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「さあ来い、ラスト。」 3年・小山修世

正直、僕はかっこいい自分のことが大好きでした。

こんな書き出し、最高に気持ち悪いと思われても仕方がないと思っています。
でもこれは紛れもない事実、ア式へ来るまでの僕です。
異常なまでにナルシスト。
でも安心してください、現在は「自分のことは適度に好き。」というレベルにまで落ち着いています。
せっかく読み始めて下さったのにスタートから身震いした皆さん、ここはなんとか持ち堪えてください。

でも実際、家族や仲の良い友達もこんな風に僕を評価しているのではないでしょうか。
「本当にナルシスト、どれだけ自分のこと好きなの?」といった具合に。
そして僕自身もそれを自覚しています。
なんせ僕は自分に甘い。かっこよかった自分を絶対に見逃さない。そしてとことん褒める。
「おお、よくできたな。かっこよかったぞ!」って。
お恥ずかしい話ですが、本当にこんな言葉を自分に言い聞かせたりしているのです。

ちなみにここでいう「かっこいい」とは、ビジュアル的な部分ではありません。
さすがにそこは21年の間に諦めがつきました。
この言葉が指すのは、他人より僕が何かで優れている状態。
つまり、僕は他者を勝手に自分と比較し、その優劣からくる自己満足でしか自分の価値を見出せないタイプの人間だったのです。
人間は得意不得意があるから比べることなど愚かなことだと、心のどこかで分かっていたのに。
一語で表すと“思い上がり”。我ながら残念な奴だと思います。

では何故、こんなにもかっこよさにこだわる自分大好き人間になってしまったのか。

そこには、自分は家族の期待に応えなければならないと強く信じ込んでいることが大きく関係していると感じています。そしてこれは今も変わらず信じています。

小学生の頃から高い学費を払って僕を早稲田の系属校に通わせてくれた家族に、誇ってもらえるような人間になりたい、成果を出したい。
恐らくそんなことを期待されているわけではないけれど、そこを目指して努力しているうちに自分をより良く見せたいという欲が爆発し、「他人と比較したかっこいい」にこだわっていくようになりました。
そして、それを自分で褒めて可愛がってやることの繰り返しで僕は自身が誇ってもらえているという安心感を得ようとしていたのです。

「おめでとう僕、皆にはできないこんなすごいことができたんだ、君は家族の期待に応えられている。」って。

これが、僕がとにかくかっこよさにこだわった自分大好き人間になっていった理由です。

そういえばア式に憧れたきっかけも元々は、その感覚が強かったと思います。

自分がこのまま順調に進学し、サッカーを続けていけばいずれこの組織が選択肢の1つになることを知った中学生時代。

早稲田大学公認のサッカー部という看板を持つ伝統あるア式蹴球部に、厳しい入部試験を突破し所属することができればかっこいいのではないか。
そこで長年通った早稲田を代表してエンブレムを付けて闘うことができたなら、考えられる中で1番かっこいい自分になれるんじゃないかって。
(この後高校時代の挫折経験を経て、最終的にア式への挑戦を決めた理由はこの時よりも少しマシなものになりました。こちらにつきましては是非昨年のブログをご覧ください。)


そして時は流れ、無事憧れのア式への入部を果たした僕。
しかし、待ち受けていたのは公式戦のみならず練習試合にさえ出られないという挫折でした。
突きつけられた、圧倒的無力感。
大学でサッカー続けている人ってどんだけ強いの!?どんだけ速いの!?どんだけ上手いの!?
他の部員と何を比べても全敗。いくら甘めに採点してもかっこよさゼロの僕。思い上がれる要素が1つも見つからない。こんな僕は大嫌いだ。
これまで大事に育ててきた自慢の天狗の鼻は完璧にへし折られました。
それはとても苦しい日々でした。

でも今振り返ると、この挫折は最高の経験だったんだなって思っています。
というのも、僕はこの挫折をきっかけに大きく考えを改めることができたから。

僕は初めてドン底から仲間を見ました。圧倒的な実力差を認めざるを得ませんでした。
そして気づきました。僕って何もすごくないんだ。
そこで考えました。

どうやったらこの人達と共に闘うことができるんだろう?

すると1つの答えが自分の中に出てきました。
それは、究極のチームプレーヤーを目指すこと。
これまで僕は自分と他人を常に比較してきた。
比較したからこそ実は人の良いところをたくさん見つけることもできる。
なら僕はこの人達の力をもっと引き出せる、そしてその中で自分の力も活かせる人間になろう。チームの力を引き上げられる選手になろう。
1+1=2じゃないんだ。

これが「自分大好きの僕」がニュータイプの「仲間が大好きな僕」に進化した瞬間。
同時に僕の中の「かっこいい」の定義は、チームとして力を最大限発揮できるような働きかけをすることへと変わりました。

その思考転換を経て何かが吹っ切れた僕は少しずつ試合に出られるようにもなったこともあり、以前とは比べ物にならないほど楽しいア式生活を過ごしています。
そしてそんな日々を過ごせている、そこにやりがいを感じられている自分を改めて好きになることができました。今度は適度にですが。

そしていつの間にか時は経ち、今シーズンも終わりを迎えようとしています。
いよいよサッカーに真剣に取り組めるのも、あと1年になってしまいました。
今年はチームとして満足のいく結果を出せませんでした。僕が多くの試合に関わったリーグも降格という形に終わりました。
このままではいくら充実した日々を過ごせたとしても後悔が残るでしょう。

だからこそ、ここで宣言させて下さい。
来季、僕は「強い早稲田」を作り上げます。
そのために僕の思う、最高にかっこいい姿を目指し続けます。

同期、下級生の皆はもう知ってるかもしれない、僕は皆ほど上手じゃない。
だけど僕は皆の力を引き出せる、そんな4年生としてチームを引っ張ってみせます。
お互いに干渉し合い、力を引き出し合い、共鳴できる環境を作り上げます。
時には厳しいことを言うこともあると思います、でもそれは僕が皆の力はそんなものではないと思っているから。
僕達ならもっと上を目指せると思っているからです。
今年味わった悔しさをバネに来シーズン、力を結集して共に成長していきましょう。

そして来年ア式の門を叩く新1年生へ
同期を見渡してみて思います、来シーズンの4年生は中々の曲者揃いです。
だけどそれぞれが並々ならぬ覚悟を持って皆を待っています。
だからこそ是非挑戦して欲しい。ここで僕達と1年間を全力で駆け抜けて欲しい。
共に「強い早稲田」を作り上げましょう。

いよいよ始まります。
僕をここまで育ててくれたサッカー界と家族への感謝を形にする、最後の1年間が。

さあ来い、ラスト。

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小山 修世(こやま しゅうせい)
学年:3年
学部:商学部
経歴:早稲田実業学校中等部→早稲田実業学校高等部

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