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真っ直ぐ見るために、わき目を振る。

コロナ禍の中、ビジネスのミーティング、プレゼンテーションや
学校の授業がネットを経由してリモートで行われることがずいぶん増えました。
最近のノートPCにはカメラとマイクが付いていますから
お互いに顔を見せてコミュニケーションすることも多いかと思います。
その際、ほとんどの方がお気づきかと思いますが

視線が合いません。

理由は簡単。
お互い、相手が映っている場所とカメラの位置が違うから
ディスプレイに映る相手や聴衆の目をいくら丁寧に見ながら話しても
彼らの目の役割を担っているのはこちらに設置したカメラです。
相手を見ようとしながら、相手の視線とは違う場所を見ているわけです。

これを解決するために最近このようなカメラが販売されています。

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ディスプレイの上からコードやアームでカメラを支えて
画面上で相手とカメラが何とか被るようにしているわけですね。
実はかなり昔からある類の製品で、最近またウリにする会社が出てきました。
そのうちこのアームを極細にしたり透明素材を使うことで
画面を極力邪魔しない製品が出てくると思います(実際、昔ありました)。

ただしこの工夫は、実際はなかなかうまく機能しないんです。
この製品が悪いのではなく、適切に使いこなすのが非常に難しいのです。

遠くにいる人が自分を見ているのか?自分の隣の人を見ているのか?
コレは分かりにくいですよね。
目の前の人が自分の目を見ているのか?自分の鼻を見ているのか?
コレは一発で分かります。
問題はソコです。
相手が映っている画面とそれを見てるユーザの距離は50cm〜たかだか1m。
むしろ対面で話すときの方がテーブル等を挟んでいて遠いくらいです。
これだけ近いと、コチラがカメラから少しでも視線をズラすと
相手側からはもう違うところを見ているのが明らかに分かります。

その結果、相手からすれば
「自分の顔の、しかし目ではない一点をずっと凝視されている」
感じになってすごく気持ち悪い違和感が生まれます。
え、何かワタシの顔に変なもん付いてます?という感じ😅
まだ思い切って外れたところを見られている方が
「画面に映ってる自分を見てるんだな」
と思えるので感覚としてはずっとマシだと言う方が多いです。

もっとダメなのは、この製品のようなやり方で
相手の顔とカメラをなまじ近く(完全一致ではない)に置いてしまうと
ユーザーの視線はどうしてもカメラと相手の顔をチラチラと行き来します。

相手からは視線が不安定で挙動不審に見えるのです。
しかも参加者が複数いて、画面に居並ぶその面々が視線の端に入ると
そちらもついチラチラ見始めてしまってもう収集がつきません。
その結果カメラをしっかり見られず、誰とも視線が合わなくなって
彼ら全員から「アチコチ見ているのに自分とは一度も視線が合わない人」
だと思われます。
そしてコッチはすごく疲れます。

「相手ではなくカメラを見る」のが理屈で正解だと分かっていても
そのカメラを見ている視界の片隅に相手の顔が入って来ると
その割り切りを保ち続けることが非常に難しくなってしまうのです。
つまりこの製品のような方法は、問題をラクに解決するはずが
ユーザーに「見る/見ない、鉄の意志」を要求してしまい
かえって状況が悪化することがままあります

現状では、相手(聴衆)に与える印象を最優先するなら

「普通のWebカメラを自分の目の高さに設置する」
「話すときはカメラを見る。相手の顔を見るのは諦める」
「聞くときは画面に映る相手を見る」

が最適解です。
それが一番安定して、安心して、相手が自分に語っていると感じる方法です。
アナウンサーがカメラを相手にしているのとまったく同じですね。
たまに共有する資料を確認するために画面を一瞥するのは構いません。
適切なタイミングで聴衆のリアクションや反応を確認するのも良いことです。
たまには視線を外してあげた方が相手も疲れないというプラスもあります。
ただし基本的にはカメラを相手の目だと思って、カメラに話しかける。

画面に映る相手を見据えるのではなく
「カメラ目線」を駆使できるようになることは
リモートでプレゼンテーションや会議、講義を行う際に
コミュニケーション損失を防ぐための大切なスキルです。

ちなみに、このカメラ目線をマスターすると対面感が増すので
相手は「内職」や「裏稼業」をやりにくくなります。
コレもリモートコミュニケーションの効果を上げるためには大切です。

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