「他人の人生を生きない」 2年・松浦一貴
「他人の人生を生きない」
最近自分が読んだ本の中に出てきた一言です。他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、「他者の期待を満たすための人生」になってしまいます。この言葉を見た瞬間に、他者からの承認を求め、期待を満たそうとし、本当の自分を捨てて他人の人生を生きていた、軸を持っていなかった去年のことを思い出しました。
ア式蹴球部の1つの大きな強みは、選手1人1人が軸を持ち、ピッチ内外で主体的に取り組むことで魅力的な選手が多いところだと思います。サッカーだけできればいいわけじゃない。人として魅力的な人になりたい。自分がア式蹴球部に入った要因の1つです。しかし、私は強い個性の中に完全に埋没してしまいました。周囲の仲間が活躍し成長していく姿を見て嫉妬心が徐々に膨れあがっていきました。自分にベクトルを向けることなく、組織や環境などの自分にはどうすることもできないものにベクトルを向け、自分を守っていました。そうでもしないと自分が壊れてしまうと思ったから。
「試合に出て活躍したい」
誰しもが持っている感情です。しかし、自分はなかなか試合に出ることができませんでした。完全に力不足だとわかっていました。しかし、私は自分のプレーを追求し長所を磨くのではなく、周囲の人達が気にいるようなプレーを選択するようになりました。
「あいつより~」
口癖のように使っていました。
常に他者に軸を置いて話をしていました。自分にとってサッカーとは、
「いいプレーができたときに喜びを感じるもの」
「思い通りのプレーが出来ると嬉しいもの」
小学生時代に公園で日が暮れるまで夢中でボールを蹴っていた事こそが自分にとってはサッカー。しかし、いつからか
「他者に褒めてもらったときに喜びを感じるもの」
になっていました。
違和感はありました。
本当にサッカーを楽しめているのかな?と。
でも、慣れない寮生活、環境、学校や練習などで手一杯だったため、熟考する余裕はありませんでした。また、少し考えても他者に軸を置いていた私には答えが自ずと他者にベクトルを向けることになってしまいました。
厳しい言葉も同期や先輩からかけられました。
軸を持っている人ならば、言葉を一度自分の中に落とし込んで考えることができます。しかし、他者に軸を置いている私はその言葉を全て鵜呑みにしました。他者の一言に大きく振り回されることも多かったです。
強い個性の中に埋没し自信を完全になくしてしまった私は、とにかく目立たない生活を送ろうと考えるようになりました。自分の弱さを指摘されることが怖かったから。知らない方が楽だったから。殻に閉じこもって自分が傷つかないように。
怖かったです、どんな時も。
学校にいるときも、家にいるときも、グラウンドにいるときも。
自分のことなんてこれっぽっちも考えず、他者からの目ばかりを気にしていました。
「あいつは俺のことどう思っているのだろう」
「周りが笑っているし、俺も笑っておこう」
この頃になると、自分がなぜア式蹴球部に所属しているのか存在意義が見出せなくなっていました。自分はチームのお荷物なのではないか、いてもいなくても変わらないのではないのか。この時期は、毎日のように辞めることを考えていました。
いつ監督や同期に連絡しようかな、どんな辞め方がベストかな
サッカーのことなんて頭の片隅にもありません。自分を守る事に精一杯で周りが見えなくなっていました。気づけば体重が7kg減り、笑顔も減りました。仲間には白髪が増えた、髪の毛が薄くなったともいわれました。
チームは3年ぶり27回目のリーグ優勝
しかし、自分がチームに貢献できたことは1つもありませんでした。
そして、シーズンが終わり長期OFFになった時、自分と向き合う時間を作りました。この時期になって時間をかけてゆっくりと自分に対してベクトルを向けることができたと思います。そして、自分にとって「サッカー」とは何なのかについて考えた時、自分が楽しんでいたのはサッカーではない事に気づきました。
サッカーを通して承認欲求を満たす事。
サッカーは承認欲求を満たすためのツール。
本質を完全に見失っていました。同時に今までの違和感が少し解消された気がしました。なぜ、本質を見失ったのか?それは軸を持っていなかったからです。だから、まずは自分の中で小さな軸を持つ事にしました。
やりたいことをやる
他人の目線なんて気にしない
他者への期待を満たす生活はやめました。気に入られるようなプレーに重点を置くのではなく、自分の長所を最大限魅せる事を意識しました。なぜなら、自分がやりたいプレーをしている時が1番活き活きしているし、選手として魅力的に感じると思うからです。(それを決めるのは他者ですが)
不安と迷いはありました。また去年のような苦しい惨めな思いをするのではないか、結局何も変わらないのではないか、と。それと同時に強い覚悟もありました。ここで変わらないと本当に後悔する。変わるなら今しかないと思いました。
チームに貢献できたかどうかは自分が決めることではなくて、他人が決めること。私にできるのは自分の魅力を最大限磨き続けることです。チームに貢献できたかどうかは引退した後に振り返ればいい。今は何事にもトップパフォーマンスを出し続けることに集中するだけです。
「日々を生きるとは失うものを数えていくことではなくてそれ以上に大切なものを増やしていくこと」
お気に入りのサッカー漫画「Days」に出てくるセリフです。
他人の人生を生きていた私は自分を守ることに精一杯で、支えてくれる仲間、友達、両親のことを考えようともしませんでした。こんなにも支えてもらっているのに。
本当にごめんなさい。そして、ありがとう。
他人の人生を生きていた私にとってここからがやっとスタートライン。
苦しんだ大学1年生の経験が有意義なものになるかどうかはこれからの自分の取り組み次第。
自分が考えたことを思いのままに綴ったため、文章構成が無茶苦茶な部分もあり、長く拙い文章になってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
松浦 一貴(まつうら かずき)
学年:2年
学部:スポーツ科学部
経歴:エストレラ姫路U-15(姫路市立安室中学校)→エストレラ姫路U-18(兵庫県立姫路東高校)
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