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<はじめての手帳スケッチ> その5.画材を紹介します

はじめに

 すでに、その2.で画材のイメージをご紹介しました。あらためて、個別の画材について説明します。

手帳およびスケッチブック

 その2.で紹介した画像を次に再掲載いたします。

手帳および小型スケッチブック類(例示)

 まず紙ですが、携帯性がよく、インクのにじみがないものであれば何を使ってもよいでしょう。もちろん透明水彩画を描きたい場合は、携帯性の水彩紙を用います。
 ここでは初心者が始めやすいことを考慮して、水彩紙にはこだわらず安価で手に入りやすい紙を中心に紹介します。
(高級水彩紙の場合、小さいサイズでもそれなりに高額になります。高い紙を使うと、ついつい失敗するともったいないという気持ちが出て、気軽に描けなくなります。ですから、最初は安価な紙で描くことをおすすめします。)

 以下、私が使っているものを、小さいサイズから大きいサイズの順に紹介します。

  1. マイブック(新潮文庫):新潮社から毎年出ている文庫本です。ただし、印刷されているのは、目次と日付、あとがきだけで、本文は白紙です。文字も絵も自由に書いたり描いたりすることができます。ですから絵日記、旅絵日記にも向いています。
     私の場合、文庫本であることを利用して、電車やバスの乗客を気づかれないように本を読むふりをしてスケッチしていました。

  2. NOTE BOOK(B6サイズ、40枚 ㈱大創産業製):100円ショップのダイソーの製品です。罫線がなく各ページは完全に白紙(正確にはクリーム色)です。現在私は主に人物スケッチ、街歩きスケッチに使用しています。マイブックと違い、見開き2頁に描く場合、綴じ目がほぼ平面になるので描きやすいことが気に入っています。
     罫線がない白紙だけのノートは見つけにくいので100円ショップで買えるのはうれしい。(ただし規模の大きいダイソーで探してください)

  3. sketchbook(S140 サイズ: 172mm x 250mm maruman):文房具屋やスーパーの文房具売り場で比較的容易に手に入るスケッチブックです。スパイラル部分を入れるとB5サイズになります。20分~30分程度かけて街の風景をスケッチするのに適しています。

  4. sketchbook(B5 サイズ、40枚水彩用 ㈱大創産業):100円ショップのダイソーの製品です。クレヨン用と水彩用がありますが、線描にはどちらを使っても同じと思います。

  5. B5 サイズより一回り大きいスケッチブックの例として、写真にはフライングタイガー社製の黒いスケッチブックを示しました。堅牢でずっしりと持ち応えあるスケッチブックでしたが、最近はお店で見かけないので販売していない可能性があります。画材店では、上に述べたハガキ、B6、B5サイズのものも合わせて各種の小型スケッチブックを販売しているので、手軽に描けそうな、自分に合ったスケッチブックを探してみてください。

ペンと彩色画材

サインペン

 ペン先が見えるようキャップを外した状態の写真を次に示します。

代表的なサインペン


 まず、モノの輪郭線を線描する場合、線の肥痩を自在に表現できる、ペン先が丸く樹脂でできたサインペンを用います。また、インクは油性ではなく水性顔料で、乾くと耐水性のペンです。代表的なものとして二種類の製品を例に示します。

  1. PILOT Superプチ (中)耐水性:次に紹介する三菱鉛筆のリブと同じでペン先が丸く、強く推すと太く弱く持つと細い線を描けます。

  2. UNI sign pen リブ 水性顔料/耐水性 毛筆タッチ :上記PILOTのsuper プチ(中)と同じく、線の肥痩を表現できます。

  以上と同じ性能のペンは他社からも提供されています。例えば、「筆サイン(ゼブラ)」、「筆ごこち(呉竹)」「PIGMA1mm(SAKURA)」などありますので、いろいろ使ってみて使いやすいものを見つけるのがよいでしょう。

 輪郭線ではなく、模様や細かい部分を描く場合には先の細いペンを用います。 上の画像で示したサインペンの下の2本が、ペン先が細いペンを示します。

  1. PILOT Superプチ(細)耐水性:「PILOT Superプチ (中)耐水性」のペン先を細くしたもので、どんな角度でペンを持っても細い線が引けます。輪郭線ではなく、模様や細かい部分の線描に用います。

  2. SAKURA MICRON PIGMA 水性 耐水性 0.5mm:ペン先の形状が水平に切られており、直径が0.5mmの円になっています。ペンを紙に対して垂直に向けないと線が引けません。ペンを動かすと幅0.5㎜の一定の線になります。PILOT Superプチ(細)と同様、模様や細かい部分の線描に用います。

 なお、細いサインペンですが、私の場合ほとんど使いません。最初の2本(PILOT SUPERプチ(中)や三菱のリブ(毛筆タッチ)のうちどちらか1本で描き始めると輪郭線は勿論ですが、細かい模様も同じペンで最後まで一気に描きます。

 理由は、ペンを持ち替えると緊張がとぎれ、線の勢いがなくなることを避けるためです。

 初心者の方は、慣れるまで輪郭線用のペンと、模様を描くためのペン先の細いペンを使い分けるほうが良いでしょう。

彩色画材

 冒頭に紹介した手帳、小型スケッチブックは、水彩紙ではないので、必ずしも透明水彩絵の具を使う必要はありません。手短に塗るには色鉛筆があります。 
 また、イラストレータや漫画家が良く使う(デジタルが最近は主流かもしれませんが)アルコールマーカーも使いやすいと思います。 

 とはいえ、線描した線を活かすには透明水彩絵の具が一番なじむ気がします。水彩紙用の紙ではないので、本来の透明水彩絵の具の持つ良さ「明るさ、鮮やかさ、透明性、みずみずしさ」を発揮できませんが、それでも線描を一番引き立てる画材のように思います。

 色鉛筆は透明水彩およびマーカーに比べて塗るのに時間がかかるので、私は現在使っていません。ここでは省略します。ただ多色の色鉛筆セットは見ていて楽しく、つい試してみたくなるものです。もし手元に透明水彩絵具やマーカーがない場合、色鉛筆も試してください。
 下に代表例として透明水彩絵具と筆、アルコールマーカーの写真を示します。

透明水彩絵の具と水彩筆、アルコールマーカー

 左端の絵の具は、新宿世界堂で販売されている固形透明水彩絵の具セットです。蓋の裏側はパレットになっており絵具は18色入りで小さな筆が付いています。
 見てお分かりのように、筆洗器とこのセット一つあれば旅に出かけて、線描の後も旅先で彩色することが出来ます。
 手帳スケッチでは、現場では彩色しませんので必ずしも携帯性にこだわる必要はありません。自宅にすでにチューブタイプの絵の具をお持ちならば、それをお使いください。

 次に水彩筆ですが、写真に示したのは、通常の筆よりも短い携帯性がよい筆です。本格的な水彩筆でなくても、手帳スケッチの場合は、簡易のナイロン筆でも十分です。

 ここで、初心者の方におすすめの筆をご紹介します。

 それは、ぺんてる株式会社の「ネオセーブル」シリーズです。写真では、青い柄の三本がそれにあたります。

ぺんてる社 えふで ネオセーブル 0号、6号、14号3本セット:小学生相手の筆と侮るなかれ。新穂先が「コシがあって水ふくみがよい!」との宣伝文句の通りです。ただしネット上の評価では水ふくみは、動物毛の水彩筆に劣るというのですが、線描した後、塗り絵的に塗るためには実は絶妙の水ふくみだと私は思います。
 しかも、穂先は常に尖っていて、14号の大きさでも細かい部分を快適に塗ることが出来、ネオセーブル一本で塗りを仕上げることが出来るほどです。

 以上、ネオセーブル筆を紹介しました。なお、似たような筆としてサクラのネオセブロンがあります。そちらも試してもよいでしょう。

 最後にアルコールマーカーについて紹介します。つい数年前までは、COPIC社に代表される専門メーカーの高価なマーカーしか手に入りませんでした。ところがダイソーを皮切りに、現在では100円ショップ各社からアルコールマーカーが売り出され、とても求めやすくなりました。
 もちろん、専用メーカーのマーカーに比べ機能的に劣る部分がありますが手帳スケッチの彩色には十分と思います。
 透明水彩絵具の場合、水が乾いた後紙がよれよれになってしまいますが、マーカーの場合はよれよれにならない利点があります。

おわりに

 以上、画材の紹介を終わり、次回よりペンによる手帳スケッチの実践的な練習に入ります。


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