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生協のお兄さんが提供する「真実の瞬間」【わたちゃんの、まったりビジネスコラム】

毎週水曜は、生協から日用品や食品が配達される日で、カミサンが外出しているときは受取担当を任されている、わたちゃんです。
最近新しく担当になったお兄さんは「働き盛りのオヤジが、なんで平日家にいるんだろう?」と思ってることでしょう。
家でワークをしている時はヒゲも頭もボサボサという身なりで、カミサンからは「その格好でマンションをうろうろしないで」と注意されます。今度お兄さんに会ったら「実は芥川賞を狙う作家で、、、」と話しかけてみようかな。

生協の商品を受け取っていて、最近我が家の発注量が減っていることに気が付きました。よく見ると、生鮮系の商品を発注する量がとくに減っています。カミサンに「なんで?」と理由を聞いてみると、原因はどうやら新しく担当になったお兄さんにあることがわかりました。
以前の担当者は毎回、
「先週配達した商品で、問題とかは無かったですか?」
「他のお客様でラフランスが傷んでいるものがあったのですが、お客様のは大丈夫でしたか?」
などと聞いてくれていたそうなのです。
新しい担当者は、苦情を言うほど対応が悪いというわけでも、愛想が悪いわけでもないのですが、そうしたちょっとした気配りや情報提供、声かけをしてくれないそうなのです。
 僕が「そんなもん別にいいやないか。いちいち買いにいくことを考えると、デリバリーしてもらえばええやないか」と言うと、
届いてみないとわからない生鮮食品だからこそ、そういう一声があると安心して注文できるのよ。何も言ってくれないなら近所のスーパーで自分の目で新鮮さを確かめて買った方がいいわよ」
と返ってきました。

「真実の瞬間」とは、
1980年代にスカンジナビア航空が経営再建に取り組んだ際のサービスマネジメントに関するの考え方です。当時、同社の社長兼CEOだったヤン・カールソンが執筆した著書「真実の瞬間(邦題)」の中で紹介され、注目が集まりました。これは、

「お客様は、その企業に接する瞬間(ほんの短い時間)で、その企業のサービス全体に対する良し悪しを評価してしまう」

という考えです。まさしく、

生協ビジネスにおける「真実の瞬間」とは、この配達のときのお兄さんの対応そのもの

と言えるかもしれません。
商品そのものの鮮度は、配達のお兄さんが変わったからと言って、変わるものではありません。しかしながら、消費者にとっては、お兄さんの一声で安心感を得ることができ、結果的に注文の増減につながるというわけです。
まさしく

商品そのものの価値より「真実の瞬間」に代表される顧客体験価値が顧客ロイヤルティに影響を与えるようなケースです。

ということで、早速僕も実践です。芥川賞を狙えない者としては、マンション住人との「真実の瞬間」を大切にするために、平日でもきちんとした身なりで新聞受けを見にいったり、外出したりするようにしてみました。でも、これを続けるのはしんどそうです。

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