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【人生の決断】迷ったら必ず難しい方を選ぶ

今から約13年前の話しだが、


私はチベット仏教の聖地、キー・ゴンパの修道院に、泊まりがけで修行に行くことになった。



その修道院は、チベット仏教のラマ僧たちが、最も厳しい修行をするためだけに設立された、


『宗教訓練センター』とも呼ばれ、


標高4.166メートルの丘の上にある、世界で最も高い場所にあるお寺の一つだ。


その修道院があるスピーティーベリー(Spiti Valley)という場所は、


インドの中で最も危険な道を通らなければ辿りつけない場所にあり、

(Spiti Valleyを走るローカルバス)


当時、多くの旅行者には、「レー・ラダック」までのルートが、インドの旅の中で最も過酷な道のりとして知られていたが、



しかし、実際には、スピーティーベリーへの道は、それをさらに上回る厳しさを持っていたことを後に両方の街を訪れた旅人から私は知る事になるのだった。

 

通常は北インドの谷を超えるような場所に行くには、ジープをレンタルして安全に行くのが基本なのだが、



私は最も過酷なローカルバスで行くことになってしまったのだ。



なぜなら、途中から一緒に行動することになった韓国人の男が「せっかくなら最もスリルな方法で行ってみたい」と言い出したからだ。




私は正直、気乗りしなかったが彼の説得に負けてローカルバスで地獄のような山道を渡ることになったのだ



8月の中旬だというのに、山道には雪が積もっていて途中でバスのタイヤがパンクしてしまい、




凍え死にそうになった話はまた別の機会にするとして



今回はその修道院に行く前に北京で出会った韓国人と再会するため、




北インドの山奥のマナリという村の、



日本人が泊まるゲストハウスで偶然出会った一冊の本の話を紹介したい。




私は北京で偶然出会った日本語が話せる韓国人のイ・ヨンジュさんと、



中国の内陸の大都市の西安まで一緒に旅をした。

(西安 シーアン)


ヨンジュさんは、西安からウイグルを通り、キルギス、タジキスタンと陸路で抜け、



そこから北インドで最も険しいルートとされる「レー・ラダック」を、さらに超える危険な道を使って、




秘境と呼ばれるスピーティーベリーを旅するのが目的だと言っていた。


(ヨンジュさんのルート)


西安の行く途中の列車の中で「お前も来ないか?スピーティベリーに行った話を日本人の旅人にしてみろ。全然知らない場所だから箔が付くぞ」と笑顔で言われ



世界3周目だと言う彼の魅力的なオファーに惹きつけられた私はその場で行く約束をしてしまった。





彼の話ではスピーティーベリーという場所は北インドのヒマラヤ山脈の中を10時間以上かけて走らなければ辿り着けない場所であり、




さらに彼が目指すKAZAと言う村は7月〜8月の真夏にしか行くことはできず、




その時期を逃せば道は雪で覆われ通行止になり、次の夏まで訪れることはできなくなってしまう、




まさに秘境中の秘境だというのだ。

(真夏なのに雪が積もってる)



私は、それを楽しそうに語る彼のキラキラした目に魅了されてしまい、その場で一緒に行くことを決めた。




しかし、世界3周目だという彼は私がこれから向かうラオスを抜けてタイのバンコクに向かうルートは既に通ったことがあるらしく、




今回は世界旅行者がほとんど訪れたことのないキルギスやタジキスタンを抜けてインドの北まで行く予定とのことだったので、




私は地図を広げ、「では、今から2ヶ月後の8月の中旬にインドのどこかで落ち合うのはどうでしょうか?私はどうしてもタイのバンコクに行ってみたいのでバンコクに着いたら北上しインドを目指します」

(私のルート)


「よし決まりだな!では今からちょうど2ヶ月後に北インドのマナリという場所で俺は待っているぞ。小さな村だからお互いすぐに見つかるさ」



と彼は言い残して、2人は別々のバスに乗り込んだ。



ヨンジュさんとは北京のゲストハウスで意気投合してたったの10日の付き合いだったが、




お互い2ヶ月後に秘境中の秘境と呼ばれるチベット仏教のお寺に一緒に行くため、



インドの北の村「マナリ」で再会する約束をして2人は別れた。



そして2ヶ月後、私はマナリ村に辿り着いた。


(マナリ村)


私はそこでヨンジュさんを探す前に、比較的、日本人が多く集まるというゲストハウスに泊まることにした



そのゲストハウスではちょうど棚一つ分の日本語の本が置いてあり、



日本語の本を2冊置いていけば好きな1冊と交換しても良いというシステムになっていた。


もちろん、その場で読むなら無料だ。



私はヨンジュさんを探す前にどんな本が置いてあるのか本棚を見てみることにした。




そこで私はある一冊の本と出会うことになったのだ。



誰も知り合いがいない孤独の環境で久しぶりに読める日本語の文字は今思い出すだけでもとても嬉しかった



名前は忘れてしまったのだがレアメタルを輸入していた貿易商の本が目についたので私はそれを手にとった



その貿易商の本の内容は簡単に説明すると、ウズベキスタンだか、カザフスタンにレアメタルを採掘しに行った起業家の人が書いた自伝だった。



彼はカザフスタンだがどこかの国にレアメタルを発掘するため事業を立ち上げて2億円近くのお金を投資した時点で、



途中でその事業が頓挫しかけたという内容の話だった



彼はこの状況下で二つの選択で悩んでいた。



「さらにお金をつぎ込み採掘を続けるのか?」



「それとも2億円のマイナスを出したまま一旦は手を引くべきか?」



その判断を下さなければいけない状況になっていた。




その時の彼の心の中の葛藤が鮮明に表現されていたのを覚えている。



彼はそのときこう考えたそうだ。



 

「難しいのはどっちだ?」




なぜ、そう考えたのか?




彼の話だと「私の仲間や友人達でビジネス含め人生で失敗している人たちに共通することは大切な場面で簡単な方を選んでいたことに気がついた」と、いう内容だった。




人生で重要な局面、例えば、留学、独立、起業、会社選び、パートナー選び、




「子供に会わせないアイツが悪い!」と別れた家族に対する養育費の不払いなどを含め、



人生が失敗している人の共通点は楽な方を選択していることだったと気がついた。




だから、私は人生で重要な判断をするべき局面では必ず「どちらの方が難しいのか?」




そう考えて、難しい方を選択するようにしてきた。




そして、今まで、その決断は全て正しかった。




もし、私が楽な方、つまり簡単な方を選んでいれば、その全てにおいて現在手にしている以上の成功は手に出来なかったと確信している。




今回も同じだ。さぁ、難しい方はどちらだ?




このまま手を引くか、それとも追加で1億円を用意して採掘を続ける方か?




私にとって、難しい決断はどちらだ?




それこそが大多数と逆の方向、少数派(成功者)の決断なのだと入念に考え




さらに1億円の資金を突っ込み見事レアメタルを発掘して4億円の利益で撤収することができた。




という内容だったのだ。




異国の地で偶然手に取ったあの日本語の本




しかも、あんなインドの山奥の安宿の本棚に置いてあった本




今考えても、日本だけにいたとしたら、私があの本を手にすることはなかっただろう。




私は、その本を読み終えると、少しだけ考えた。




この本を、こんなインドの山奥まで運んできた旅人は一体どんな人物だったのだろうか?



そして、その旅人はこの本をここに置き、どんな本と交換して、次はどこへ向かって旅立ったのだろうか?




あの時、あの安宿で、あの本棚の中に置いてなかったら絶対に手にすることはなかったあの本の著者の、


 

彼の人生の成功哲学がそのときから私の心に焼きついたまま離れないのだ。




そこからだ。




私は人生で迷ったら、彼と同じように「難しい方はどちらだ?」




そう考えるようになった。




そして、必ず自分にとって難しい方を選択するようになった。




海外に行くべきか、日本に残るのか?


費用は自分で貯めるのか?


一人暮らしをするのか、甘えるのか?


独立をするのか、会社に残るのか?


悪い方法で稼ぐのか、まっとうに稼ぐのか?


悪い仲間と縁を切るか、このまま付き合っていくのか?




「難しいのはどっちだ?」




必ずそう考えてから決断を下すようになった。




それからというもの、全ての出来事で人生が上手くいくようになった。




もちろん、効果が現れるまで時間がかかるものも多かったが最終的には後悔のない選択だったと、




最後に清々しい気分を味わえるようになった。



それもこれも、あのインドの山奥で偶然手に取ったあの本のおかげだ。




品質が悪そうと言われて、みんなが敬遠した中国輸入に誰よりも先に取りかかったし、




在庫を扱う物販ビジネスなんてバカのやるものだ、と多くの仕事場の同僚が笑う中で、わき目もふらずに取り掛かった。



それもこれも全て、あの時の自分にとって難しい方を選んだからだ。




多くの人が他人のノウハウをマネして情報発信をする業界で2年の時間を使って自分でノウハウを組み立てた。




自分の手でノウハウをPDFに書き記した理由も全ては「自分にとって難しいのはどちらなのか?」とあの本に書かれている内容を実践してきたからだ。




いま、私はさらに新たな決断を迫られている。



慣れ親しんだ業界から、一旦離れるべきか?



自分にとって未知の環境に飛び込むべきか?




考えろ。




「難しい選択はどっちだ?」





人生で迷ったら必ず難しい方を選ぶのが正解なのだ。




なぜなら大多数の人間が成功していないのは今の自分でもできそうな簡単な道を選んで生きているからだ。





それからというもの、私は何かの決断を下す場面になると、



あのインドの山奥の安宿で手にとった、


 
誰が書いたか名前も忘れたその本の一節が、




何度も何度もこだまするのです。


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