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「自分の幸せ」 2年・公文翔

「ア式で関東リーグに出たからといってプロになるわけじゃなければ将来的に何の役にも立たないぞ」

先日、同期とご飯を食べているときに言われた一言が頭に残っている。将来のことを見据え、考え行動している同期の数人がそこにはいた。

彼らはすごい。自分は将来のことなんて考えているようでそんなに考えていない。心のどこかで「なるようになるさ」と思ってしまっている。体育会に所属しているし、ピッチ外の活動も少しはやっているし、なんとなく良いところに就職してまあまあの人生を送れるんじゃないかと思っている。そんな自分が情けなく感じた。

考えてみればこれまでの人生ずっとなんとなくで生きてきた。小学生の時は、親に勧められて正直好きでもなかったピアノをずっとやり、「中学か高校でどうせ受験するんだから早い方が良いんじゃない?」と親に言われ中学受験をした。通うことになった中学の決め手は家から近かったから。中学から本格的にやり始めたサッカーで、それまでFWだったのにGKになったのも、その中学にGKが少なくて、GKなら試合に出られるかもしれないと思ったから。そして、大学は早稲田、明治、青山学院、立教を受験したが、「早稲田に行ければそのあと結構安泰だろう。まあ最悪早稲田落ちても、MARCHは受かりたいな」なんて気持ちで決めた。

これまでの人生に全く後悔はしていない。ピアノは好きではなかったが、ピアノをやったことで音楽には少し興味を持った。中学高校は周りの人にも恵まれ楽しく過ごすことができた。GKになって、本当に多くの試合に出させてもらった。そして、早稲田に合格して、高校時代の自分からしたら雲の上の存在であった人達と今サッカーを一緒にやれている。

ただ、そこに必然性はなかった。たまたま、直感が良い方向に転ぶという偶然が重なっただけ。これからの人生はそんなに甘くない。

考えろ。自分は将来何がやりたいんだ?理想の自分とは?

答えは出なかった。そりゃそうだ。簡単に出るわけがない。

ただ少しだけ考え方を変えてみた。自分はどんな時に幸せを得られるだろう?

答えは出た。「人から感謝をされた時、自分の行動で人が喜んでくれる時、誰かの役に立っていると感じられた時、そしてサッカーをしている時」

しかし、この文章を書いている時に、同期の松浦の部員ブログを読んでしまった。詳しくは松浦の文章を読んでいただきたいですが、その中に以下のような一説があった。

『「他人の人生を生きない」最近自分が読んだ本の中に出てきた一言です。他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、「他者の期待を満たすための人生」になってしまいます。この言葉を見た瞬間に、他者からの承認を求め、期待を満たそうとし、本当に自分を捨てて他人の人生を生きていた、軸を持っていなかった去年のことを思い出しました。』

え?もしかして俺も他者からの承認を求めて、期待を満たそうとして、本当の自分を捨てているのかな?

いや、違う。他者に喜んでもらい、感謝されることが自分にとって喜びなのだ。本当の自分がそういう性格なのだ。そう考えると、将来自分がやる可能性のある仕事は無限にあるのかもしれない。他の同期のように、自分がやりたい仕事が明確にあるわけでもないし、そこに向かうプロセスを踏んでいるわけではないが、情けなくなる必要はない。なぜか?

もう一度冒頭の問いかけに戻ってみる。

「ア式で関東リーグに出たからといってプロになるわけじゃなければ将来的に何の役にも立たないぞ」

確かにそうだ。でも、自分は今、ア式蹴球部で関東リーグに出るための努力をしている。間違いなく自分が生きてきた20年の間で一番の努力をしている。そして幸いにも、自分の活躍を期待し、応援してくれている他者がいる。家族、親戚、友人、同期、先輩、後輩。その他者に喜んでもらうために自分は今大好きなサッカーをしている。本当の自分がやりたいように生きている。

昨年末、高校サッカー部の同期と忘年会をしていた時にこんな会話が聞こえた。
「なんだかんだ公文すげえよな」
「ね、マジで試合出てほしくね」

親にもたまに言われる。
「この間試合出てたじゃん、頑張ってるな」

初めてこの前Aチームに上がった時に同期が言ってくれた。
「Aに上がったじゃん公文!やっとこれまでの頑張りが認められたな!」

何気なく言われたこれらの言葉が何より自分にとって嬉しい。

だから今の第一優先はサッカーだ。この恵まれた環境でサッカーを全力でやらないことこそ、今現在の本当の自分を捨ててしまうことになる。

関東リーグに出場し、チームの勝利に貢献することは自分の幸せを得るために絶対に成し遂げたい目標だ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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公文 翔(くもん しょう)
学年:2年
学部:スポーツ科学部
経歴:東京農業大学第一高校中等部→東京農業学校第一高校

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