態にしていくために、オペレーションが常に磨かれていくのですが、ここを起点に、その前工程となる全てのプロセスに影響がでてくるためです。1回つくることよりも、これを更新して磨いていくプロセスがずっと難しく、悲しいかなプロジェクトが頓挫してしまう主因となっています。価値創造のために常にオペレーションを最新化できるような、体制・スコープ・ツール・オペレーションを意識して型化のプロジェクトを進めるようにしましょう。

変数が多く、オーダーメイドでの個別対応が必要なパターン

営業リソースは、知見やフレームワークを提供してくれるリファレンス先として価値を発揮しています。多くの変数を、営業が相対的な視点をもって顧客と共に整理していき、グランドデザインを描いていくことが営業の価値となるでしょう。多数のソリューションを抱える大手企業においては、ソリューションニュートラルで、一旦課題設定を行う営業組織を作っていく動きも見られています。こうした組織や、戦略コンサル、組織コンサルといったコンサル業などがこれに当てはまると考えられます。このパターンの場合は、フレームワークと相対感の理解、個別案件をアナロジーで当てはめていく力が価値を生んでいくので、「ナレッジ型化」を中心におこなっていくのが良いと思います。

調整業務がほとんどのパターン

最後に、大手企業の担当営業で、担当顧客は1~2社。あまり提案機会は多くない、そういったパターンも書いてみました。ほぼ、この場合は「営業型化」という文脈ではプロジェクトは不要なのでは?というのが現段階の私の意見です。どちらかというと、すでにあるプロジェクトを進捗させることにほとんどのリソースが割かれるため、プロジェクトマネジメントをがっつり習得されたほうが良いのではと考えています。

プロセスは、価値創造のためにマストであるものに絞り込もう

特に、上記において、プロセス型化とナレッジ型化の境界は非常に曖昧で難しいと思います。先に述べたように、プロセス型化は常にアップデートされ続けることを前提にしておく必要があり、その意味でできるだけ最小限のプロセスに絞っておく必要があります。

型化プロセスにおいては、トップ営業がこういう振る舞いをしている、ということがわかった時、それをプロセスに組み入れるか?の判断をすると思います。その時に、常に「価値創造のためにマスト行動として全員がやるべきなのか?」という問いを自問しながら、迷ったら組み入れず、ナレッジの領域として蓄積していくことを選んでほしいと思います。

迷っている=判断材料が足りていないということでもあります。常にアップデートできるのですから、次のアップデート予定に判断を先送りにし、その判断材料を作るべく検証するという形で、アジャイルに磨き込むのがよいでしょう。項目を一つ増やすということは、それだけ説明コストがかかりアクティビティが重くなることでもありますので、一度に完璧に作り込むことなんてできないのですから、小さく始めていくのがお勧めです。

プロセス型化なら、弊社でお力添えできます

営業型化は「営業リソースが、本質的には顧客への提供価値におけるどの部分を創出しているのか?ということを定義すること」そして、「その定義を起点に自社にあった営業型化を行う」ことが重要だというのが今回の結論でした。

なお、弊社MagicMomentでは、営業型化のうち、プロセス型化を中心にアクティビティの領域までカバーできます。加えて、構築のための人的リソース(CS-BPO)もご相談のれますので、興味をもっていただけましたら、お問い合わせや渡邊(@Yusuke_W8)までお気軽にDMなどでご相談ください!


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