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機能不全家族とは? 精神科医目線で語ります

本日は「機能不全家族とは」というテーマで、機能不全家族についてざっくり解説してみます。


機能不全家族という言葉を聞いたことある人も多いと思います。
このチャンネルの視聴者の人には多いと思います。

精神疾患を患っている方、およびそれが難治化している方は、機能不全家族のもとで育った方が多いです。

結構大変で、この機能不全家族のもとで育つのは。
機能不全家族とは何かというと、家族が破綻しているということです。

家族機能が不全である、破綻してる、ただそのままなんですけど。

じゃあそもそも家族機能とは何なのかと言われそうですけど、それは後で説明します。そういう家だということです。

機能している家だと、例えば、昔でいうサザエさんやちびまる子ちゃんち、クレヨンしんちゃんちみたいな(最近だとクレヨンしんちゃんちかな)というのが機能を果たしている家族で、家族機能としてきちんと成立してるということです。

あれはファンタジーとかではなくて、いわゆる平凡な家なんです。

あるあるだねという形で和やかに見るのが、ああいうアニメなんですけど、機能不全の家族の元で育った子どもたちにとっては、あれは理想の家みたいな形で「あんな家、あるわけないじゃないか」と思ってる。

思っているというか、思い込んでしまうというか。

そこが何かグニャっとしてるんですよ。

子どもの頃にサンタさんを信じるような、大人になってから、サンタさんを「あれは子ども騙しの嘘だったな」とわかるような感覚とも少し似ているんですけど、グニャッとしてるんです。

自分の家のことを考えようとすると、ちゃんと考えることができなくて、あれが機能不全家族だったと認めにくいというか、正しい家族というのがどういうものかよくわからないというか。

そういうものなんですけど。
最近紹介しなかったので、角川さんで実は僕も本を書いてるんです。

『親を憎むのをやめる方法』という本を書いていて、これは機能不全家族で育った子どもたちが親を憎んでいたりする、毒親だと言って憎んだりするので、それに対して、でも毒親と憎んでいるだけだと治療が進まないこともあるので、どうやって葛藤を乗り越えるのかということをテーマにした本です。

これは売れてるような、売れてないような感じです。
内容がヘビーなんですかね。一応重版は決まっています。

2023年2月2日に初版です。もう1年半ぐらい経つのかなというイメージの本です。
当時、登録者数35万人って書いてますね。
1年で20万人ぐらい増えた感じなんでしょうね。

️◾️家族機能とは

家族機能とはそもそもどういうものかというと、まず保護機能というのがあるんです。家族機能とは何かという保護する作用。

家族は守り合うものなんです。

社会の犯罪などから守る、経済的に守る、家や住む場所を用意する、雨風をしのげる、食べる物を用意する、家事みんなで協力してやる、家によっては家業をみんなでやることで経済的に保護し合う、そういうものがあったりします。

あとは情緒的サポートです。

恋人関係、親子関係も含めて、感情的につながることで満たされる感じ。

それは会社や友達関係では得られないような、ただの知り合いでは得られないような、より近い情緒的なつながりを感じられる。

そういう機能があったりします。

あと、再生産機能と言ったりします。

こういう機能を持つと言うと炎上しそうですけど、一応教科書的には出産や育児を扱うということです。

次の世代のために動物的に子どもを産み育てるというのが家族機能にあります。

人間も動物の一種ですから、そういうこともしますよ、と。

あとは教育機能です。

子どもを教育するというものもあるし、親自身、パートナー同士、家族が一緒になって教育し合うというのもあります。

夫婦でお金の勉強をし合うというのも教育機能だったりするし。
色々なことを教え合いますから。

それは大人同士もそうだし、子どもから教わることもあるし、親が子どもに教えることもあります。

あとは社会的統制機能というのもありまして、躾をするということです。

犯罪を犯さないように家族が責任を担うというのも一応あります。

あまりこれも言うと「いやいや家族の責任ですか?」と言われそうですけど、教科書的にはそうなんですよ。

保護観察というものがありますよね?

犯罪をしたりして少年院に入るとき、そういうときに、保護観察処分にしましょうという形で、家族が責任を持って見ることで対応しましょうというのもあります、この証拠に。

家族とはこれらの機能を持っているものなんじゃないかと人間は考えているんです。これらの機能が十分に果たされてないと機能不全家族と言われたりします。

️◾️なぜ機能がうまく果たせないのか

なぜこの機能がうまく果たせないのかというと、例えばコミュニケーションがうまくいかないからということです。

コミュニケーション欠如の問題がある。

よくあるのは親に発達障害があるという問題があったり、親がうつでコミュニケーションがなかなか取れずネグレクト気味になっていた、そういうものがあります。

発達障害があると独特なコミュニケーションの仕方をしたり、興味関心の偏りがあったりするので、それゆえにコミュニケーションが成立しなかったり、不十分になったりするということがあったりします。

知的な問題、IQの問題も色々ありますけど、こういうもの。

あとは役割の混乱、父親が父親らしい役割、母親が母親らしい役割、親が親としての役割、社会的に妥当とされる役割を果たしていない場合、やはり破綻をしやすいです。

仕方がないこともあるんですよ。

例えばヤングケアラーということがあります。

親がやるべきことをできずに、子どもが親の代わりをしてしまうということもあったりするし。

例えば家族の中に病気の人がいたり、片方の親が病気だったり、シングルマザーでお母さんが病気だった場合、子どもがケアをしなければいけなくて、役割が逆転していたりすることがあります。

こういうことも珍しくはないです。

あとは教育。

虐待にも近いんですけど、過度な期待があって、子どもに過度な期待をしてしまう、子どもが親に対して過度の期待をしすぎてることもあるし。

あと、密着関係にあるとき、摂食障害でよくありますけど、分離せずに互いに独立した人間であるにも関わらず、なんだか二人で一つみたいな思い込みで、過度の密着関係になっている場合というのも問題があるな、と。

あとは逆です。

批判的だったり虐待のようになってしまっている場合、お前が悪いんだと家族機能や何かの不全感、メンバーが感じている不全感を一人の責任にして攻撃したり、場合によっては虐待のような形になってると言うことで機能不全を起こしていたりする、と。

他にも色々ありますけど、どうして起きるのかというと、家族の中に依存症の人がいる。

アルコール、ギャンブル、性依存、買い物、万引き、色々あります。

犯罪に巻き込まれる、犯罪を犯してしまう。

宗教二世の問題、宗教で破綻させられる。

そういう社会的な問題も加わって、機能不全家族が起きたりすることがあります。

本当に色々な要素が複雑に絡み合って起きるので、同じ機能不全家族はないんですけど、わかりやすく言うとこんな感じです。

個人個人は問題ないんだけれども、集まることで問題を起こすということもあるんです。

仲の悪い兄弟みたいなもので、お兄ちゃんもいいやつだし、弟もいいやつなんだけど、あの二人が揃うと禄なことがない、というか喧嘩になってしまうみたいな、組み合わせの病理みたいなこともあったりします。

集団の病理というものがありますけど、一人一人はいい人なんだけど、集まることで変なことを犯しているというのはよくあります。

それは家族だけではなくて、会社でもそうだし、国家でもそうですけど、病的な行動を取ることはあって、過度に依存し合ったり、中で対立しあったり、リーダーが不在だったり、そういう集団の病理みたいな結果、機能不全家族みたいなことになってしまうこともあります。

️◾️家族とは?

ここに少し書いてありますが、じゃあ家族とはどういうものなんだろう、何が正しい家族なんだろう、フランスの家族はいいらしいよ、考えたり感じたり、色々思うんですけど、歴史的に考えてみると家族の形態というのはかなり変わってきてるんです。

文字がないとき、もっと昔のことを言ったら、家族という形態よりもムラ社会みたいな形で、家族同士が緩やかにつながり、崩壊してたというかある部分、この家はこの家という形でまとまってなかった時期もあったんです。

それが名字がついて一族という形になって、一家という単位ではなく血族というか、一族単位で管理されるような時期があり、グループを組んでいた時があり、そして家父長制という形でお父さんを中心にグループが組まれていく形もあったり。

そして核家族の時代です。

僕が子どもの時は核家族の時代といって、両親と子どもが一つの単位だったと。

今はもっと多様化していて、核家族だけじゃなくてシングルの家もあるし、同性愛の家族、同性愛のパートナー同士が組んでいるパターンもあるし、色々な形の家族の形があって多様化してるということです。

一族の時代だったらなかなか大変だったので、保護機能を維持するためには、まとまらなければいけない、人数が必要だったけれども、最近は日本社会も平和になってますよね、千年前、二千年前と比べれば。

家事もやりやすくなっていますよね。

料理も作りやすくなっている訳です、外食や色々なことを含めると。

少ない人数単位でも家を維持出来るようになってきているのですが、でも色々変わってきているんです。

社会変化、技術革新によって家族の形というのは変わってきますし、昔は良かったんだよ、と言って、家父長制の時代には一族中心の家に行きたくないと思うんです。

そういうのはちょっと息苦しそうだなと思う人の方が多いと思うので、色々な形で変わっていくんですけど、変わっていってるということです。

変わる中では摩擦が起きたり、色々な問題が起きてるということです。

でも、大きい方が何か困ったことがあってもフォローしやすいし、小さい単位の方が自由が利きやすいんだけれども、何か問題があった時に破綻しやすいというか、そういうものです。

大きい組織の方が破綻しにくいかもしれないけれども、破綻した時には相当に大変なことになるとか。

小さいところは破綻しやすいけれども逃げやすいとか。

どのグループが最適かというのは、その時代その時によって変わってくるんでしょうけど、そういう特徴が色々あったりします。

ということで、今回は機能不全家族についてお話ししました。
客観的な視点で、家族とはどういうものなのか、どうして破綻するのかを語ってみました。

◾️本日の宿題

今回の宿題は、メタ認知的に見た時に自分の家はどうだったのか、機能不全家族だったけど、どこにトラブルの原因があったのかな、ということを考えてもらい、それをコメント欄で書いてもらうといい学びになるかなと思います。

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