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JICA海外協力隊面接の話

↓世界各地の協力隊の方のブログです。

19年秋募集の二次審査面接が始まったとのことで、
協力隊の面接について書きます。

ネットでよく見る情報

ネット上のブログやホームページで、
面接での質問事項やその模範解答の様なものを目にします。

しかし、一概にその様な情報を鵜呑みにするべきでないと考えます。
なぜならば、応募する職種や派遣エリアによって
協力隊員として求められるものは異なりますし、
面接官のパソナリティや質問の仕方、
そのニュアンスによって
あるべき回答の内容、回答の表し方も異なる、
と考えるからです。

第一に、ネットで見た模範解答をそのまま応えて、
万が一不合格になった場合に、
そのことを素直に受け入れられるでしょうか。

仮に別の要因で不合格になっていても

「ネットで見た模範解答そのままなのがばれてしまって不合格になったのかも…」

と無駄に後悔してしまうかもしれません。
そうなるくらいであれば、自分の本当の姿で面接官と対峙し
本当の言葉を伝えるべきではないでしょうか。

面接官も何百人と応募者を見てきています。
本当にその人の本心で言っていることか
何となくの知識からこの様な回答が良いかな
という打算での回答かは、
応募者がサイコパスでない限りは
見分けがつくと思います。

面接官は何を見ているのか

これは、一般企業への就職活動も同じですが、
リクルート活動というのは、よくお見合いと例えられるように
応募者と募集側のマッチングです。
募集する側は、只々単純に優秀な人を求めている訳ではありません。
募集するポジションに最適な人材を求めているのです。

プロサッカー選手がプロ野球チームに入れない様に
どんな優秀な人でも、協力隊として求められる適性を満たしていなければ
協力隊員にはなれないのです。

また、JICA側が求める適性を大きく超えて応募者が優秀な場合も
適任ではないと判断されることも考えられます。

あり得ない話ですが、仮に今上天皇が協力隊に募集しても不合格になるでしょう。
任地で陛下の安全を確保する様な警備体制を整える予算は
ODAにはありませんし
第一、訓練所に他の候補生と共に陛下が生活する訳がありません。
訓練における特別行事で赤坂御所訪問の際も、
どちらがホストでどちらがゲストか訳が分からなくなってしまいます。

話がそれてしまいましたが、
優秀な人が協力隊員になるのではなく、
協力隊員に適している人が協力隊員になる。

のだと思います。

そのため、面接官も
応募者が優秀かどうか?
を見ているのではなく、
応募者が協力隊員として適正か
協力隊員としての資質を持ち合わせているか?
を面接を通じて判断しているのです。

協力隊員としての適性

では、「協力隊員としての適性、資質」
とはどういったものがあるのでしょうか。

これも、就職活動と同じで募集する側、
つまりここではJICAがこれを公開しています。

JICAは募集要項のページで、
選考の際の確認事項として以下の4点を明示しています。

Q.6:面接ではどのようなことを聞かれるのでしょうか?また、選考ではどのようなポイントを見られているのでしょうか? 
JICA海外協力隊として必要な条件を満たしているかどうかを確認しています。主に確認する点は以下の4点です。
① 応募動機、意欲、異文化への適応力、JICA海外協力隊としての資質
② 技術、知識、経験は指導可能なレベルか
③ 語学力は活動、生活に支障がないレベルか
④ 派遣される国での生活に支障がない健康状態か
応募書類には応募する要請への対応が可能なことが分かるように、お持ちの技術や経験等を記載してください。
④については、提出いただく問診票、健康診断書により判断します。
なお、二次選考には、「技術面接」と「人物面接」があり、「技術面接」は、要請されている内容について対応可能であるかを判断するためのものです。職種によって異なりますが、知識や経験を質問するものが多くなります。 「人物面接」は応募動機、積極性、適応性、協調性、参加後の社会還元の考えなど、JICA海外協力隊としてふさわしい適性を備えているかどうかを判断するためのものです。ご自身の思いや考えを自然体で伝えて頂くことが大事です。

③語学力は、英語はTOEIC等で証明する必要がありますし、
その他の言語は、訓練時に学習します。
④健康状態は、診断書で判断するとあります。

つまり、面接(及びその前段階の応募書類)で判断されるのは

① 応募動機、意欲、異文化への適応力、JICA海外協力隊としての資質
② 技術、知識、経験は指導可能なレベルか

ということになります。
更に、確認事項①のうちの
JICA海外協力隊としての資質
に関しては、
「JICA ボランティア事業の方向性に係る懇談会」によって
2016年3月に出された
「提言:これからの JICA ボランティア
―青年海外協力隊から始まる 50 年を顧みてー」

https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/report/pdf/suggestion.pdf

を見ると、

ボランティアが備えるべき資質として、 「持続する情熱」、「異文化理解」、「柔軟な思考」、「表現力・説得力」及び「これらを支える心身の健康」が求められる。
とりわけ「持続する情熱」 を持ち、他の資質を引き出す素地を備えていることは必須である。

とあります。

つまり、面接においては

①動機や資質を「人物面接」で
②専門性を「技術面接」で

主に確認され

①「人物面接」においては
応募動機、意欲、異文化への適応力、
「持続する情熱」、「異文化理解」、「柔軟な思考」、「表現力・説得力」
及び「これらを支える心身の健康」の有無を観察される。
特に「持続する情熱」は最重要視される。

ということがわかります。

個々の項目が、より具体的にどういう性質のもので
そこからどういった行動特性が生まれるのかは
次のブログで言及します。

②技術面接に関しては、
求められるスキルが、受験する職種や要請にあわせて
それぞれ記載されています。

面接で話すべきこと

上記の人物面接、技術面接で
確認されるであろうスキルや資質を
自身が持ち合わせていることを、
自身の過去の行動や実績と絡めて
説明すれば良いでしょう。

例えば私の場合は
コミュニティ開発で応募し
「初代隊員として、現地の課題を発見するスキル」
が要請において求められていました。

会社員生活の中で実際に
課題解決を実行した実例を具体的に説明し
求められるスキルを自分が有していることをPRしました。

面接官の立場で考えると

「被面接者の思いや考えではなく、
実際の行動や実績(ファクト)から特性を判断する」

というのは1つの代表的なヒアリング手法です。
応募者としては、逆のやり方でPRする必要があります。

人物面接に関しても
例えば「持続する情熱」を
自分が持ち合わせていたからこそ起こした行動を
これまでの人生を振返り、
棚卸し準備する必要があります。

当然、直接的に

「あなたは、持続する情熱を持っていますか?」

と面接官が聞いてくることはありません。
様々な質問や受け答えの方法、仕草、目線
あらゆる角度から、資質を観察されます。

結論的になりますが、
その様な観察を経て上記資質を持ち合わせていると
面接官に考えてもらえるように

日頃から協力隊員としての資質を磨いていく

必要があると思います。

て、偉そうな結論で恐縮です。
訓練所や派遣国で出会う協力隊員の皆さんと接すると
本当に上記の資質を何かしら
持ち合わせている人がほとんどです。

逆に、何かの拍子で、持ち合わせずに任地に来てしまった人は
須らく活動や生活がうまくいっていない様に感じます。
(うまく行っていない人が、資質を持っていないという意味ではありません。念のため)

最後に

とは言うものの
質疑応答の準備を全くしなくて良いという訳では当然ありません。

ネットに転がっている、過去の質問集を元に
自分ならどう回答するかをシミュレーションすることは必要です。

但し、あくまでそれら質問は
上記「協力隊員としての適性、資質」を見極めるために
なされているということを
頭の片隅に置いておく必要があるということです。


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