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「オリジナルの紙を作る」ロマン

和紙の王様、越前和紙の里に行ってきました。写真は、紙の神様をお祀りする「岡太神社」。

とある、新しいお客様仕様の和紙をオリジナルで抄造するためでした。

オリジナルの紙を作るって、ロマンじゃないですか!?

和紙のメリットってどういうところだろうといつも考えます。勿論、歴史があったり、風合いが良かったり、色々とあるのですが、じゃあ和紙じゃないとだめかというと、和紙じゃなくてもいいケースも多いです。

結構明確なメリットとして、「オリジナルの紙が作れる」っていうのがあります。だいたい、洋紙でオリジナルで作ろうと思うと、最低でも10tくらいは作らないといけません。10tというと、コピー用紙くらいの厚みの紙で、1m四方くらいで、14万2000枚くらい必要です。A4サイズにすると、さらに10倍の140万枚。

140万枚!!しぇーー!!という感じですよね。

機械漉き和紙の場合ですと、だいたい1tくらいから作れますので、単純に10分の1です。まあそれでも1万5000枚の全紙、A4では15万枚くらいですから、とんでもない数字なのですが、まだ可能性がありそうです。

100枚入りのA4のセットを作ったとしたら、1500個販売出来れば、クリアできる数字なのです。

世界的に見ても、このくらいの中量規模で紙が作れるのは珍しいようで、超大物ブランドから、そのブランドのロゴを透かしたオリジナル和紙を作ってほしい、なんて話もくるぐらい。

透かしを入れたいのか、色を入れたいのか、厚みを変えたいのか、紙に模様を入れたいのか。はたまた印刷や万年筆に向けた和紙の組成にしたいのか(この辺は結構思い通りにいくかどうかは試行錯誤が必要)、を決めて、実際に漉いてもらいます。

当然、オリジナルですので、紙の名前も自分たちで付けれます。

世の中には、デザインフィルさんのMDペーパーや、神戸派計画さんのグラフィーロ、アピカさんの紳士なノートの「A.Silky 865 Premium」など、紙そのものに対するファンの多い商品もたくさんあります。当然、豊富な知識と試行錯誤で生まれていると思いますので、ロットが少ないからって簡単に作れるものではありませんが、チャレンジの入り口に立てる可能性があるのも事実です。

機械漉き和紙って、洋紙に比べたら高く、手漉き和紙に比べると本物感がちょっと、というような微妙な立ち位置にさらされることも多いですが、こうしたメリットも見過ごせないかもしれません。

事実、弊社は社員7名の弱小和紙問屋ですが、
お札や朱印帳に向け、印刷適正と筆への適性を両方高めた「銀」や、独特のムラ感とふんわりした触り心地が楽しい「ひなた」、アメリカ産コットン100%の「コットン和紙」など、オリジナルの和紙も多数持っています。
万年筆で書ける和紙「なぎ」もその一つです。

和紙工場さんは、こうしたお客様仕様の別注和紙の受注は、とてもうれしいものです。我こそはというアイデアがあったら、チャレンジできるのは、とてもいいことかもしれません!

今回の和紙を使った商品は、来年の2月くらいに発売される予定のようですので、お楽しみに!

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