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311酔の友

13年前東日本を襲った地震と津波は今年1月1日能登に被害を及ぼした。まるで人間が定めた暦に意味が無いと言わんばかりに。

未来につなぐバトンをコンセプトにしているこの造り、宮城地酒蔵である一ノ蔵が毎年リリースしている。
被災の年に生まれ、震災孤児となった子供たちが20才成人(13年前の法律定義)になるまで、この造りの売上全額を支援団体に寄付する取り組み。
蔵元の経営が厳しくとも続けられている覚悟と姿勢に敬意を表したい。

毎年この造りを購入すると状況報告のパンフレットが添付される。今年のそれには、13年前に被災した子供達が成人し、能登の復旧作業で活躍していると報告されていた。
次世代にバトンが繋がっている事を感じざるを得ない。

毎年この日は1年を振り返る日にもなっているが、この1年で
また一人同世代の元会社同僚が他界した。
彼も癌を患い、数年ぶりに連絡をもらい入院先に見舞ったのは昨年の夏。
延命措置を拒む選択をしてホスピス病室に入院していた彼は見た目元気で
本人も不思議がる程。そのときはまだ食欲もあり、痛みなども発症していなかったようで、彼らしい語り口を久しぶりに聞いて懐かしくも感じたりしたが、もしかするとこれが最後になるかもしれないと感じたりしながら病室を後にした。
だが、その日からしばらくして症状が急速に悪化し、再度の見舞いが叶うことはなかった。

人間が抗えない天災によって突然会えなくなる事態を経験したことに加え、病気により天寿を全うする知人友人が増えてきた。それは自分自身含め皆の加齢が進んでいるためで、避けられない事ではあるけど実感が伴ってくる。

そんな人生の終盤に入った自分は、一般的に言われる老化に内心抗い続けていて、バスケットボールはなかなか定期的にプレイ復活が出来ていないが、日本酒だけは無理ないマイペースで嗜んでいる。(これを年齢に抗っていると言えるのか疑問を呈されそうだが。(笑)

ただ、この明日へつなぐバトンは、7年後まで飲み続けようと改めて想いを強く持った。
単なる飲兵衛が微力ながら出来る事を続けよう と。

献杯。