一人の男として君が好きなんだ。

「一人の男として君が好きなんだ」

私はついさっきまでただの友達だと思っていた人から、
そう言われた。

あまりに突然のことに、頭の中が真っ白になる。
私は紡ぐ言葉もないのに、口をパクパクさせた。
その人は言う。

「ずっと前から、好きだったんだ。
 君のことを考えるだけで、胸がキュンキュンして止まらなくなる。
 この思い、もう、とどめておくことなんて、できないんだ」

……迷惑、だったかな。

そう言って、私から目を伏せた。
私は反射的に「そんなことないよ」と声をかける。
するとその人は、嬉しそうに顔を輝かせた。

「……よかった。でも、返事は……」

彼はまた目を伏せた。
私は考える。

このまま承諾してもいいだろうか、と。

ダメに決まっていた。
もう少し、慎重に考えなければならない。
そもそも私が、この人にとって迷惑になるかもしれないのだ。
私なんかがこの人に相応しいとは、とても思えない。



私みたいなフニャフニャの男が、この女に相応しいなど。

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