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夜更かしと、雑音と、ご機嫌と。

どうしても夜更かししたい夜はある。
静まった空気の中でたった一畳のスペースに2時間は居座って、頭の中にどうでも良いことを入れたくなる夜が、私のそれだ。

大抵、そんな日の翌朝は目覚めが悪く、口角がへの字に曲がっている。そうなるのがわかっているのに眠らない選択をするのが、人間らしくて良い。

今日のこの家の朝の音は全部雑音だった。
昨日と同じ音でも、自分の気分次第で心地よい音にも、雑音にも聞こえるのは不思議なことだけど確かなことだ。

君がお腹の中にきて10ヶ月を迎えると、重くて重くて朝起きるのがつらくなった。随分前に目覚めたのに体を起こせなくて、気分は晴れない。
それでもようやく、口角はへの字から一文字くらいにはなってきた。

朝ご飯を食べてもぼーっとする。こういう時は、シャキっとできないというよりシャキッとしたくない。無気力に浸っていたい。

”自分をご機嫌にしておく”
ここ最近で私がとても好きな言葉。自分の機嫌がよかったら笑顔になれたり行動的になれたりするからとても大切なことだと思う。
でも、どうしても今日は自分のご機嫌がとれない…。
誰も見ていないテレビから、テレビショッピングの「なんと!なんと!」って割引価格をさもお得かのようにまくし立てて話す男性の声とか、明らかに営業目的のダイレクトメールの文字とか、全部全部うるさい!全部雑音!

もうリビングにはいられないと、パソコンを持って別の部屋に移動する。
この部屋の窓からは、高く育った木々の緑が見えて、午前中は光が射せばその影が壁に映って揺れる。それが綺麗だから好き。

人間の感情の表と裏みたいに、光があって、影があって、風が吹いて緑が揺れて、肌に着ているものは気持ちが良くって静寂がある。それを見て感じているのが、私のご機嫌をとる条件なのかなと思う。
夜更かししているときみたいに、誰にも邪魔されない小さめの空間で、自分の呼吸で肩が上下しているのがわかるような、そんな瞬間。

君が産まれたら、雑音だと思う時もそうじゃない時もあるんだろう。自分のご機嫌の取り方を掴むまで、一緒に頑張らせてほしい。

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