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中小零細観光地の文化財と史資料の加工工程。(ことほむ 合同会社何やってるの?)

東京・大阪・奈良・京都といった国内外インバウンドの大観光地に、鎌倉・金沢・白川郷・飛騨高山・上高地・松本など羽田〜関空エリアに挟まれた中小観光地にその周辺の零細観光地。大観光地は上場企業のように博物館イベントに於いても(中小零細観光地の博物館と比較して)潤沢な(企画会社側の)予算があったりします。大規模な集客広報(あらゆるところに広告を出す)といったことや、企画展グッズの制作なども行われるわけですが、それ以外の博物館ではなかなか予算がかけられず、創意工夫によって涙ぐましい努力で広報活動をされています。

さて今回は史料とかを扱いながら「ことほむ」って何したはるん? と(よく)聞かれますので、簡単な図を書いてみました。地方の博物館・史料館の方、参考にしていただければ幸いです。
(アニメーション時代考証はここから派生した事業って感じです)

観光と文化財とデザイン試行錯誤

図の上側は観光地を概略してます。

観光と文化財とデザイン試行錯誤

文化財や史料って結構研究が進んで、新事実が更新されていたり、関連史料が増えていたりします。ところがそれらの情報ってしっかり出されているのですが、史料や歴史に興味がない人(地元でもかなり多いんですよね)はまず目にする機会すらありません。ところが視点をちょっとずらすと興味のフックに引っかかる人が増えてきます。

最近ですと「刀剣女子」が(2020年)流行っています。視点がずらされた一例として実感が湧きやすいですし、ブームで終わらず一部には定着すると思われます。ちなみにブームの発端はオンラインゲーム「刀剣乱舞」。浮上してきたのは2015年頃からですので、5年ほどこのキーワードは活きています。かくいう弊社内にも約1名刀剣女子が在籍していることがわかっていますが本人には内緒です。

対して図の下側が「ことほむ」でやっていること(の一部)です。

観光と文化財とデザイン試行錯誤

すでに明文化できている文化財は文字だけでも説明できるため、文化財や史料に興味のない人でも、関連する何らかの記憶のフックに引っかかり、『‼』ってなります。ところが博物館の史資料の場合、多くの人にとっては関連するフックと紐付けできていないためフックに引っかからず、たまたま報道されたとしても、自分の興味と関連付けることができなくて面白さがわかりません

そのため実は観光資源として価値あるものだったとしても、直接観光カテゴリーに入ることは難しいため、観光活用しやすいように加工する(視点を変える)デザイン作業をしているのが「ことほむ」です。

作業手順は漫画・ラノベ・ゲームやアニメを作っていく工程とほぼ沿い、博物館には必ずある「年表」はプロットの一部、出来事を時系列でわかりやすく一覧にしたものに過ぎません。これは長編小説を読む人やガンダム、エヴァンゲリオンを見る人でも自分で年表を作ったり、ストーリーから時系列に落とし直すといった作業をしている人もいると思います。ことほむで作業しているのはそれの地域版なのですが、市町村史と違うのはあるキャラクターを中心としたストーリーを想定しており、その次代をピックアップして市町村史の隙間を埋める作業がほとんどです。いわば市町村史補完計画です。

また先に書いたシナリオの中心人物となるキャラクターについても人物相関図、地域相関図などを作りながら整理しています。銀河英雄伝説でも作ってる人いましたね。

当然キャラクターイメージも重要となるため、(刀剣乱舞女子が)キャラクターデザインも手掛けています。

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頭身キャラの他にウェブサイトや様々なコンテンツで使いやすいよう、ちびキャラのデザインも同時に(刀剣マニア女子が)精力的に進行しています。

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これらのキャラクターを活かしながら、シナリオをまとめたり、広報サイトを企画デザインしたり、オープンデータとして準備できるように法令面を調査といった作業をしています。

キャラクターと事象、文化遺産・史資料を紐付けて、現代でも残っているものや文化思想などとも紐付けし、フックの種類を増やしながら博物館にも足を運んでもらうツーリズムを作ることが最終的な目標です。こうすることで文化財の維持や研究が意味を持ち、持続可能になっていくことを期待しています。(唐突にSDGsへ持ち込みますが)

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現在は行政機関直接ではなく、中間団体を挟んで作業をしています。できるだけ地元に密着した中間団体さんが存在することで、その後のプロモーションがやりやすくなる傾向がわかりましたので、できればDMOさんなどが間に入ってくれると嬉しいかと思っています。(もちろん教育委員会さん、文化庁さん直接でも嬉しいです)


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