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ワープスペース顧問インタビュー vol.4 谷本有香 氏

妄想力が地球を救う?世界初の宇宙事業へ秒読み

ワープスペース顧問インタビューのラストに登場するのは、フォーブスジャパン副編集長の谷本有香氏。今回のインタビューは、ワープスペースCEOの常間地氏が谷本氏に話しを聞く対談形式で進んだ。宇宙ビジネスの可能性から地球環境問題やアニメなど、バラエティーに富んだ内容となった。

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谷本 有香氏(ワープスペース顧問:Public Relation分野)
フォーブスジャパン副編集長。証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年に米国で MBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターとして従事し、2016年2月から現職。これまでに、トニー・ブレア、ハワード・シュルツ、スティーブ・ウォズニアックなど3,000人を超える世界のトップにインタビューをした実績を持つ。跡見学園女子大学 兼務講師。


世界初の宇宙空間光通信ネットワークの実現に向けて進化中

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常間地:昨年の夏にアドバイザリーボードでお会いしました。それ以来ですね。いつもお世話になっています。

谷本:いえいえ、こちらこそ。

常間地:実は我々事業プランが、あの頃より具体化しています。まずは弊社の現状をお伝えしたいのですが。

谷本:はい、お願いします。

常間地:我々は、宇宙空間で活動をしている人工衛星にインターネットを届ける事業を行っているというご説明を夏にしました。そこから事業計画は、さらに進みました。結論から申し上げますと、今は世界初の宇宙空間光通信ネットワークの実現に向けて取り組んでいます。

谷本:ええ!すごい

常間地:光空間通信という通信方式がありまして。これはレーザーで通信をする方法ですが、我々はこの方式を採用しました。端的に言うと超小型衛星を使い、光通信で宇宙空間をつなげようということです。これが実現すれば、今まで非効率だった地球観測衛星の地上へのデータ送信が各段に改善します。また、これにより地球観測ビッグデータ解析の精度が向上し、活用の範囲も拡がりますので、地球経済圏への貢献もできます。例えば、船の動きに密接に関わるような海運や海上保険、1分、1秒誰よりも早く世界の情勢を知りたいというニーズの強い金融業界にも役立つでしょう。また、より効率的な農業や漁業の実現にも寄与できます。実は、海外のマーケットの反応が非常にポジティブでして。今非常に手応えを感じているところです。

谷本:短期間でここまで進んだのはすごいことですね。

常間地:今年は実証・実験も予定していますし、打ち上げも行います。地上での通信の実験もしますので、お時間があればぜひ見に来てください。

日本は宇宙産業で勝てると信じている

常間地:今後我々のこういうところに注目していきたいなどありますか

谷本:あります!そもそも私がなぜ顧問になったかというと理由は二つあって。一つ目は宇宙産業が、私にとって非常にワクワクできる領域だったから。二つ目の理由は、日本は宇宙産業で勝てると信じているからです。

常間地:ワクワクして頂けるのは嬉しいことですね(笑い)

谷本:私は長い間、金融という世界から経済を見てきました。いわゆる資本主義のバックボーンにあるのが、私にとっては金融でしたが、リーマンショック前後から金融至上主義、強欲的資本主義的なものが破綻しました。そのシステムが崩れた時に、これからどんな世界観や経済圏ができるのだろうと興味があったもののなかなか見えてこなくて。さらにここ10年、15年と日本での新たな産業は何だろう、これからはどんな領域がおもしろいのかもずっと考えていました。

フォーブス ジャパンに入ったこの4年間、ベンチャーというフィルターを通して見えてくる経済や時代の変化を体感できました。でも残念ながら、ベンチャー経済の日本そのものへの寄与というのは、まだ従前型の大企業の寄与度に比して感じることができなかった。それで私は一体どんなこと、どんな業界だったらワクワクするのかと考えた時、宇宙だと思いました。宇宙はまだまだ分からないことが多く未知の世界でしかも神秘的。宇宙産業という未知なる領域であれば、私はワクワクできると確信しました。

常間地:日本が宇宙産業で勝てるというその理由をお聞かせください

谷本:日本人は、宇宙を防衛や軍需的な観点で捉えない国民だと考えています。もっといえば宇宙を地球経済圏、地球エコシステムという観点から考える時に、純粋な価値観で見ることができる国民であると。その根拠は「日本の万物に神が宿る」という日本固有の考え方にあります。私たちは自然の中に神が在るだとか、そこをどうやって共存していくのかを考えることができる国民です。それゆえ経済圏を救うという観点から見た時に、その考えが生きてきます。同時に、宇宙規模の商圏を経済で考えない唯一の国民であるとも感じます。私は日本が日本の強みや特質を生かして貢献できる場所は宇宙であると信じています。これが、日本が宇宙産業で勝てると考える理由です。

常間地:実は同じようなことを、我々もこの半年間感じていました。というのは、我々の市場の95%が海外であるため、主に海外の方々と商談をします。そんななか、アフリカの人たちには、日本は警戒感を抱かなくてすむ唯一の国であるという感覚があります。なぜかというと、アフリカの人たちにとってヨーロッパは植民地時代から続く対立関係の残渣があり、アメリカは自身の安全保障しか考えてない。中国に至っては自国の利益が大前提にある。彼らからしてみれば、日本は良い意味で無害かつ接しやすい国ということになります。

谷本:やはり。そうなのですね。

世界中の技術は地球を残すためにこそ使うべきだという発想が重要

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常間地:ですので先ほどおっしゃったことは、非常にリアリティーがあると感じました。ところで、金融の世界を知り尽くした谷本さんから見た我々のこれからの道筋についてご意見をください

谷本:かつての日本の経済が良かった時代というのは、技術も人も時間をかけて育てるというのが方程式でした。現在ではそれは非現実的でありながらも、まだまだ強みでもある訳です。とはいえ利益競争や売り上げ競争、マーケットシェア競争などに乗るべきではない。ではマーケット競争に乗らないなら、一体どうすればいいのかというと、答えは博愛しかありません。要は、地球の人たちが皆ハッピーになるにはどうしたらいいか。そこが大事です。私たちは時間とコストをかけた仕事が染みついた国民であるからこそ、グローバル競争やルール面では負けてしまうこともあります。新しいルールを作るにあたって、宇宙というルール、宇宙というプラットフォームは、初めて私たちが勝てる俎上だと感じています。宇宙のルール作りに参加する時に、世界中が持っていないルールを提示する、それが私たちの役割であり価値となります。ある意味でワープスペースは、今までの資本至上主義から新しい経済市場主義に変わる場面でのイニシアチブをとる重要な役割を担っていると思います。

常間地:宇宙にはそもそも国境がないので、谷本さんのおっしゃる通りだと思います。では、その強みをどういう風に使っていくのか、これが一番重要ですね。

谷本:まだまだ謎が多い宇宙は、哲学的な考え方で捉える事も重要なポイントだと考えます。なぜ我々人間は地球に誕生したのだろうとか、我々はどこからきて、どこへいくのだろうかとか。まさにその哲学的な問いこそが、我々がソリューションを提示しなければいけない理由であるとか、ひとつのビジネスモデルになるかもしれないし、向かわなければいけないその先であるような気がしますね。

私この間、ロスチャイルド家の方に取材をしまして。彼らは今何をやっているかというと、目に見えない「財」を次世代につなごうとする活動をしています。例えば絶滅の危機に瀕したジラフ(キリン)を保護して品種改良をして絶滅を防いでいるだとか、品種改良をしないと消えてしまう百合を保護して改良を行うなどです。彼らの考え方の根底にあるものは、自然とか文化とか目に見えないものを一番残さなければいけないと。経済は一度だめになっても復興はできるけれど、文化は一度消滅すると二度と復活できない。だから我々はそこを重要視しているのだと。まさにその通りだと思いました。

既に私たちは、次世代に何を残すべきなのかという非常に大きな命題に取り組む時が来ていると感じています。もっと言えば、残すべきものは地球規模で考えなければならないと。なぜなら地球温暖化の問題や人口爆発における懸念など、地球を取り巻く環境は決して楽観できないところまできているからです。すべての人たちが地球だけではなくて、宇宙的な規模を見据えなければならないレベルにまできていると。様々な企業が自分たちの技術が世界を変えていくではなくて、これからは地球を残すために技術をどう使うべきかという発想が必要なところにまできている。じゃあどうすればいいのかというと、宇宙産業に携わる方々が先頭に立って発信をしてメッセージを出すことが一番効果的なのではないでしょうか。ワープスペースにとって今年が飛躍の年であるならば、2020年以降の時代における道筋、役割がますます重要になるのではないでしょうか。

禅と瞑想と大和言葉が新たなムーブメントになる可能性を秘めている

常間地:ありがとうございます。頑張ります。世界が平和になるためには宇宙人が出現するのが一番手っ取り早いという学者もいるくらいです(笑い)宇宙規模で物事を考えると、地上の課題はまた違った角度で見ることができますよね。

谷本:今多くの企業がSDGs(エスディージーズ)を取り入れているでしょう。そんな中、SDGsは儲からないと嘆く社長さんがいます。私はこの考え方自体、前時代的だなと。儲かる儲からない、の次元での話しではなくて。これからは宇宙のことや科学のことをもっと勉強をして、サイエンスリテラシーを高めていくことこそが重要だと思います。それは宇宙のビジネスを大きくしていくという意味ででも、です。そうすると私たちは、必然的に自然やモノを大切にしなければいけないといった考え方になります。その観念も無くて、腹落ちしたSDGsビジネスは語れないと思います。これからは宇宙を知るということが、様々なリテラシーを知るきっかけになるかもしれないですね。

常間地:リテラシーは大事ですね。日本と海外ではそのサイエンスリテラシーの違いというのは宇宙に対する認識の違いというか、やっぱり我々も感じるところはありますね。

谷本:瞑想で宇宙とつながるとかあるでしょう。それもまだまだスピリチュアルな領域であるものの、今後は科学的に解明が進んだりして、誰でもきちんと理解ができる日が来るかもしれません。そうなった時に、日本の禅の意味も初めて分かるようになるかもしれないですね。

あとは、言語も重要だと思っています。友人にサッカー選手がいましてね。彼は日本では全く上達しなかったのに、ラテンの国に留学したらかなり上達したそうです。なぜ上手くなれたかというと、その答えは言語だった。蹴るという単語1つとっても、ラテン語には複数あって、しかも、背景にはその意味たるところが含まれている。それが理解できた時に『あ、蹴るってこういうことか』と腑に落ちた、概念的に理解できたから上達したそうです。

ギブアップっていう言葉。これも日本では諦めるという意味ですが、言語の本当の意味は、「一旦上に上げておく」。できるようになったらまたやればいいという意味です。ギブアップと聞いて諦めてしまう私たちと、言語の本当の意味を知っている人と全然違うということです。何が言いたいかというと、私たちはそこに戻ればいい。大和言葉を使って我々が思っていた精神的なことや、自然的・超自然的なことなど、昔から日本にある先人の知恵といったような言葉にこそ、勝ち戦のストラテジーがあるはずです。それをもう一度考え直そう、となった時にそれは地球経済圏じゃなくて、宇宙経済圏の中にある。日本人が持っている大和言葉にヒントがあるのではと私は思っています。

常間地:それはそうですね。もともと我々日本人の古代神話とかって、実はかなりSFチックです。日本人はサイエンスフィクションというか、未来を想像するということが実は得意な人種です。宇宙戦艦ヤマトを始めとしたいろんなアニメ、漫画も多いですし。火の鳥なんて、まさにそうでしょう。日本のアニメって実は、世界のSF作品の源流になっている作品が多くあります。しかしその高い想像力をなぜか経済や産業に生かしきれていない。すごくもったいないと思いますね。

谷本:日本って海外から、神秘性が高い国と思われているところがありますね。実はこの神秘性って非常に使えます。アメリカで、こんまりさんがブームになったでしょう。彼女がブームになったのは、本人のキャラクターによるところが大きいと思っていて。実際にお会いすると、彼女はまるで妖精にしか見えない。もちろん、背景には物質主義の限界など、様々な要因があると思いますが、他にも断捨離をうたっていた人はごまんといたわけです。けれど、それを妖精のような彼女が断捨離しましょうというから妙な説得力がある訳です。普通の人が片付けましょうと言っても響かないことが、妖精のような神秘性のある人が言うと全く違う。だからこそアメリカでも、断捨離がブームになったと私は見ています。

これを使わない手はない。禅もある意味そうですね。神聖性高く、ロジカルには理解できないところがあって、でも分からないからこそ憧れるとか、それが重要。今これだけ情報過多の時代の中で日本が、欧米のようなスタイルでメッセージを出しても埋もれてしまいます。だからこそ一見意味不明なモノや神秘性などをうまく使いそれをビジネスに応用すれば、新たなムーブメントを作ることも可能だと私は思います。

宇宙の民主化に向けて宇宙産業ベンチャーが先陣を切るべき

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常間地:そうですよね。産業において日本とアメリカやヨーロッパとの大きな違いは、その突拍子もない想像を真面目に具現化しようとしたかしないかです。1950年代から1960年代、手塚治虫とかドラえもんなどですでに語られていたことを、日本人は具現化をせずにあくまでもSFの世界に留めていた。だけどアメリカやヨーロッパは、真面目にお金をかけて実現させましたから。

谷本:本当におっしゃる通りです。私は今の時代には、妄想力も重要であると考えています。我々はその妄想力が高い国民性であるからこそ、その妄想力を使ったアイデアで稼ぐことができると。今まではアイデアをお金にしない国民であったので、これからはそこをうまく使っていくことを考えなければいけないですね。

常間地:ワープスペースの考え方として宇宙経済圏は、あくまでも地球経済圏が宇宙に拡張したものと解釈しています。いかに通信の側面から地球経済に良い循環を生み出すかが一番重要です。宇宙と地球を分ける必要は特にありません。とはいえ地球に良い影響を及ぼすという意味では、我々のような宇宙産業のプレーヤーに期待をされることが大きいのかなと日々実感はしています。

谷本:それってすごく大事なことですよね。私は宇宙の民主化が必要であると思っています。その宇宙の民主化を実現させるためには、ベンチャーがその先陣を切り最終的には個人が担うというところまで必要です。個人が宇宙という経済圏の中で個人の好きなように宇宙を使っていくという。そのためには、ベンチャー企業が真っ先に扉を開く必要があります。さらに言うと宇宙の民主化は、地球の民主化にも等しいものであると思っています。

宇宙産業に関わるベンチャーは、ビッグビジョンやクエスチョンなどを手に持っている人たちが多い気がします。さらにロマンも大事にしている。それは正にベンチャースピリッツです。新たな宇宙産業の担い手として、また先陣を切る役割はベンチャーにしかにできません。地球に住む全ての人たちに、正しい情報と平等と幸せを届ける重要な役割をワープスペースがぜひ果たしてほしいと思います。

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