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(備忘)6月21日 会計士協会IPOイベント ~ IPO関連業務のやりがい、ネットワーク作りが一番大事!など

 公認会計士協会東京会のイベント(会計士を対象にした研修会)に登壇させていただいた時のお話を書いておこうと思います。事後アンケートや、交流会や後日の参加者とのやり取りで「面白かったよ」など反響をいただいた話題をせっかくなのでシェアしておきたいと思います。

 他のパネラーもとてもよいお話をされていましたが、ここでは私がお話したことだけ書いておこうと思います。 
 なお、テープ起こしではなく、ただ思い出しながら書いていますので、言葉づかいが違っていたり、その場でのお話と若干違ったことを書いていましたらご指摘ください(ごめんなさい)。

1.話題=IPO関連業務のやりがい、楽しさ

 IPOに携わることは、その会社が大きく成長することに携われることと、その場に自分が関わることで成長できたり、場合によっては経済的にも豊かになれることもあります。
 私がCFOとして関わった会社でも、出会った時はとても上場企業になるとは思えないような中小企業でした。その時がN-3期、ショートレビューだけ終わっており、主幹事証券もこれから決める、上場準備プロジェクトをいまから立ち上げるというところから関わりました。社長は上場に燃えていましたが、幹部社員はうちが上場なんて出来るわけないですよと猛反対していたところからのスタートです。それが今はプライム市場の会社です。売上も出会った時は30億円台、いまは300億円以上で10倍以上になっています。これだけの成長に関われたことは凄いよい経験をさせてもらいました。ものすごい大変でしたが楽しかったです。

2.話題=どうやってスキルを得てきたのか、証券会社や東証などの情報をどうやって手に入れるのか

 自分の場合には、監査法人、証券会社、IPOコンサルというお仕事を通じて身に着けてきました。やはりお仕事面のスキルは実務で身に着けるのが一番だとは思います。
 とはいっても未経験の方でも今は書籍やネットからかなりのことは学べると思います。私は20年くらい前からIPOに関わっていますが、当時はIPO審査でどんなことをやるのかは主幹事証券と取引所の一握りの人だけが知っているクローズな感じでした。今は書籍も沢山出ていますし、インターネットで調べればかなりのことはわかります。とはいっても、実務を通じて経験することが一番だと思います。

 あと、証券会社や東証などの最新情報はどうやったらアクセスできるのかという点ですが、それも実務をしっかりやっている人に集まります。やっていない人が情報だけ得たいというのはおかしな話だと思います。
 いつも思うことですが、最新のトレンドがどうなっているという情報を追いかけすぎている人が多いと感じます。特殊なケースで上場審査でこんなことが問題になったから注意しておくべしというような話題はたしかに面白いし、そういう情報を持っている人をうらやましく思う面はあるのかもしれませんが、それがご自身の仕事にどれだけ関係あることなのでしょうか。上場のためにやるべきことの本質は10年前やそれ以上前から変わっていないと感じます。正しい決算書を開示できるようにしましょうとか、経営者が変なことをしないようにしましょうということです。上場の最新トレンドとか、特殊な審査論点などは、多くの会計士が手がけているIPOに向けての決算や開示の支援、内部統制の支援などにはほとんど関係ないことですので、その情報にアクセスできないからIPO関連の業務には進出できない、すごい難しそうだと思う必要はないと思います。
 最新トレンドを追う必要はありませんが、さまざまな論点がありますので、情報源はたくさんあったほうがよいです。先ほどの桑本さんからのお話でもネットワーク作りが大切というお話ありましたが、私も本当にその通りだと思います。分からないことがあったときに質問や相談をできる仲間をたくさん持っておくことが大切ですので、この後に行う交流会の場もぜひうまく使っていただきたいと思います。

3.話題=IPO関連のお仕事は儲かるのか、一生の仕事にしていいのか 

(CFO等として企業の中に飛び込む場合の金銭的な報酬についてのディスカッションにて)
 私自身は、現物株の購入とSOによって経済的にもとてもよい思いをさせてもらいましたので、儲かるのかという問いについては儲かりますといえると思います。 ~ もう少し生々しいお話もしましたがここでは省略 ~

 とはいうものの、会計士の転職の話題でよく耳にする「ストックオプションを多めに付与受けたい」、「最低何パーセントもらわないと無理」というお話には気になっていることがあります。その人はそれだけの価値提供ができるのだろうかと。
 私は上場を目指している会社の経営者の方と話す機会もそれなりにあるのですが、私からも「優秀な人材がCFOなどとして仲間になって大活躍してくれれば、その人のチカラで会社全体の将来が大きく変わるので、いい人材なら思いっきり特別な処遇を出してでも迎えたほうがよいですよ」という話をすることありますし、経営者はその点についてはしっかり納得してくれます。ですが、経験も実績も十分でない人が「CFOで貢献するので何パーセントは欲しい、普通はこれ位もらっている、私にもその水準で」という主張をされても簡単には採れないんですよ。その人が大活躍するだろうという確信が持てないので。もちろん、トラックレコードが十分な人であれば、この人が入れば相当な戦力になるとの期待が大きいので、堂々とストックオプションの割合などを交渉してもよいと思いますが。
(追加コメント:実際のところ、SOを多めに付与されたのに全然活躍しないCFOが沢山います。経営者の間でもその手の話題は飛び交っていますので、より慎重になっているのが実情です。)

(外部からのコンサル仕事は会計士の仕事として儲かるのかどうか)
 報酬の頂き方にもさまざまなパターンがあると思います。会計士のお仕事はタイムチャージで考える方が多いですが、IPOの支援は、支援する内容によってはタイムチャージがよいとは限らない面もあります。長時間の仕事をして得するのは会計士側ですが会社の側からするとぜんぜん嬉しくないことです。それよりは、短い時間でしっかり結果を出してくれるほうがよいですよね。
 なお、私もコンサルとしてIPO準備会社に関わっていた時には殆どの案件でタイムチャージではない報酬体系でお仕事していました。付加価値の高い仕事ができるなら、外部から関わるIPO関連業務も儲かる領域になりうると思います。

4.話題=どうやってネットワークを手に入れているのか、どうやって仕事を受注するのか

 お仕事を通じてネットワークを広げていくのが一番ですが、飲み会や勉強会のような場にいくこともいいと思います。私も飲み会や勉強会に参加したことがその後のお仕事へのご縁に繋がってきたことが結構あります。会計士の中には、今すぐの仕事に関係ないものには興味を持たない、行動しないという方も結構おられるようですが、いまは関係ないけどいずれ役に立つかもという位でもアンテナを広げて、好奇心も持って、人との関りは広げておいたほうがよいと思います。
 お仕事は、知っている方からの紹介で受注できるならそれが一番いいと思います。それを言うと、どうすれば紹介されるのか?という話になるかと思いますが、常日頃からいい仕事をしましょうということに尽きると思います。相手の期待を圧倒的に上回る仕事をできているかどうか。期待を下回るのは論外ですが、期待とピッタリではダメ。それよりもかなり上にいったときにようやくいい評判、口コミが生まれます。IPO支援に限らず、他のお仕事でも同じだと思いますが、あの人はダメだというような評判はすぐに広がりますが、いい評判というのは全然広がらないもの。お客さん側の期待している水準がどこにあるのかすら気にしていない人もいるようなのでそれではダメだと思います。
 報酬の設定の仕方もよく考えたほうがよいですよね。コンサルとしての外部からの支援でも、IPO準備会社に飛び込む場合でも、その都度出来る限りの高めの報酬を取りに行くスタンスはちょっとどうかなと思います。報酬を高くすればするほどハードルが上がります。高い報酬設定をして、それでも猛烈に頑張って要求水準を満たしていくというやり方もあるとは思いますが、それで紹介がどんどん広がっていくかというと難しいかもしれません。

5.質疑応答タイム ベンチャー企業にCFOとして飛び込んだ時の心構え、経営者との信頼関係づくり

 「経営者とうまくいかない、信頼してもらえない」という話はとても良く聞くお悩みです。経営者はどんな人となら仲良くしたいだろうか、心から信頼するだろうかという相手側の目線で考えてみるとよいのではないかと思います。これから何を勉強すればいいのかということ言う人が多いですが、経営者から信頼されるかどうかというポイントは、会計知識がすごいからとか監査に詳しいからとかではないんじゃないかと思います。
 経営者を好きになること、会社のことや会社がやっているビジネスを好きになることのほうが大切だと思います。これを言うと、好きになれない経営者ならどうすればいいんだという話になりそうですが、そもそも、会社に飛び込む前に好きになれる経営者、好きになれるビジネスかをもっと見ておくべきだったのではないかと。経営者が目指していることを一緒に成し遂げていく仲間になるかどうかが信頼関係づくりということなんじゃないかと思います。

 以上、パネルディスカッションのお話はこんな感じだったかと。
 
 研修後の懇親会(交流会)も大盛況でした。会計士協会のイベントで研修&懇親会を行っても、かなりの人数が研修だけで帰ってしまうそうですが、この日は研修受講者の約9割が懇親会に参加されました。
 講演とパネルディスカッションにおいて、ネットワーク作りがとにかく大事と強調したこともあり、懇親会を申し込んでいなかったのに当日やっぱり参加したいと残った方も相当数いたそうです。私も懇親会の場で多くの方とお話させていただきましたが、ネットワークを広げていきたい(がその機会がなかなかない)ということを仰っている方が沢山おられました。
 個人的に飲み会か勉強会でも企画しようかなとも。

(ヘッダーの写真は、当日の光景です(ほぼ満員!))


ついでに、本日の話題に関係しような過去記事もご紹介しておきます。


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