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代理によるミュンヒハウゼン症候群の母への対応

本日は「代理によるミュンヒハウゼン症候群の母への対応」というテーマでお話しします。質問に答える動画です。

代理によるミュンヒハウゼン症候群と思われる母親との接し方について、学校としてはどういう風に対応したらいいですか、という難しい質問にお答えします。


聞いたことないよ、という方は多いと思います。

ミュンヒハウゼン症候群を聞いたことない方が多いと思うので、ミュンヒハウゼン症候群とは何か、そしてそれが代理とはどういうことなのか、をお話しします。

◾️ミュンヒハウゼン症候群とは

ミュンヒハウゼン症候群とは何かというと、簡単に言えば詐病です。

自分は病気があるんだよ、と虚偽の病気を言うんです。

病気だと嘘をつくんです。

これはかなり難しくて、かなりその病気のことを詳しく調べて言うんです。

例えば、胃潰瘍というのはこういう症状があるということを調べて、そのように振る舞って喋るんです。

精神疾患も同じで、医者はこういうことを聞くだろうということを念頭に、色々なことを事前に調べておいて、その通り教科書的に答えていくということなんです。

医師側も、嘘をついていそうだな、と何となく直感的にはわかるんだけど、断定しにくいんです。

その人たちは、侵襲的な検査や手技も厭わないんです。

例えば採血をする、胃カメラを飲む、そういう身体に傷が入るようなものやダメージを受けるようなものを侵襲的な検査や手技とか言ったりするんですけど、そういう治療も厭わなかったりします。

患者さんによっては、自分は胃の中に何かがあるんだ、ということで、手術まで求める人たちもいたりします。

これは相当に難しいんです。

これは統合失調症の幻覚妄想から来てるのかな、うつ病の心気妄想なのかな、と精神科だったら思うのですが、どうやら何か違うなみたいなことが時々あります。

時々というか、僕も医者10何年やってきて、ミュンヒハウゼン症候群と診断ついた人は本当に片手で数えるほど、もしかしたら両手かも知れませんが、本当に少ないです。

医者が、ちょっとこの人違うだろうな、これはミュンヒハウゼン症候群だな、とわかったときには、相手も察してドクターショッピングをするんです。

自分の嘘に付き合ってくれる、自分の演技に付き合ってくれる人じゃないと居着かないというのも、またミュンヒハウゼン症候群らしさだったりします。

鑑別というか背景には統合失調症があったり、統合失調症が良くなった後だったり、幻覚妄想ではないんだけど統合失調症の名残だったりすることもあるし、物質乱用をしていて、覚せい剤や違法薬物を使ってる人たちがそのような奇異な行動をとったり、PTSD(トラウマ)があって奇異な行動をとってしまう人もいるし、人格障害のように発展している人もいれば、発達障害的な人もいるし、IQの問題、知的障害、境界知能の人でこういう行動をとる人もいたりします。

あとは特殊な仕事です。

特殊な仕事とはどういう仕事かというと、闇バイトのような悪い仕事というか、違法すれすれというか、違法なことを生業にしてる人たちがこういう行動をとったり、その家族だったり、そのパートナーたちがすることがあります。

なぜそんなことをわざわざするのかというと、注意や注目を集めたかったり、薬がもらえるからだとか、騙してやることに楽しみを感じていたり、快楽を感じたり、色々な理由があったりしますけど、まあでも滅多にいないです。

滅多にいないけど時々います。

でもミュンヒハウゼンかなと思って疑うのではなくて、やはりこの人は嘘をついているのか、演技しているんじゃないかと思うのは、やはり医療者としては良くなくて、まずはその訴えを真摯に聞いて、やはりそうじゃない病気の可能性を考えるということが大事です。

ほとんどの場合はミュンヒハウゼンじゃなくてうつの心気妄想などの方が多いんじゃないか、統合失調症の幻覚妄想や発達で誤って理解してるなどがあったりします。

せん妄状態もあったりしますけど。

よく若いドクターや別の科の先生が、これミュンヒハウゼン症候群じゃないですか、と言って質問されるんだけど、いやいや違って、これはこの病気ですよ、と言って、割とストレートな病名が付くことの方が多いです。

◾️子どもを病気に仕立てる

代理ミュンヒハウゼン症候群というのは何かというと、そこからさらに自分の病気ではなくて、子どもを病気に仕立てたりするということなんです。

場合によっては子どもに害を与える。

子どもが転んだんです、と言っても本当は自分が殴ってる、自分に怪我させるみたいな形で子どもを病気に仕立てるということもあったりします。

行き過ぎると虐待でもあったりするので、児相に通報したり警察介入が必要なケースもあったりするよということです。

これもやはり注意、注目を浴びたい、薬が欲しい、保険金が欲しい、色々あるのかもしれないですけど、時々います。

子どもというのは弱いのであったりしますけど、でもその親がなぜ子どもをそうするかというと、背景にはこういう問題があったりするのもたくさんあります。

というのがミュンヒハウゼン症候群の医学的な治療対応ですけど。

◾️治療

心の治療についてはどうやっていくのかというと、ストレートに治療していくのであれば、やんわりと病気のことを否定しつつ、でも彼らが持っている苦しみには共感していくというのが大事です。

カルテにちゃんと書いておかないと他の科の先生が困ったりすることもあるので、やはり診断は診断としてしっかりしておくというのが良かったりします。

あとは何かあって救急車を呼んだ時、病院に電話がかかってきた時、主治医がいない時にはグチャグチャになってたりするかもしれないので、ミュンヒハウゼン症候群を疑ってるんだとしっかり書いた上で程よく付き合うというのは、それなりの腕の見せどころではあります。

重要なことは、その病気に付き合うというよりも、その背景にある困りごとや本人の生きづらさに焦点を当てていくということが大事です。

本人は、ここが痛いんですよ、これはこの病気だと思います、ということを話題の中心にしたいんだけれども、そこに付き合い過ぎると、やはり共謀関係というか、治療が進んでいかないので、なぜそうなったのかというと、その背景には彼らの生きづらさがあるわけです。

家族の問題なのか、仕事の問題なのか、子育てが辛いのか、色々あるので、そちら側に焦点を当てつつ、原因の方を解決していく、受容していくということが治療の基本です。

他の精神疾患の治療と一緒ですね、背景にある問題を治療していくというのは。

法的な問題、司法の問題としては、校長以下でチームを組んでいくということがとても重要で、一人でやるというのは相当に難しいです。

かなり特殊でレアなケースなので、自分一人で対応していこうというのではなくて、チームを組むというのが基本かなと思います。

校長以下でチームを組んだ上で、こういう人がいるんだけれども、子どもに対して虐待かもしれない云々ということは全員で共有して、教育委員会に相談する、児相を通じて保護をすべきなのかどうかを検討したり。

警察介入が必要なのか。

そうしたら、まずそもそも犯罪なのか、逮捕が必要なのかということを考えていくということになります。

これもケースバイケースというか、どれぐらいやってる、やり過ぎているのか、などがあったりします。

じゃあどうしたらいいかというと、一言では言えないんですけど、治療としては、法的な方としてはチームを組んだ上で各所に相談しつつ、アルゴリズムに沿って、その場その場で判断していくということになります。

とにかく特殊なケースなので、こうした方がいいよという決まりきった筋道というのはないので、一人で考えず、チームを組んで考えていく、対応していくというのがいいんじゃないかなと思います。

ということで、今回はミュンヒハウゼン症候群の母への対応というテーマでお話ししました。

◾️本日の宿題

今回の宿題は、そういう人を疑ったことがあるよという人、そういう人と会ったことありますよという人は、体験談をコメント欄へ書いてもらうといいかなと思います。

色々な学びのシェアになるかなと思うので、感想だったり体験談を書いていただけるといいかなと思います。

もちろん診断はできないですからね。

こうなのかななど思ったことを観てください。


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