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丁寧な仕事の『角丸』-表紙貼りの技術

流通している本の場合、印刷が上がってきたものを最終的な製品にするまで、当社くらいの会社の規模では全部の工程を一つの会社でやるという事は有りません。
 
・大きな紙に印刷されたものを折る『折本』やさん。
・ページを合わせる『丁合い』やさん。
・折ったものを何単位かにまとめて糸で綴じる『かがり』やさん。
・表紙に紙や布を張り合わせる『表紙貼り』やさん。
・表紙などに箔を押す『箔押し』やさん。
・ハコ付きの本の場合の『製函』やさん。
 
などなど結構細分化した専門の会社があるのです。
 
その中で今回は大変古くからお世話になっている表紙貼り屋さんのことを書かせて貰います。
 
どの位昔からのお付き合いかというと、会社に入って40年以上経っている私(社長です)が知っている限り同じ表紙貼り屋さんに依頼しています。
いや、そんなものでは無く、当社も表紙貼り屋さんも先代からのお付き合いなのです。
 
特筆すべきは表紙貼り屋さんの「Mちゃん」です。
気安く「ちゃん」付けで書いていますが、大大大ベテランの女性です。
 
本やノートの角が丸くなっているのを「角丸」と言いますが、紙の端っこで指先を切ってしまうことや、ドッグイヤー(本文用紙の角が折れた状態)にならないようにひと手間かけるのです。よく、ノートや手帳で見かけるあれです。

中身が角丸なら、表紙も角丸になっていませんと、デザイン上もおかしいしアンバランスになってしまいます。

本体と表紙の角丸の様子


この加工に関しては、特殊な機械でも角丸にすることも出来ますが、あまり綺麗に丸くはなりません。(加工代は安く抑えることはできるのですが・・・・)

そこで、ベテランの職人Mちゃんの出番となります。


上の写真、表紙の角がちゃんとキレイな角丸になっているのがお分かりになりますか?これは紙の表紙の場合。

 布貼りの表紙の角丸もこのとおり。 

 美しいでしょう?(余談ですが上の写真、見返し部分がボコッと出っ張っているのはゴムバンド付きノートだからです)
Mちゃんは手作業で1枚に4か所になる端を、一つずつ角を丸めて綺麗に整形しています。そして、2,000位の量を3日でこなしてしまいます。
 本当に頼りになる優れた職人さん。何時までも元気で活躍して頂きたいです。

オマケの話ですが、「Mちゃん」は名前の何処にもMの字が付きません。
何故この愛称…?
(記事担当:社長)
 

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