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歴史と観光資源のつながりを整理。ついでに全方位広告はもう期待できないことも。

この話の前段として、歴史観光活用=戦国のイメージが強すぎる。というのがありまして。
「ウチの自治体にはお城がないから、歴史は観光に使えない」
なんてコメントが出ること多々…。

いやいやいやいや…。
歴史=お城じゃないし、有名人=戦国武将じゃないし…
そうかといって、地元の名士を推されても、非地元民は引きますから。

何がどう価値があって、さらに付加価値とはなにか?

まず、僕(昭和46年生まれ)と同年およびそれ以上の方、さらにウェブマーケティングとかウェブコンテンツ企画をしていない人で、うちに帰ったら「テレビを付けるか見ちゃう人」。
あなた方もれなく全員、Z世代(ネットネイティブ)の感覚からメッチャクチャずれてますからねっ‼
10年くらい前に、老害がぁ〜って言っていた我々世代、すでに老害に入っていることを実感しないと、痛い人になっていくのですよ。

さて、価値ってなんぞ? ってことをまず整理しておくと、必要な人と提供する人の間で成り立つ心の壁の厚み
つまりATフィールドのことですね。(違うし、既におっさんだし)

往々にして現代ではそれを「価格」として表すことが多いですが。大事なのは必ず相手があること。自分の中ですべて可決するものではないってこと。

もう一つ。付加価値について整理しておくと、まひろさんのnote.com記事が結構まとまっていたので丸投げしちゃいます。

ということで、歴史の価値って何か?
様々な意見があるので、あくまでも考え方の一つということで。
そして歴史資料を調べていく過程で見えてきた価値。それは「組み立て図」としての役割。
そう、プラモデルについている組み立て説明書のようなアレ。

プラッツ AL-S20 組み立て説明書用自立スタンド S.A.I (サイ)より

組み立てずに従って組み立てていくと、だれでも一定の形にできる役割を持っているもの。
ただ組み立てるのは脳内ですけどね。

城がわかりやすいのは、完成形がそこにあって、組立図を見なくても勝手に戦国時代を空想する人が多いから。
ブロックで組み上げていくお城を想像してもらうとわかりやすいかな。

カワダ ナノブロック 姫路城 スペシャルデラックスエディション メタリックシルバーver.

組み上がっちゃったものを見ても、そんなに感動は生まれないでしょうし、そもブロックに興味がなければスルーでしょう。
同じ心理が既存のお城を始めとする歴史建造物や遺跡などに働いてます。

しかし実際に組み上げた経験のある人なら、組立説明図を見ながら進める過程で、苦労やなんらかのエピソードなどを思い出すことから、共鳴する部分を見いだせることでしょう。
この人達は、同じお城を見るにしても、未経験者との価値に違いが生じています。

つまり少なくとも組立説明図を見ているかどうかだけでも、お城を見る価値に差が生じることがわかってもらえるのではないでしょうか。

観光事業者のみなさん。付加価値を考えようじゃないですか‼

見てもらえるかどうかすら微妙な”組立説明図=歴史解説コンテンツ”を用意できるのは、観光行政部署の仕事。それも詳細な組立説明図は作れない。
なぜなら、見てもらえるかどうかすら微妙なので。
あの組織は、ウェブマーケティングで言うPV(ページビュー)だけで評価指針としてるダメダメなところ。
観光業者はそれ以上を期待しては駄目だし、むしろ観光行政側が中途半端な組立説明図を出すくらいなら、自分たちで作り上げて出すことに力を注いだほうがいい。DMOっていう組織体制があるのだけど、実態は観光協会がDMOと名乗っちゃっているところが多いのが現状。
できれば、旅館組合とかが業務拡張してDMOになっちゃったほうが良いと思うのだけどね。ガッツリ利益確保を目指して。

さて現状は、付加価値を作り出せていないところがほとんどです。
まひろさんの記事でもエンターテイメントが付加価値に直結みたいな感じで書いてあります。

ところでエンターテイメントをガッツリ考えたことありますか?

ホテル・旅館に泊まることそのものがエンターテイメントである。という意見もありますが、そこに何の付加価値があるのか考えてみる必要もあります。そも、日本中のホテル・旅館が同じことを考えた場合、付加価値が重複するなんて笑えない話になりそうで…って現状そうじゃない?
おもてなしブームってものがあったじゃないですか。

だからこそ、エンターテイメント。

つまりは、演出ですよ。

演出のやり方で、その演出が刺さる人が居る。
宿泊がエンターテイメントであるなら、その場ではどのような演出が行われているのか? 観客は見るだけなのか、参加させられるのか? といった組み立てがあってこそ成立するわけです。

演出というのは、もともとの流れ、今回の例では組み立て図が底にあることが前提。

舞台や映画、アニメやゲームといったエンターテイメントの組立て方と構図はほぼ同じなので、観光事業者さんのバージョンアップ方法として、舞台・映像エンタメ業界の組み立て方を取り込むことで、勝者となる道が開いているっ‼

とずっと考えてました。今でもそう信じてます。

すごく荒く、乱暴に台本までの流れを書くと上図になります。台本より向こうは実際に制作していく工程になるので省略。
なお脚本と台本の違いは、制作スタッフ向けの情報が書かれているもの(ロケ地とか小物の準備とか)が脚本。役者が語るのに必要な情報が書かれているもの(感情とかセリフの背景とか)が台本となります。
豆知識ですね。
さて、これを地域観光事業に落とし込むと下図のようになります。

もっともここで元になる「歴史」の切り口を探さないといけない。
その大前段として「企画」があるわけで、どこの何の歴史をさがしてくるか? がキモニナリマス。
探してきた歴史の組立図が不完全な場合、補ってからちゃんとした組立説明図に仕立て直したりしますが、それは企画での作業。

観光事業に関しては、集客に成功したとかなんとかは、概ねこの「演出計画」に由来していることがほとんど。
企画段階って、実際には地域の歴史・文化を元にしているので、評価対象にするということは、自らの文化を否定することになるからありえません。

地元の鉄道・バス会社や旅行代理店が主役⁉

地方観光行政に丸投げ感のある付加価値ですが、実は地元の鉄道・バス会社や旅行代理店がこうした演出計画は得意です。(言い切ります)

そう言い切れる大きな理由は初詣

この初詣というイベント。明治5年頃に阪急電鉄や京急電鉄が作り上げた演出計画じゃないですか。

明治5年にできて、今できない理由は何?

できない理由は単にやらないだけ。それ以外無くて、当時に比べて刺さる人に向けて、あらゆる情報伝達網ができている現代なのだから、これは観光事業者がサボってる以外考えられない。
おそらくね、30代以下の社員たちは思ってますよ。部長、そのやり方じゃぁ、届かないよ…。って。
責任者さん、同じこと思ってませんでした? 同じ年代の頃。

組立図の役割を担う歴史資料がちゃんと整えられているなら、演出計画をするだけで済むのだから、これほどコストが掛からないことはない。

明治の電鉄事業者も同じことを考えていたはずですよ。なんせ、正月に神仏に挨拶に出かける文化は、江戸期からあったのだから。

テレビ網がもたらした、業界の生仮病

歴史の組立説明図が作れない。または古い組立説明図(昭和から更新されていない歴史資料)しかないところが多いハズ。
京都とか金沢とか福井とか名古屋はすごい更新してるし、名古屋と京都は演出にサブカルをうまく使ってますね。

で、こんなにサボりぐせがついちゃった根本の一つに、テレビ網があると考えらる。冒頭に書いた”ウチに帰ったらテレビつけちゃう人”って、自分が見たものは他人も見てると深く考えずにいるのですよ。

それは子供時代に学校に行ったら、クラス全員前日のドラマの話題で盛り上がっていたり、報道番組の内容で一喜一憂してた時代を生きた人だから。
ちなみに僕もその時代を通ってきた人。

生まれたときからスマホがあった人たちなら考えられないんじゃない?
他人(他グループ)と自分(自分が所属するグループ)では、共通の話題が少ないのは当たり前でしょう?

でも、世の中のおじさんやおばさんは、スマホどころか、ネットがない時代、正確には一律の情報しか見られない時代を生きてきた人なんです。
そんな人が部課長だったりするんだよね。本当ならビジネス機会損失してるのだけど、残念ながら経営者がもっとわからない世代なんだよね。
会社でやる気が出ない一つの原因だよね…。

おっと、脱線したぜ。
つまり、一律同一の情報しか得られない人にとって、テレビ網で取り上げられれば、みんなが知ってると思ってるわけなので、広報っていうと「全方位=年齢・性別問わず」でやれば楽じゃん。って考えてる‥もとい脊髄反射してるわけですよ。

ね? 怠け者以外何者でもないでしょ?
それでどこぞの大学出てたりするんだよね。それをなにげにマウント取ってくる人だったら救いようがないね。

残念ながら、段階ジュニア世代以上の感覚ではもうだめなんですよ。ユビキタス世代でももうだめ。ゆとり世代以前の、スマホネイティブ世代に市場の主導権は既に移っていることを認識できなければね。

テレビ網時代とネット時代はメチャクチャ違う

何が違うかって言うと、居場所が違うんですよ。
当時はクラスの中で話題が違うと、ボッチになっちゃう。それはもう、ほんとにボッチ。休み時間・体育の時間での組分け・学校行事での班分けとかでことごとくボッチ。

ところが現代ではスマホがあるからチャットできちゃうわけですよ。自分の学校以外の人ともね。
だからクラスで同じ話題を追いかけて居なくても大丈夫だし、休み時間中だってボッチに見えて、実はチャットしてるんじゃなくて?
そういう意味では居場所がネットにあるわけだから、ボッチにはならない。
そんな環境で育ってきた人たちとは、根本的に情報の受け取り方が違うのだから、全方位情報配信なんてムダムダムダムダムダムダっ‼

広報に500万円かけて1万人集客して、売上が300万円で赤字だったとしても、観光行政は集客数を誇りますからね。500万÷1万=500って計算で、一人あたり500円で動員できたーって。あれ? なんかおかしくね?
もっとも、観光行政だと指標としては経済効果一覧表で見ちゃうから、売上って概念はないんですが。(だから付加価値想像はできない)

同じ500万円でも、1000万円の売上を出せるような演出計画を立てないと、ブランドの考え方からしても持続可能なんて言えないと思うのです。

でもテレビ網はもう使えませんから。
だからツェルマットではCRMを導入してるし、一般的な小売事業者だってCRMを活用してるのだから、観光事業が特別なわけがないのですっ!

そしてウェブ広告にも激震が走ってますね。

というわけで、付加価値(エンターテイメント)を組み立てるときの根本的な下地としての歴史の価値、理解していただけたでしょうか?



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