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「もう分からないとは言わせない」 3年・楠優輔

本日、部員ブログを担当いたします、創造理工学部経営システム工学科3年の楠優輔と申します。

ブログを書くにあたって、題材は大変悩みました。
自分の大切にしている考え方や、多くの出会いや学びがあった今年度の早慶戦運営など、書こうと思ったことは多くありましたが、今回は別のことを書きます。最後までお付き合い頂けると嬉しいです。



“なぜア式でサッカーやってるの?”

ア式蹴球部に入部して、この問いを何度聞いたことでしょうか。特に監督が外池さんに変わってから、チームにおける自らの存在意義を問われる機会が増えました。その問いは、学年ミーティングだけでなく何気ない会話でも私に向けられ、その回数は周りの人よりも多かったと思います。

なぜ問われることが多いのでしょうか。

「授業で練習にいないことが多いと思われている」
「サッカー以外の仕事を多くやっている」
「試合に出ていない」
「感情をあまり表に出さない」

理由としてはこんなところだと思います。

実際のところ、練習にはいますし、サッカー以外の仕事をしていたのは早慶戦の前だけで、その頃もサッカーに全力で取り組んでいました。しかし、周りの人にはサッカーに対する情熱が感じられず、いわゆる“向上心がない”ように見えているのではないかと思います。

ただ、その問いに対する答えは明確にあります。

1つ目は、純粋に「上手くなりたいから」です。
高校時代、最後の大会であった選手権は、試合終了間際に同点に追いつかれ、PK戦で私が外したことで引退となりました。
達成感など微塵もなく後悔しかなかった私に、サッカーを辞めるという選択肢はありませんでした。

その後、早稲田大学への進学が決まり、どこでサッカーを続けるかを考えました。
選択肢は、ア式、サークルの2つ。

それぞれに所属する高校の先輩の話を聞いて考えるうちに、中途半端なことが嫌いな私はア式に挑戦しようと考えるようになりましたが、大学生活を決める大事な選択に決心できずにいました。そんな時、先輩の誘いによってサークルの練習に一度だけ参加することになりました。

しかし練習参加後、
「想像していたものと何か違う」
「本当に上手くなるためにはこの環境でいいのか」
そういった違和感や不安を強く感じました。
やはりサッカーを教えてくれるコーチがいて、周りの選手が格段に上手い中で練習することが成長に一番つながると確信し、ア式に挑戦しようと決心しました


2つ目は、「自分も見ている人も感動する試合をしたいから」です。
私は頑張っている人を見ることが好きです。それは、何かに全力で打ち込んでいる姿を見ると、自分も頑張ろうと思えるからであり、スポーツの試合においては、それが一番分かりやすいと思っています。特に実力が拮抗し、どちらが勝つか分からない試合は選手の頑張りが結果に表れやすく、見ていて一番感動します。
また、これまでサッカーを続けてきて、そのような感動する試合を私自身も経験したことがあり、その時の気分の高まりや試合に勝った時の喜び、観客の盛り上がりは、何ものにも代え難いものがあります。これから先も、出来るだけそのような試合をしたい。そんな思いを持っています。

しかし、それだけでは別にア式でなくてもいいはずです。サークルや社会人にも公式戦はあり、そこでは感動する試合が行われています。ただ、多くの犠牲を払って練習してきたチームの試合と、そうでないチームの試合は、同じ感動する試合でも異なる意味を持つのではないかと思います。もちろん、その違いに優劣はなく、個人的にどちらを好むかの問題です。
私にとっては、試合に全てをかけて取り組むほうが、自分が熱くなれて周りの人を感動させることができると思ったため、ア式を選びました。誤解が生じないように改めて言いますが、決してサークルを否定しているわけではありません。


そんな思いを持ってア式でサッカーをしている私ですが、現状は厳しいものです。今シーズン所属した社会人リーグでは、リーグ戦18試合の中で、出場は途中出場3試合を含む6試合のみ。“評価されていない”と感じることの多い1年でした。
ただ、1年中悪いプレーであったわけではなく、調子が良くて結果を残したと思える時期もありました。しかし、そんな時でさえもチーム分けが掲示されるボードの“楠”の位置は動かないまま。

「なんで評価されないんだろう」
「いや、そもそも自分が思っている良いプレーの基準が違うのかも」

色々なことを考え、日々悩みながらプレーすることも多くなりました。
そして、ある時、1つの仮説にたどり着きました。

“使えないやつっていう強烈なイメージが私についているのではないか”

結果を残しても、
“あいつは使えない”
“○○のほうができるでしょ”

といった言葉で片付けられて評価は上がらず、その積み重ねがまた新たなイメージを作る。
そして上に行くチャンスは減っていく。

そう考えると、合理的になるものが多くありました。
もちろん、自分の実力不足もあり、都合よく考えて自分を正当化していたのかもしれませんが、無意識に形作られたイメージも無視できないほど大きいものでした。

しかし、このような状況はア式に限らず社会全般でも起こりうるものであり、残念ながら無くなるものではないので、文句を言っても仕方ありません。むしろそのようなイメージを作ってしまった自分に責任があります。過去の積み重ねが今を作っているように、これまでの私の行動の結果が現在の状況を作り出してきました。
では、どうすればイメージを変えることが出来るのか。

以前読んだ「7つの習慣」という本にこんな言葉が書いてありました。

「人は自分のパラダイムを通して世界を見ている」

人間はパラダイム(無意識に抱いてしまっている考え方や感じ方の枠組み)に基づいて生きています。すなわち、これまで自分が見てきたものや感じたものを基に「自分なりの物差し」を作り、物事を判断しているということです。
このような人間的な特性を踏まえると、それぞれの人がそれぞれの物差しを持っているなかで、他人の感じ方に影響を与えるには、物事のプロセスより分かりやすい結果が大事であると言えます。特に悪いイメージがついてしまっている人は、与えられる数少ないチャンスで、今までのイメージを覆すほどの大きな結果を出し続ける必要があります。

つまり、私にとっては良い仕掛けや動き出し、クロスなどでは足りないということです。少ないチャンスの中で目に見える結果である点を取り続けることが、自分のイメージを変える一番の近道になります。
しかし、そのためには相当なエネルギーを持ってサッカーに打ち込み、果てしない努力と自分の未来の可能性を信じ続けることが必要です。これまでと同様の取り組みでは何も状況が変わらないでしょう。だからこそ、自分にとって何が足りなくて、何をするべきなのかを思考し続け、確実に行動に移さなければなりません。

気付けば自分のことを気にかけて支えてくれた尊敬する先輩たちも卒業し、サッカーをするのも残り1年となりました。

高校時代のように後悔しないように。
もっと上手くなって感動する試合をできるように。
私を応援してくれる人のために。
私のことを信頼してくれている人のために。

きっと道のりは険しく、逃げ出したくなることもあると思うけれど、私ならできるはず。
まずは自分を信じるところから。

ラスト1年、“覚悟”を持って取り組みます。

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楠 優輔(くすのき ゆうすけ)
学年:3年
学部:創造理工学部
経歴:本郷中学校→本郷高校


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