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アフターコロナで価値観が変わる観光

外出自粛要請に観光地の自主閉鎖。会議のオンライン化が進み、移動に関する考え方が大きく変化しています。これに加えて宅配のトラフィック限界もちらほら見え隠れしつつあり、様々な問題が浮き彫りにされてきました。

こうした問題点の表面化は悪いことではなく、システム開発などでは意図的に悪条件を与えて表面化される問題を潰すバグフィックスのようなものだと捉えると、アフターコロナでどのような変化が見受けられるか読みやすくなると考えています。また震災と違い、世界規模で起こっていることなので、単純にローカルで起こっている問題とは違い、システム全体のバグフィックスの可能性、つまりシステム基礎部分の見直しが図られると考えるのが妥当だと判断しています。

このバグフィックスはいつまで続く?

順調なシステム開発ならスケジュールを区切りながらリリースまでの日数をカウントダウンしていけるのですが、今起こっているコロナ禍は計画の中に入れてなかった不具合です。それもシステム全体に及ぶほどの。こうなると出口はすぐに見えませんが、解決すべき問題がはっきりしてきます。

まずアフターコロナはいつなのか? ”ことほむ”は前回の記事にも書いたスペイン風邪パンデミックの大正7年を参考に、令和3年の今頃までは急激な活動停止などを繰り返しながら、その年の秋頃には新しい活動へシフトしているだろうと予測しています。1回目の感染拡大が落ち着いても、免疫を持っていない人が多い2回目のほうが確実に規模が大きくなると思ったほうが、歴史に学んでいます。株式会社bajji小林氏の記事にとても参考になる分析が掲載されていますので、一読をおすすめします。(*^^*)

何をもってアフターコロナとするのかにもよりますが、インバウンドが視野に入っている観光業にとっては、世界的にパンデミックによるあらゆる規制が無くなったときがアフターコロナでしょう。それまでには日本国内での休業要請や移動自粛要請が無くなる段階があるはずで、次に近隣諸国、そして先進国、その他国と次第に段階を経ることを考えると、まだまだ当面先にはなりそうです。観光業については、yakutakeshi0527氏が”観光2.0を考える~「アフターコロナの観光・インバウンド」”の忘備録としてまとめてくれてある記事が参考になります。

"観光2.0を考える~「アフターコロナの観光・インバウンド」"の記事中にも出てくる「消費者目線での変化」以下の記事は、覚悟を決めなければならない観光地も出てくるのではないでしょうか。特に昭和の惰性を引きずったまま、何も変化をさせていない観光政策をして今までズルズル来ている観光地は打撃が大きいと思えます。自覚がないだけに、問題を浮き彫りにできないので、評価指標を作れなくてジワジワ悪化が利いてくるパターンに陥る可能性がありそうです。のすけさんの記事が参考になります。

こうして急激には2年ほどかけて、あとは工程が組まれながら、ビフォーコロナと比べるとものすごく大きな変化を遂げるバグフィックスが完了すると考えています。

変化後に変わる価値観

情報収集とコミュニケーションは完全にネットへシフトします。そもそもこれは言われていたことですし、覚えるのを面倒がって今まで極力使っていなかった人たちが、今回のことでネットを使ったコミュニケーションに慣れてしまいます。とく変わるのが「紙資料」でしょう。オンライン会議の場合、紙資料を「配る」なんてことはしません。あらかじめPDFで送るか、会議中に共有リンクを送るなどして閲覧します。中には後々プリントしている人もいるでしょうが、紙資料の配布は二次的なものに格が下がります。これは広報資料にも言えることで、観光プロモーションで配っているパンフレットの類は、少なくとも電子に置き換える事を考るべきでしょうし、電子になることでハイパーリンクが使えることを戦術に入れるべきです。

また移動が制限されたことでの価値観が変わります。移動方法というより、移動先の「選定」に関しての影響が大きいと考えるべきです。この影響のもとにあるのはYoutubeの閲覧数上昇。今まで見たことがなかった人も、在宅になったことで10分程度の動画を閲覧するようになったことで、マイナーな情報に触れる機会が増えたと予想されます。つまり目的地の選定に多様性が生まれます。今までのように「城がある」や「世界遺産に登録されたものがある」だけでは目的の選定候補地から外れる可能性が高くなってきたといことです。同じ歴史遺産でも角度を変えれば見え方も変わりますが、今までは一方向からの視点で紹介している事例が多いですから、建築・装飾、伝説と周辺との関わり、人物、当時の情勢、謎解き…それぞれ深堀りしていくことが大切になってきます。

大陸からのインバウンドは激減

これはもう多くの人が予想されていると思います。大陸のバブル経済はこれで完全に終了で、そのしぼみ方は日本よりも速度が早い可能性があります。そのためアフターコロナではその人口の多さで一時的に戻ると思われますが、伸び率は鈍化すると考えていたほうが良いと考えています。ただし大きな政変などがない前提での予想ですので、昨今の情勢を見ている限りは、大きな動きがあると考えていたほうが懸命だと言えます。

代わりに欧米各国からのインバウンドが相対的に増加すると考えていたほうがよく、大陸からの人たちとは違い、目的をもって観光に来るため、しっかりコンテンツを整備しておくことが選定地とされる大きな要因になるであろうと考えています。

だからといって、安易に忍者・侍・着物へ走るのはご法度です。私たちが思っている以上に欧米の方たちは日本の歴史を学んでいます。また日本人のマニアからの情報を比較的多く受け取っており、生半可な情報では食いついてくれません。

準備は今のうち

コロナ禍で各地の観光政策に変化はないのかと思い、アンテナを張っているのですが、関係者を集めた勉強会や今後の対策について話し合う場(オンライン会議など)は多く開かれていない印象です。これだけ日々変化が起きているので、アフターコロナでも今までと同じ集客に戻ると考えていると、着実に下準備を整えている地域に先行されると思ったほうが良いでしょう。

コンテンツ整備は観光投資の一貫です。システム開発でも同じように、コンテンツの内容に合わせて(各種仕様設定)ハード整備をします。コンテンツの策定には思っている以上に時間がかかりますから、普段できないことをこの機会に始めることをおすすめし、アフターコロナで変化に対応した観光関連業の経済回復を願いたいものです。


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