製本した本の紹介『瀬戸酒造店ブランドブック』
こんにちは、渡邉製本です。ホームページで更新し続け10年になる「最近作った本紹介」という製本事例コーナーのnote編になります。
ホームページよりも読みもの度合いを上げて、写真も文章も多めにお話しています。
今回紹介する本『瀬戸酒造店ブランドブック』
今回は、2023年3月に製本した『瀬戸酒造店ブランドブック』の紹介です。前回は白い本をご紹介しました。今回は真っ黒なB4サイズの大型本です。
第65回 全国カタログ展で金賞と全国中小企業団体中央会会長賞をダブル受賞されています。
真っ黒、というのは本当に真っ黒なのです。真っ黒の理由は、表紙が黒いだけでなく本の側面まで黒塗りしているから。
三方小口色塗りでは終わらない、背中まで四方を黒塗り
本の側面を色塗りするこの伝統技法は「三方小口色塗り」と呼ばれ、通常は小口(綴じ部であるノドを除いた三辺のこと)の三方に色を塗ります。
今回は、コデックス装で仕上げた背中まで含め、四方にくまなく色を塗りました。
いかに断面だけを黒く塗り上げ、中身には染み込ませないか?テストを重ねる
製本相談を受けた当初から、全部真っ黒にしたいとの希望をいただいたこちらの本。
いかにして美しく真っ黒な造本にするか?
テストを重ねながら、製本会社、印刷会社さん、デザイナーさんの間で共有し一緒に判断を進めました。
真っ黒な本にするために、以下のような色塗りテストを行いました。テストでは、色塗りを施した際に黒い塗料が紙の断面だけでなく印刷面にまで染み込まないかを重視しました。
背固め後の固まったボンドの上からでも、黒い色がしっかりと乗り、色落ちしないかを検証
表紙の表面加工の種類を変え染み込み具合の検証
オフセット印刷の従来インクとUVインクでの検証
そうして何度もテストを重ねながら、色の染み込みを最も防げる印刷・表面加工を選定していったのです。
印刷会社の営業さんは度々工場に足を運んでくださり、デザイナーさんも色塗りの工程を見学に来てくださいました。協力しながら作り上げた本、という印象が今も残っています。
細部まで感じる黒へのこだわり
表紙は凹凸のある用紙にツヤのある表面加工。箔押しされたタイトルとブランドロゴマークが光の当たり具合で浮かび上がり、ラグジュアリーさとモダンさを感じます。
製本はコデックス装で、ノド元までフラットに開きます。さらにこちらはB4サイズの大型本ですので、見開きのインパクトは段違いです。
記事を書いているひよっこは日本酒に目がないので、こちらのお仕事をいただいてから完成までとても楽しみにしていました。
瀬戸酒造店様の作品であるお酒の世界観を作り込んだブランドブックの製本をさせていただきありがとうございました。
▶こんな記事もnoteに書いてます
▶過去の制作事例紹介を見たいなら
▶SNSで製本作業や製本事例など発信中
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?