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評論コラム『古書店【螢雪の燈】の書評集』

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夜間にだけ街中で営業する古書店『螢雪の燈』のオーナーが読んだ本のレビューを深夜ラジオのように投稿する……という設定で読んだ作品を長文で紹介します。書評と名乗っていますが、中身はほ…
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2021年7月の記事一覧

【《日記更新1000話記念》会ったことなくても共感したら友達かもしれない -- 書評『三角翠の備忘録』】

--------------- タイトル: #三角翠の備忘録   著者: #三角翠   書籍: #漫画 ジャンル: #コミックエッセイ  初執筆: #2018年    国: #日本  サイト: #個人ブログ  全巻数: #毎日更新 続刊予定: #継続中  全頁数: #1000ページ   評価:★による定量評価はおこがましいため、今回は割愛させていただきます。 --------------- 【あらすじ】  一時はうつ病を患った筆者の三角翠(みすみみどり)だったが、懸命な入

【幸福とは騙されること? -- 解説『星の子』『完全教祖マニュアル』を読んで】

◆各書籍の感想はこちらから。 --------------- 【解説】  宗教という特殊な環境下を通して、社会にある「騙される側」と「騙す側」の両者の心理を知りたく、この2冊を書かせていただきました。ちひろの両親は、ちひろの難病を治してくれたことで特別な水「金星のめぐみ」を生む教団「ひかりの星」に信仰します。その心理状態の経緯について、『完全教祖マニュアル』で想定よりも多くの回答を得ました。  ちひろの家はインテリ家庭ではないけど短絡な底辺でもない、サラリーマンと主婦

【古典宗教だって最初は新興宗教だった -- 書評『完全教祖マニュアル』】

--------------- タイトル: #完全教祖マニュアル   著者: #架神恭介       #辰巳一世   書籍: #新書 ジャンル: #宗教       #歴史       #マニュアル  初版年: #2009年  出版国: #日本  出版社: #筑摩書房  全巻数: #1巻 続刊予定: #完結  全頁数: #236ページ   評価:★★★★★ --------------- 【あらすじ】  つまらない平凡な人生に嫌気をさしたら、いっそ教祖になってみませんか。

【非情に面白かった -- 書評『星の子』】

--------------- タイトル: #星の子   著者: #今村夏子   書籍: #文庫 ジャンル: #サスペンス  初版年: #2019年  出版国: #日本  出版社: #朝日新聞出版  全巻数: #1巻 続刊予定: #完結  全頁数: #256ページ   評価:★★★★★ --------------- 【あらすじ】  生後間もなくから病弱な主人公・林ちひろは、父親の職場の同僚から紹介された特別な水「金星のめぐみ」のおかげで見事に完治する。小さな体で苦しむ姿

【AIと交渉する-- 解説『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』『AIの壁 人間の知性を問いなおす』を読んで】

◆各書籍の感想はこちらから。 --------------- 【解説】  あと4年で21世紀も4分の1を迎えます。現時点では20世紀の思い描いた空想未来ほどまだ叶えていませんが、確実にAI導入による、また新たな波の働き方改革が起こります。それはある意味では、人間の仕事を奪う危険もあり、実際メガバンクではAIによる金融管理とネットバンキングのおかげで、日本中で支店閉鎖・ATM撤去・銀行員削減が発生しており、「大手銀行に就職できたから生涯安泰!」という安全神話も今や通じない

【人類が人工知能に対抗できる最終手段 -- 書評『AIの壁 人間の知性を問いなおす』】

--------------- タイトル: #AIの壁 人間の知性を問いなおす   著者: #養老孟司   書籍: #新書 ジャンル: #人工知能       #社会       #対談  初版年: #2020年  出版国: #日本  出版社: #PHP研究所  全巻数: #1巻 続刊予定: #完結  全頁数: #161ページ   評価:★★★★☆ --------------- 【あらすじ】  戦後日本の歴代ベストセラー4位『バカの壁』の著者で知られる解剖学者、養老孟司

【武器を持つことは未来を開拓すること -- 書評『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』】

--------------- タイトル: #2020年6月30日にまたここで会おう   著者: #瀧本哲史   書籍: #新書 ジャンル: #ビジネス  初版年: #2020年  出版国: #日本  出版社: #星海社  全巻数: #1巻 続刊予定: #完結  全頁数: #224ページ   評価:★★★★★ --------------- 【あらすじ】  2019年8月10日に病のため47歳の若さで逝去された、京都大学客員准教授でエンジェル投資家の瀧本哲史氏。「コモディ

【晒す日記「SNS」-- 解説『日記をつける』『にょっ記』を読んで】

◆各書籍の感想はこちらから。 --------------- 【解説】  いわゆる「日記のつけ方」と「日記の実例」の組み合わせで書かせていただきました。  さて、日記といえば「秘密のノートに書く」のがセオリーですが、現代でノートに書く人はどれぐらいいるのでしょうか。だいたいの人はブログ・Twitter・Instagram・note・FacebookなどSNSに書くと思います。ノート代かからないですし、文具店の営業時間も気にしなくていいですし。  ですが、荒川氏は『日

【日記と随筆と妄想の三つ巴合戦 -- 書評『にょっ記』】

--------------- タイトル: #にょっ記   著者: #穂村弘   書籍: #文庫 ジャンル: #エッセイ  初版年: #2009年  出版国: #日本  出版社: #文藝春秋  全巻数: #1巻 続刊予定: #未完  全頁数: #179ページ   評価:★★★★★ --------------- 【あらすじ】  現代短歌の著名な歌人で自虐エッセイの名手、穂村弘。そんな想像と妄想のスペシャリストである穂村氏がもしも日記をつけ始めたら、周りの日常は、私たちの社

【文字を記すことを「書く」と呼ぶが、日記は「つける」と呼ぶ。 -- 書評『日記をつける』】

--------------- タイトル: #日記をつける   著者: #荒川洋治   書籍: #文庫 ジャンル: #文章術  初版年: #2010年  出版国: #日本  出版社: #岩波書店  全巻数: #1巻 続刊予定: #完結  全頁数: #224ページ   評価:★★★★☆ --------------- 【あらすじ】  誰もが経験のある「日記をつける」。この行為について現代詩人の荒川洋治は一から丁寧に考える。そもそも私たちはなぜ日記をつけるのか。人はどんな日記

【読書感想文と書評の違いについて -- 解説『だれでも書ける最高の読書感想文』『はじめての批評 勇気を出して主張するための文章術』を読んで】

◆各書籍の感想はこちらから。 --------------- 【解説】  今回は「読書感想文」と「書評」という、この場のような読書系の投稿に必要な二大ノウハウについて学ぶために書かせていただきました。ここでまず単純な質問として、読書感想文と書評、および感想と批評の違いって何でしょう。  感想の進化版が批評なのは何となくイメージできますが、では批評に比べて感想は劣っているのでしょうか。そもそも何を基準にこの二つは分けられるのでしょう。  子どもが書いたら感想、大人が書

【批評の指南書を批評するという卒業試験 -- 書評『はじめての批評 勇気を出して主張するための文章術』】

--------------- タイトル: #はじめての批評   著者: #川崎昌平   書籍: #単行本 ジャンル: #文章術  初版年: #2016年  出版国: #日本  出版社: #フィルムアート  全巻数: #1巻 続刊予定: #完結  全頁数: #182ページ   評価:★★★★★ --------------- 【あらすじ】  批評というと何やら大ごとに聞こえるが、生活する上でどこかで自分の主張を述べる場面がある。そういうときに自分の中にある「批評力」という

【もう夏休みが怖くなくなる薬 -- 書評『だれでも書ける最高の読書感想文』】

--------------- タイトル: #だれでも書ける最高の読書感想文   著者: #齋藤孝   書籍: #文庫 ジャンル: #文章術  初版年: #2012年  出版国: #日本  出版社: #KADOKAWA  全巻数: #1巻 続刊予定: #完結  全頁数: #254ページ   評価:★★★★★ --------------- 【あらすじ】  夏休みの宿題でも特に嫌いな子も多い「読書感想文」。興味のない課題図書選び、苦痛で苦手な読書、「読んで感じたこと」とか知

【速報】ブログ更新しました。 2021年6月の読書メーター 読んだ本の数:30冊 読んだページ数:4491ページ ナイス数:3ナイス 2021年06月の読書メーターまとめ https://t.co/yndMTqCOc4