見出し画像

季節外れのキミのぬけがら

我が家には小学校3年生の男女の双子がいる。
双子たちが寝静まったリビング。

部屋の中央に、なにかが丸まっていた。

暗がりの中、近づいてみると、それは息子の洋服だった。
まるで、息子の”ぬけがら”だ。

「え? ここで脱ぎっぱなし?」

息子は、よくリビングで靴下を脱ぎっぱなしにしている。
でも、今まで洋服をまるっと置いていったことはなかった。

ここで脱いでお風呂へ入ったのか…?
息子の様子をノーマークだったので、なにが起こったのか分からなかった。

普段なら、ぬぎっぱなしを注意しようと朝まで放置するけれど、昨晩はなんとなく息子の「ぬけがら」を片付けた。

雑に丸まった洋服を抱え、洗濯機に放り込んだ。
明日の朝までナイトモードで洗濯乾燥まっしぐら。

画像1


朝起きると、息子がすごい剣幕でこう言った。

「ここにあった服知らない? 昨日準備しておいたんだけど!」

「(え、あれ準備してたの…?)あぁ、それなら昨日脱ぎっぱなしだったから洗濯機の中……」

まだ途中だと言うのに、息子は一目散に脱衣場に向かい、ドラム式洗濯機の中に頭を突っ込んでいる…。

洗濯機の中から、自分の服を引っ張り出しながら

「あれは、昨日の夜から今日着るために準備してたのに!」
「昨日はぼく、ジーパンはいてたの見たでしょ。分からなかった?」
「今日は体育館で遊ぶために動きやすいこのズボンを用意してたんだよ!」

まさか、洋服に無頓着だと思っていた息子。

夏場は上下エアリズムで過ごしていた彼が、そんなに予定を意識してコーディネートしてるなんて知らなかった。(でも軸は動きやすさだけど…)

「ごめんごめん、また脱ぎっぱなしにしてる。と思って洗っちゃったわ…」

プンプンしながら朝食を食べる息子。
でもまさか、息子が翌日に着る服を、前の日の夜から準備するようになるなんて…。


いつも適当に選んだ服を着ているとばっかり思っていた息子が、先を見通して行動するようになったことを思うと、

昨日の洋服のかたまりは、さながら息子のぬけがらだったのかもしれない。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます! サポート嬉しいです。いただきましたサポートはnote内の出会いに循環させていただきます。