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「スーパーマリオブラザーズ ザ・ムービー」 日本ゲーム界屈指のアイコンがハリウッド映画に殴り込み

 いや〜、ようやくというか、待ちに待ったというか。

ついに実現した日本のゲーム界が誇る屈指のアイコン、誰もが子供の頃から親しんできたあの口髭を生やした赤緑の兄弟が、「ミニオンズ」などで知られるIlluminationによって3DCGアニメーションとして今ここに爆誕した。

早速筆者も、子供の時分からプレイしてきたお馴染みのあの兄弟がどんな活躍をするのか、また、Illuminationによってどんな生命を吹き込まれたのか。その真相を確かめに劇場へと足を運んだ。

 今までの「ミニオンズ」や「ペット」などのヒットを飛ばしてきたIlluminationの制作で、日本のゲーム界、ひいては日本を代表するアイコンであるあのマリオが主人公である。大ヒットはもはや既定路線とも言える。

実際にGWの客足も大層なものだったようだ。

筆者が観に行ったのも平日だったのだが、子供連れも含め結構な盛況ぶりだった。

まず、初見しての感想を一言で述べるなら、それはオリジナルのゲーム作品へのオマージュとリスペクトに溢れた、それでいてIlluminationの培ってきた手法を存分に搭載した面白さ満載の作品であったと言える。

この作品、大袈裟でなく、スーパーマリオのゲーム好きも含め、鑑賞した人全てが満足する出来だったのでないかと思う。


まず一つ特出すべきなのは、マリオとルイージに家族という存在を与えたことである。

もちろん兄弟ということで、この二人が元々家族なんだという認識はある。

しかし本作ではここに父母などの家族を付け加えた。

言ってみれば、この設定は実にアメリカ映画的表現と言える。昔からハリウッド映画には親子、家族の絆という設定は非常によく見られてきた。

これはアメリカという社会の伝統的な価値観の表象だと以前から指摘されてきた。

それが本作にもしっかりと反映されていた。

ただ、マリオの父母は物語にはそれほど関与してこないので、そこまで意識されることではないが、やはりこう言った家族の存在があることで、マリオとルイージの兄弟愛的なシーンが強く印象づけされる。

私たちは今まで、ここまでこの二人が兄弟なんだという認識を強く意識したことはなかったと思う。

それが今作ではグッと強く描かれるているため、マリオとルイージについてまた新たな認識を得られたのではないかと思う。


そして、もう一つ言いたいことがある。

冒頭でマリオとルイージはニューヨークブルックリンで配管工として働いているらしいということがわかる。

しかも、耳馴染みのある楽曲を使用したテレビCMが流れ、彼らが自分たちの会社を設立し、独立してこれからやっていこうとしていることが示される。

これもまた、実にアメリカ映画的な表現だと思う。

ブルックリンという立地も特徴的で、まさにこれはアメリカンドリームの表象である。

ブルックリンは、古い倉庫やアパートが多く立ち並ぶ街だが、ここ10年の間でアーティストやデザイナーが移り住み、オシャレなカフェや多く立ち並ぶようになったと言われている。

そんな街での成功を夢見るマリオとルイージの兄弟はまさにアメリカンドリームを叶えようと奮闘するアメリカ的で伝統的な映画の表現である。


と、ここまで2点ほどつらつらと述べてきたが、こんなこと意識しなくとも今作はオリジナルのゲームへの愛が溢れんばかりに詰まった作品である。

掛け値なしに楽しめる作品であることは間違いない。

そんな中に、実にハリウッド的な映画の表現を入れ込んできたので私的にはそこが非常に興味深く今作を鑑賞させてもらった。


エンドクレジットの後にも少しだけではあるが、今後も楽しみになってしまうシーンがあるので、ぜひ席を立たずに最後までご覧いただけたらと思う。

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