【今日の本質】エロゲーの美意識
デザイナーの原研哉は著書『白』において、「白」という概念を巡る芸術、美意識の発展を論じている。特に印象的なのが白い紙の上に表現をするような不可逆性こそが、緊張感を産み、諸芸術の基礎となって来たとの指摘だ。
白い紙の上に決然と明確な表現を屹立させること。不可逆性を伴うがゆえに、達成には感動が生まれる。
(原研哉 (2008)『白』72p, 2008 中央公論社)
エロゲーは電子メディアでありながら必ず「マスターアップ」の作業を経て出荷される。この不可逆な作業は、独特の緊張感を産み、エロゲーの美意識を育んできたのではないだろうか。
我々がパッケージから書き換えることのできないディスクを取り出し、インストールするとき、ディスクは単なるDVDよりもいっそう輝いているかのように感じることがある。この輝きは、不可逆性から生まれる美しさなのかもしれない。
そしてソーシャルゲームに欠けているように思える美意識とは無限の更新を可能としてしまうシステム自体に起因するのかもしれない。
本日の本質 『みずいろはパッチを入れないとアンインストール時にハードディスクを吹っ飛ばします』
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