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【アンチからのひとこと】 「こんなことしてもムダ、世の中は変わらない」を考える

こんにちは。

昔ながらの菜食ごはんで食肉の需要を減らしたい、「和ビーガンLOVER」と申します。

ビーガンというと、否定的、もしくは好戦的な態度で挑んでくる人が多い日本…。

ここでは、そんなアンチ発言にまっこうから反論してやろう!ではなく、「脱搾取=思いやり」を掲げるビーガンらしく、さまざまな意見を受け入れ、さらにそれに対して私はどう思うのか? 学びや考えを深めるきっかけとして利用してやろう!という企画です。

本日のお相手は、50代の取引先男性。お仕事は極力ラクしたい、かわりに自分は美味しいもの食べたり、趣味の鉄道の世界にどっぷりつかっていたい、そんな愛すべきおじさんです(笑)。

つまり、自分の半径5mにしか興味がなく、世の中や世界がどうなろうと知ったこっちゃない、想像することすらない。何もしなくても今の生活が永遠に続くと思っている、ある意味幸せな方、といった印象です。

さて、そんな彼からのお誘いで、仕事仲間3人で食事を楽しんでいたときのこと。幹事を任された私は、巨大なワインセラー完備、そして、美味しい魚介類を食べさせてくれるお店をセレクトしていました。

この店を選んだ理由を聞かれ、環境や食料問題からお肉を食べない生活をしていることを話すと、彼の目が嬉しそうに輝き始めました。そうです、これは例のヴィーガンを攻撃してやろう!と、ワクワクしている人の顔です。

案の定、「そんなことしたところでムダ、何も変わらないよ」。

「お肉はみんな食べたいし、だいいち畜産農家やお肉屋さんはどうするの。
 経済が破綻しちゃうよ」。

という、ドヤ顔つきの返答が…。

それって、本当にそうでしょうか?

ヴィーガンやベジタリアンを選択する人が望んでいるのは、最終的には動物を搾取しない世界です。

そのための第一歩として、まずはお肉を食べないという選択をしています。なぜなら、何を食べるか食べないかは、一個人の自己裁量で選べますし、この世界は需要と供給で成り立っているから。

お肉を食べたいという需要を減らすことで肉の供給を減らし、いまのような地球環境を破壊し、第三世界の人々の食料まで奪うような工業型畜産のあり方を何とかしたい、そう思っているんです。

確かに、いきなり「肉を一切食べない。動物を搾取しない」という世界にすることは難しいでしょう。

ですが、徐々に世界が変わり始めているのを感じませんか?

私がそれを強く実感したのは、年明けに飛び込んできた、「韓国で『犬食禁止法』が可決された!」というニュースでした。2024年1月9日の韓国国会で、食用を目的に犬を屠殺したり、飼育・繁殖することが禁止となったのです。しかも、賛成多数、与野党ともに異論なし!というから驚きです。

犬肉を食べることは、伝統なのか、動物虐待なのか…。韓国で長らく議論になっていた論争に、なぜこんなにもすんなり終止符が打たれたのか。

それは、時代の風潮が変わったから。「犬食は伝統だ」という韓国国民の社会通念が変化したからです。

1988年のソウルオリンピックの頃から、韓国に犬肉を食べる習慣があることが知られ、海外から厳しい目が向けられるようになりました。2018年の平昌オリンピックでも、ある選手の「韓国は犬を大切にしてください」という発言が物議を醸したことは、以前書いた記事の通り。

そんな時代を経ていまの韓国はというと、「伴侶動物(Companion Animal)」という考え方が広まっているといいます。若者の間では、ペットとファミリーを組み合わせた「ペッファム族」という造語まで流行しているとか。

つまり、犬は家畜ではなく、ペットであり家族であるという考えが広く浸透した結果といえます。ここからすぐに法改正するなんて、さすが韓国! と感心しました。決断力と行動力は、韓国企業の強さの秘密だと聞いたことがあります。いつもうやむやになる日本の政治とは大違いです。

少し話は脱線しますが、「伴侶動物」という考えが根付きつつある韓国の航空会社では、ペットの機内持ち込みも可能だとか(※ケージに入れる必要がある他、重さ制限などルールあり)。また、別料金を払えば、ケージに入れずに隣の席に座らせることができる特別便などもあるそうですよ。

かたや日本では、日航機の炎上事故の際、とある女優さんのコメントが大炎上しましたよね。正直に申し上げると、私は女優さんの意見になんら違和感は覚えなかったし、なぜここまで炎上したのかわかりませんでした。

「ケージに入れて機内に持ち込めることを許して欲しいです」。
なぜなら、女優さんが伝えたかったのはこの言葉のままではありません。その真意は、「この機会に、そろそろ動物をモノとして扱うのはやめませんか?」「飛行機に預けるときも貨物室ではなく、他の方法がないか模索してみませんか?」という、問題提起だと思うからです。何も、「今すぐペットを機内に持ち込めるようにして」といっている訳ではないのです。

なのに、多くの人が額面通りに受け取り、「ペットを機内に持ち込むなんて!」と検討違いの反論をしていることに驚きました。言葉の行間や余白まで読み取れないことに、むしろ愕然としました。

日本語はときに、文字通りの意味を表さないことがあります。その状況によって、いろんな意味に受け取れるのです。

英語の「I Love You」ひとつとっても、日本語に訳すとその状況によって何通りもの表現が生まれます。

夏目漱石の「月が綺麗ですね」とか、二葉亭四迷の「死んでもいいわ」などが有名ですね。そのどれもが「I Love You」の訳であり、伝えたいのは、「私はあなたを愛しています」ということです。

件の女優さんも仕事柄、ど直球で動物福祉を語るのは憚られたため、「ケージに入れて機内に持ち込めることを許して欲しいです」。という言葉にされたのではないでしょうか?

ただ、SNS上のことですから、グローバルな視点でみると、もはや日本語的な情緒ある表現は理解されにくい、英語のように文字通り受け止められてしまう、という時代なのかもしれません。後になって私も少し勉強させていただきました。

ちなみに、世界基準からみたら、日本はアニマルウェルフェア(動物福祉)の後進国であることを付け足しておきましょう。

さて、話は脱線しましたが、元に戻すと…、私は、韓国で『犬食禁止法』が可決したニュースを知って、徐々に世界が変わり始めているのを感じました。その国に根付いた食の伝統を変えるのは、とても難しいことだと思います。

けれど韓国では、世界基準の”アニマルウェルフェア(動物福祉)”という社会通念に触れることで、国民の倫理観が変わり、国会すらも動かした。

だから、「そんなことしたところでムダ、何も変わらないよ」は間違い。
少しづつでも、人の倫理観を変え、社会通念を変えて、よりより未来に向けた新しい選択ができると思うのです。

「お肉はみんな食べたいし、だいいち畜産農家やお肉屋さんはどうするの。
 経済が破綻しちゃうよ」。にしてもそうです。

同じような議論が、アメリカの奴隷制の時代にもさかんに言われました。巨大農園の労働力として、アフリカ大陸から連行された黒人奴隷たち。その奴隷開放に反対する白人から出たのは、「そんなことは不可能だ!」「経済システムが破綻する」。「多くの人が破産するし、会社が倒産する」といった意見でした。

しかし、その結果はどうでしょう。南北戦争後のアメリカは、農業国から工業国へと変貌を遂げ、世界最大の経済大国であることは周知の通りです。

「坂道を転げ落ちるよう」という表現がありますが、まさに今は険しい坂道を登っている最中。だから、物事も急には進まないし、ふんばりが必要です。でも、頂上までいけば、あとは坂道を転げ落ちるだけ(本当は悪化するさまに使用する表現なのですが…苦笑)。動物を搾取しない未来に向けて、急速に社会が変わっていくのではないでしょうか。

とある研究によると、集団の中の3〜10 %の人が特定の考えを訴えれば、波及効果でどんどん賛同する人が増え、ついには社会を動かすとか。人間は社会的な動物なので、集団から取り残されたくない!という意識が働くそうですよ。

私たちも、世界基準の考えに取り残されることなく、アニマルフェアや環境問題、食料問題についても、よりよい未来に向けた選択をしていきたいですね。いま、自分が人類の歴史の変わり目にいると思ったらワクワクしませんか?

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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