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作品とか、いろいろ。

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文学賞とかコンテストの応募した作品。
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記事一覧

さーちゃんとパパ①

 さーちゃんは小学3年生の女の子。髪は短い。いつもズボンとスニーカー。男の子だと間違われることが多い。でもさーちゃんはそれでいい。
 男の子だったら良かった。
 そう思っている。さーちゃんはゲームやサッカーが好き。お人形で遊んだり好きな男の子やカッコいい芸能人なんかの話には興味がない。だから女の子と遊ぶのはあまり好きじゃない。好きなのは恐竜や宇宙の話。さーちゃんは恐竜の化石を発掘する学者や宇宙飛行

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第3回 阿波しらさぎ文学賞(落選作)

 本日、一次選考の結果が発表され、落選しました。自分の応募作品を公開しておきます。見事通過したみなさんおめでとうございます。

以下、自分の作品です。題名は「おじさんとの夏」

ツイッター形式で物語をつくりました。

 ヨッチー@wat4nabe4(自己紹介)
 中学2年の不登校ニート。学校クソつまらない。マジで行く気なし。無言フォローOK。
 2020年4月からTwitterを利用してます。

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誕生②

 このときを心待ちにしていたにも関わらず、思いがけず狼狽した。まだ心の準備ができていない。
 おれがもたもたしていると、
 「はやく分娩室に来てくださいっ!」
 助産師に大声で急かされた。
 「すぐ行きます!」
 あわてて分娩室に向かった。分娩室にはじめて入ったが、のんびり中の様子を確認する余裕もない。ベッド上では足を大きく広げたきょうこが力を入れて、
 「ウウウウウーッ」
 と、いきんで唸り声を

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誕生。

 無痛分娩の予定入院。おれたち夫婦は、出産に立ち会うためと医師からの勧めで無痛分娩を選択した。当日の朝早く、産科医院に着くと、おれと妻は個室になっているワンルームの部屋を案内された。
 「あと数時間で、子どもが生まれているかもね」と、妻は言った。
 「緊張してきた?」おれはきいた。
 「うーん、どうかなあ」
 彼女は考えをめぐらすような顔になって、
 「まだ実感がない」と、こたえた。
 おれも同じ

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恐竜たちの夜。

 6600万年前、恐竜たちは絶滅した。地球上で王者のように繁栄していた恐竜たち。その絶滅が巨大隕石が原因だって、きみ知ってた? 本当にあったことなのかな? ぼくには信じがたい。でもえらい学者がテレビでしゃべったり、いろんな本や図鑑に書いてあるのだから、本当のことなんだろう。巨大隕石の衝突のエネルギーはものすごくて、地球の環境をそっくりつくりかえてしまったんだ。隕石の衝突で、大地震がひきおこされた

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初恋。

 わたしは起きて薬を飲む。この薬を飲まなければ、身体が動かなくなってしまった。
妻がわたしを心配そうに見ている。
「体調は?」
「あまりよくない。もう悪くなるだけのようだ」
 子どもたちは独立して、わたしは彼女と二人で暮らしてる。子どもたちは可愛いが、責任が伴う。独立したことで、やっと肩の荷がおりた。これから妻と二人でのんびり過ごすことを楽しみにしていた矢先、わたしは体調を崩した。最初はちょ

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ムーンライトセレナーデ。

 高校の卒業式。
 担任の教師から、
 「君たちには明るい未来がある。夢を持って進めば、何でも出来る」
 と、ありがたいお言葉を頂いた。
 シーン。反応なし。
 みんなは静まり返り、頭を垂れていた。だけど、それは恩師から送られた励ましに感極まって言葉を発せなかったわけではない。
 みんなこう思っていたはずだ。
 明るい未来?
 どこに?
 おれが通った高校は男子校で、ヤンキーが集うような田舎の校風

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