精神科医YouTuberが遭遇する誹謗中傷
本日は「精神科医YouTuberが遭遇する誹謗中傷」というテーマでお話しします。
僕、最近自分への誹謗中傷と向き合うことが多くて、そういうコンテンツが続いてますけど、一緒に皆さんもこのテーマを考えてみると良い学びになるかなと思います。
というのは、この誹謗中傷の中身というものが、結局、病気を受容できない、治療の受容ができない、そういうことから来ているなと思うんです。
なので益田裕介が悪いというよりは、病気というもの、社会への怒り、そういうもののメタファーとして、その怒りの表現方法として誹謗中傷していることも多いなと僕は思っていて、この仕組みを一回考え直すことで、自分の弱さや今やるべきことが見えてくると思うので、耳に痛いかもしれないですけど誹謗中傷について考えてみたらどうかなと思います。
◾️精神科医としての専門性・人格性
僕がよく遭遇するものとしては、まず精神科医としての専門性です。
益田なんて医者としてもっと優秀な医師がいるだろう、お前わかってないだろう、もっとちゃんとした先生がいっぱいいるのにな、みたいなことが多いんです。
そういうコメントが多くて。
例えば僕、子どもチャンネルというのも一応やってるんです。
それは児童精神が普及してないので、僕ら大人を診ている精神科医もちょっと診ていこうよという観点から、そういう風に言ってもらったんですよ、ある児童の先生から。
なんだかんだ言って精神科医YouTuberとしては日本トップなので、その僕が児童チャンネルをやる意義はあると思うし、児童チャンネルを別にしないと、メインチャンネルで扱ってしまうと、子どもがいない人や独身の人たちからのトラウマを刺激するというか、そういうことが起きたりして、コメント欄が荒れたりしたんです。
だから分けたんですよ、色々な意味で。
そういう背景があるんだけれども、やはり、お前、子どもの精神科医じゃない、何なんだ、お前は研究してない、何なんだ、とよく言われます。
医学博士も取ってないじゃないか、と色々突っ込まれるんですよ。
お前東大受かったって言っても理Ⅰじゃないか、理Ⅲじゃねーだろ、理Ⅲの医者の方がもっと賢いんだ、防衛医大の偏差値なんか低いだろ、と言われます。
言い出すとキリがないんですけど、こちらの知識量の問題、IQ的な問題を突っ込まれることも結構あります。
あとあるのが人格ですね。
益田は偉そうだ、人格に問題がある、自己愛的過ぎる、あとは感情がブレブレだ、弱さを見せるな、ネガティブ過ぎる、楽観的過ぎる、世の中のことをわかってない、色々そういう人格を否定するようなものもあります。
家族を大事にしてない、臨床を大事にしていないとか。
ある種のパーソナリティ・ファンクションの弱さを突っつくような、僕の中の人格機能、他者共感性や自分自身のこと、自己理解の弱さを突っつくようなところもあるなと思います。
色々な人が見るので、それはしっかり見てくれているので、嫌な気持ちになるし、腹立つこともありますけど、でもまあその通りだなと思うことは結構あります。
僕も万能な人間じゃないので。
サービストークというわけじゃないけど、言いますよ、自分が日本で一番再生回数を取ってるんだ、一番よく知ってるんだ、まあ言いますね。
それは自分を奮い立たせる意味でもあるし、本当にそうだから。
せっかく今日本で一番撮ってるんで、日本一だと言った方が、自分の強みをアピールするということは悪くないと思うんですけど、言った方が良いんですよね。
言っておいた方が良いのだけれども、でもそうは言っても万能じゃないんですよ。
この背景には科学や医療というものは万能なんじゃないか、という無意識のこういうものがあるのかなと思います。
僕がトップであることが許せないんですよ。
こんなやつが、この程度のやつがトップでいるということが嫌なんですね。
それはなぜかというと、本来科学というのは万能だからだとか。
本来、医師というのは万能だからだという無意識の過度な期待というか、無意識にそういう風に思ってしまってるところがあるのかなと思います。
僕も何かありますよ。
やはりお金持ちになる人、日本の首相になるべき人はこれだけ人格者じゃないといけない、これだけ能力が高くなければいけない、これだけ知識がなければいけない、こういうことについても考えたことがある人じゃないといけないと思いますけど、やはりひとりの人間ができることには限りがあるので、一つの組織ができることにも限りはあるわけで、それも過度な期待なんですけどね。
そういうものなんだろうなと思ったりもしますね。
だからこういうのはあるんでしょう。
それは同時に視聴者さんや患者さん、患者さんの家族だけじゃなくて、医療従事者、同業者からもあるんですよ、お前ごときが何なんだ、みたいな。
でも、そのお前ごときということの背景には、やはり科学は万能なんだ、医師は万能なんだ、自分たちは万能なんだ、自分たちはできるけど、お前はできてないからダメなんだ、そういうものがあるし、もしくは自分もダメなんだけど、お前もダメだから出てくんなみたいな、科学や医師は万能だという理想を否定される感じがするのがやはりあるんだろうなと僕は思います。
科学が万能なんだ、医療は万能なんじゃないか、医師は万能なんじゃないかということの、この無意識の期待というのが結構大きいんじゃないかなと僕は思うんです。
実際は大したことやってないと自分がこうこういうことをやってて思いますけど、本当にこういい加減と言えばいい加減な世界ですよね。
そもそも人間ができることなんか大したことないんです。
僕らが縄文時代の人たちを見て、彼らがいい加減な衛生観念で手を洗って、いい加減な衛生観念で料理をしたりとかしてる、ボロいものを、ボロい家に住んでいるというか、ボロいという言い方はちょっと失礼かもしれないけど、でも現代人から見ればそうじゃないですか。
だけど未来人から見たら、僕らが今やっている医療、科学、そういうものの扱い方なんて、本当にしょぼいものなんですよね、おそらく。
今の時点でも万能じゃないんだけれども、でもこの時代に生きているものとしては、それが万能なんだという風に思いたいという欲望はあります。
その表れとして、民間療法や当事者カウンセリング、心理士や医師じゃない人たちのカウンセリングの方がいいんだと、こっちだったら正解なんだという風に思っている人たちもたくさんいるなと思います。
特に民間療法は色々な問題になってます。
医学で治らない、病院の治療じゃ治らないから、高額の民間療法に頼ることがあったりしますけど。
今やってる保険診療が万能じゃないんだったら、他のところに万能なものがあるんじゃないかという期待ですよね。
そういうものも何か見え透けてありますけど、そんなことはないわけで。
より確からしい、よりベターなのがやはり保険診療だったり、よりベターなものが国が決めているものだったりするので、もちろん不備があることもありますが、よりベターですから、よりベター、より確からしいのが科学なんだけど、この前提がちょっとわからないし、教わったことがない人たちもいるのかなと思います。️
◾️診療内容への批判
あと益田の診療内容や動画内容そのものの批判もあったりします。
もっと配慮しろ、倫理的に、著作権の問題、色々あったりします。
僕らは色々な全体の中で、制作者側としては色々なコンテンツ、色々なクリエイターの中で戦ってよりベターなものを作ろうとはしてるんです。
ただ視聴回数を稼ぐ、それはお金儲けのためだけではないんですけど、そのためにはある程度のグレーに踏み込むところもやはりあるので、視聴者というのはこのコンテンツしか見てないので、益田のこの動画のここが嫌だとかばかりなんだけれども、そこを直していったら他の勝負には負けてしまうし、色々全体から僕らは言い訳することなんだけど、視聴者の人はそういうことはないなとは良くないのは仕方ないんですけど、そういうのはあるかなと思ったりはします。
だから何か色々ありますね。
よくあるのは、動画を作るのは金稼ぎのためだろうという話がありますけど、もちろんお金を稼ぐことによってチームメンバーを増やすことができて、結果的にチームメンバーを増やすことによって良い医療情報とかコンテンツを皆さんに提供できるので、お金を稼ぐことも考えてるんです。
それは私腹を肥やすというわけじゃなくて、この活動をし続けるためにお金を稼がなければいけないので。
でもこれがよくわからない人たちがいます。
実際よくわからないんだろうなと思います。
あとは臨床とYouTubeどっちが大事なんだ、と言われますけど、目の前の患者さんと視聴者のどっちが大事なんだと言うかもしれないですけど、どっちも大事だということです。
結局こっちを取ったらこっちができないというものでもないので、違う時間にやったりもしますし、もちろん一人の人間がやり過ぎなんじゃないか、色々あるかもしれないですけど、それはどうなんでしょうね。
そうと言えばそうだし、じゃあ他の人に行けばみたいなところもあるし、他の先生たちだって色々なことをやっていたりするので、結局貪欲さというのがあるんです、治療において。
自分たちを助けてほしいというのがあるかもしれない。
家族だったらどうするんですか、とよく言われるけど、いや家族だったら家族を優先させるよ、家族を犠牲にしてまでYouTubeや診療をするつもりは僕もないわけです。
だけどそれと患者さんは違うわけで。
患者さんはどこまでいっても、僕にとっては今抱えている患者さんで4~500人くらいいるんですけど、1/400、1/500なんです。
その人がたとえ重症であったとしても、1/400、1/500を超えることはないんです。
視聴者の人もしかりですね。
何万人かのうちの1人なんですよ。
それを超えることはないし、それを超えるということはある意味えこひいきだったりするので、フェアじゃないと僕は思うので、そういうことはありません。
うちの子どもたちもそうです。
言っちゃいましたけど、子どもたちも兄弟姉妹の優劣を差をつけるつもりは全くないんです。
どっちがかわいいとかもないですね。
もしたとえ無意識のところにあったとしても、それは絶対そうあってはいけないと思うんだと僕は思っているので、そういうことです。
それはそれ、これはこれ、という感じですね。
◾️誤解、理解
困難、心理的抵抗あとはよく思うのは、動画の一部だけを見て誤解する、内容の理解困難さから来る、あと心理的抵抗から来る怒りみたいなものも多いなと思います。
難しい話が多くて困りますみたいなコメントもいっぱいくるんです。
ただ難しいんですよ、そもそも。
精神医学は難しいので。
色々な前提条件、知識としての前提条件、論理展開、目に見えないものを扱うので、抽象的な議論が続くので、IQ的な問題で引っかかったり、聞くのに慣れる必要もあったりします。
あとは感情に支配されてしまって動画を間違った見方をしてしまう、間違ったメッセージとして受け取ってしまう人たちもいるだろうし、感情によって世界の見え方が変わってしまう人たちがいるので、パーソナリティ・ファンクションの問題としては起きることもあるし。
あとは精神医学が言っていることというのは常識と反することだったりもするので、心は脳であるとか、そういうことは常識とはちょっと反することも多いんですよ、科学のことというのは。
それでやはり抵抗を感じたり、理解しにくかったり。
あと病気を仕方がない、僕は治療のゴールを、仕方がない、生まれてきて良かったと思える瞬間を増やすことだ、みたいな言い方をしてるんですけど、結局、受容しろと言ってるんです。
受容した上で生産的な行動に移ろう、合理的な行動をしよう、と言ってるんだけど、この受容の過程です。
受容というのはすぐできるものではないので、仕方がないとすぐ思えませんと言ったら、それは当たり前で、怒ったり、否認したり、取引をしたり、色々なことがあるわけです。
その過程としての心理的抵抗や否定というのもコメントに出てくるのがあるのかなと思います。
死の受容、キューブラー=ロスの死の受容と一緒です。
あなたはガンです、余命何ヶ月ですと宣告されたときに、すぐ納得できないんです。
悲しんだり、怒りが湧いたり、神様と取り引きをしたり、否認したり、忘れてしまおうと目に入れないようにしたり、そういう過程を経て納得に至るということで、それをすっ飛ばして納得することはできないんです。
お前はできるのかと言われたら僕もできないです。
僕だって同じように病気を宣告されたり、おそらく家族の死だったり、自分自身の死、余命を宣告されたときに、この受容の4過程、こういう受容の過程を経て納得していくしかないんだと思います。
怒ったり、悲しんだり、否認したくなったり、それは僕でもそのうち起きます。
皆さんで起きていることが僕の身にもいつか起きます。
そして納得に至る前に先に亡くなることもあると思います。
でも、そういうものなんですよ。
こういうこととして、そういう過程の中に、納得の前段階の人が誹謗中傷の行動をとるということもあるんだろうなという風に僕は理解しているという感じです。
️◾️メタファー
なんだかんだ言って、僕が登録者にしても再生回数にしても、日本で一番の精神科医YouTuberなんです。
だからある意味メタファー、その象徴でもあるんです。
なんだかんだ言って、そんな統計もアンケートも取ってないですけど、YouTubeの影響力など色々ことを考えると、精神科医として一番有名なのは益田裕介だと言っても過言じゃないと思うんです、今ね。
それが一番優秀かどうかとかというのとは別で、一番有名であるということは、やはり精神科医としてのメタファーでもあるし、アイコンだったりするんです。
メタファーというのは何かというと、象徴みたいなものです。
象徴だったり、自分たちの無意識や怒りをぶつける相手だったりもするし。
そしてYouTubeという特性上、SNSという特性上、ダイレクトポイントなんです。
すぐに送ることができる、匿名であれば心理的抵抗なく、匿名だったら嫌なこと言えるんですよ、簡単に。
気軽にその場で電話番号を押すことなくペッペッペッペッペッ、ピッと押せるわけです。
気軽にダイレクトに相手をぶつけることができる。
このダイレクトポイントである。
そして毎日動画を上げてるということで、何となくパラソーシャルの関係、会ったことがないけれども会ったことがあるような感覚の人でもあるよね。
こういう存在だということなんです。
気軽に怒りとかをぶつけやすいのかなという風に僕は理解しています。
僕自身、不完全な人間だし、全ての精神医学を網羅していることもなければ、医学博士も持ってないし、論文も書いたことがないし。
人格者かどうかと言ったらそんなに人格者でもないですよ、そりゃぁ。
人格者じゃない。
それは過度な期待ってやつです。
そんな奴が日本一の精神科医YouTuberを名乗るなという怒りはあるんだろうなと思いますけど、それが事実であるということが許せないんだろうなとは思います。
SNS時代において、そういうこともよくわかりますけど、一方で、それを表明してほしい、もっと影響力を持ってほしい、もっと益田の活動を続けていくことで、世の中に精神医学を知ってもらいたい、メンタルヘルスのことを知ってもらいたいという人たちも、誹謗中傷よりもっと多くいるわけです。
もっと多くいるというのも許せないんでしょうね。
何かわかります。
◾️弱さを見せていくことは正しいのか
このSNS時代において、こういう弱さを見せていくことは正しいのかという話を最後にしなければいけないなと思います。
隠せない時代なんです。
昔は治療者というのは鏡のようであるべきだと言って、治療者側に主観的なメッセージがあってはならないと言われてましたけれども、やはり過去のものを見ていても、どう考えたって主観的です。
精神分析も主観的なものがあるし、価値観があるし、認知行動療法だって道具主義的な価値観が内包がされているし、様々な先生たちがやっているものには、その根底には価値観というものがあるのは明らかなわけで。
診察室の中では傾聴に努め、相手を主役にするんですけど、こういうYouTubeという場所では、この僕しか出ていないわけで、じゃあ僕が主役になってしまうのは仕方がないことでもあるし。
でもそういう中でこの弱さを見せていくということは正しいんでしょうか?
ということです。
これはまだよくわかりません。
ただ児玉さんと話した時、安楽死の話を否定する本を書かれた児玉さんとディスカッションしたり喋った時、他の人たち、他のクリエイターの人と喋っていく中で、医師が弱さを見せていくということの意味はやはりあるんじゃないかということを言っておられて、そうなんだろうなと僕は思ってるんです。
今後の後輩たちのことも考えて、僕は弱さを見せていくこと、自分が万能じゃないということを伝えていくということは、科学の万能、医師の万能を否定することにもなるし、それを地に落とすというか、明らかにしてしまうことでもあるんだけれども、これが結果的に民間療法やフェイクニュースを防ぐことにもなるし、良いことなんじゃないかなという風に思ってるんです。
この弱さ、それを使いながらもなお心について考えていくこと、僕にも弱さがあるし、僕のYouTubeチームメンバーみんなにも弱さがあって、でもその弱さの中にあっても、患者さんたちに対して、プラスなものを提供したいという風に足掻いているということの意味こそが重要なんじゃないかなと僕は思ってるんですよ。
だからこういうYouTube活動を毎日やってるということなんです。
毎日やるということが、こういう弱さも見せられるし、やはり病気で苦しんでいる人たちは、毎日この情報を見たいというか、毎日触れたいと思ってるんじゃないかなと思うんです。
過去の動画を見たいんではなくて、週に1本の動画ではなくて、やはり病気の時の1日が長いんですよね。
すごく長いんですよ、1日1日が。
だからせめて8時からのこの10分、20分、30分の間だけは新しい情報を手に入れたり、その間だけはコメント欄でやりとりできたらいいんじゃないかなと思ってるんです。
毎日やることは苦しいし、アレだなと思うんだけれども、もう一回、病気の人、急性期の人、休職中の人、入院に準ずるような人達のことを考えると、やはり何でもいいから毎日やっぱり上げるということが大事なのかなといつも思ったりしてます。
ということで、今回は、精神科医YouTuberが遭遇する誹謗中傷、というテーマでお話しました。
️◾️本日の宿題
今回の宿題は、科学万能、医師万能に関する感想です。
この賛否について、皆さんがどう思っているのか、あとどういう風に気付いたのか、そして昔万能だと思っていたこと、そして万能だと思わなくなった経緯などをコメント欄に書いていただくと良い学びになるんではないかなと思います。
▼オンライン自助会/家族会の入会方法はこちらhttps://www.notion.so/db1a847cd9da46759f3ee14c00d80995
▼iPhone(Safari)からのメンバーシップ登録方法https://youtu.be/_49prDk9fQw?si=BMjBO1CyXlhq7BaI
▼iPhone(Google Chrome)からのメンバーシップ登録方法https://youtu.be/38zE3uwcPgg?si=XE2GJ8hWI-ATjjGe
▼オンライン自助会/家族会の公式LINE登録はコチラから
https://lin.ee/XegaAAT
ID:@321iwhpp
よくわからないこと、聞きたいことなどが
あれば、こちらにお問合せください。
運営スタッフより、返信いたします。
onlineselfhelpsociety@gmail.com